成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「あっちにも沢山あるの!」
「ーーあ、まだ沢山あるの?」
「うん! あっちにもそっちにも沢山!」

 デリアが指す方向にリアーヌが目を凝らすと、雪に隠れるように多数の花たちが木々の根本に咲いているのが見えた。

(ーーじゃあいっか⭐︎ 子供たちよ、存分に遊びたまえ!)

「リアーヌ姉ちゃんの探してるのだった?」
「うん! 探してるのにピッタリだよ!」
「やったぁー!」

 リアーヌの答えにイェーイ! とハイタッチを決めながらピョンピョンと飛び跳ねる二人。
 リアーヌはその様子に頬を緩めながら口を開く。

「このお花は、なんて名前なの?」

 リアーヌの問いかけに、姉妹はよく似た笑顔を浮かべ、元気いっぱいに声を揃えて答える。

「木の下の!」
「ーーうん?」
「木の下のって呼ぶの!」
「そう! みんなそう呼んでるの!」

 二人の答えに戸惑いつつ、リアーヌは助けを求めるようにアンナやオリバーに視線を送った。
 しかし、二人からしてもこの花は今日初めて見るものだったため、困ったように顔を見合わせ、苦笑いで首を傾げることしか出来なかった。

「……え、いくらなんでも独創的すぎない?」

 リアーヌは楽しそうに遊ぶ子供たちと、木の下に咲く小さな花を眺め、ポソリと呟いた。
 その後、リアーヌはさりげなさを装いつつ、複数の子供たちに花の名前をたずねたのだが、返ってきた答えは満場一致で“木の下の”だった。

(……ーーまぁでも……最悪名前は変更してしまうとして……ーーちょっとした風でも揺れるのが可愛いから見つけただけで幸せになれそう。 ーーあ、この花をベルに見立てて『冬にしか現れない白いベルを見つけた者には幸せが訪れるーー』とかいうウワサを流せば、またお客さんが増えてしまうのでは⁉︎ あとで母さんたちに言ってみよ)

「もう村に戻るー?」
「まだ遊ぶー?」
「向こうにも楽しいトコあるよー?」

 遊んでいた子供たちが口々にたずねる。
 どうやらこの辺りで遊ぶことには飽きてしまったようだった。

 どうしようかー? とリアーヌが返事をする前に、アンナがその背後で「お嬢様そろそろ……」と小声で囁き、本日の自主視察の終了を告げた。

「あー……今日はもう村に戻ろうなかな……?」

 リアーヌは子供たちからブーイングを受けることを覚悟しながらそのことを伝える。
 しかし、子供たちはその答えにどこか嬉しそうに顔を見合わせると、文句の一つも言わずに、互いに声をかけ合って村へと戻り始めた。

「……ーーあれ? もしかしてみんなお外出るの嫌だった?」

 そんな子供たちの様子に、リアーヌは近くにいたデリアにコッソリとたずねる。
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