成り上がり令嬢暴走日記！

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「ーー苦情が来ても守ってくれます？」
「もちろん！」
「……あとで責任取れとか」
「言わないよ⁉︎　ーーえ、俺のこと、そういうことする奴だと思ってたの⁉︎」

（ーーわりと）

「ーーいいえ？　まさか。　とんでもない」

　リアーヌは美しい微笑みを浮かべながら楚々とした態度で答えた。

「……思ってたんだ」
「……今は信じてます？」

　すぐさま演技だと見抜かれたリアーヌは、今度はヘラリ……と、ごまかすような笑顔を浮かべて答える。

「そっか……ーーうん。　俺もっと頑張るね……？」

　そう決意したようにつぶやいたゼクスの真意は分からないリアーヌだったが、それをごまかすように首を傾げながら答えた。

「あー……頑張れ？」

（……その言葉を胸に、たとえこの先、婚約を、破棄するようなことが起こっても、私に責任なんか求めないでくださいね⁉︎　絶対ですからね⁉︎）

「ーーどうなさいますか？」

　リアーヌの後ろに控えていたアンナが、最後の確認度ばかりに声をかけ、その真意をたずねた。

「えっと……参加しようかなって……おばちゃんたちとも話したいし……」
「ーーかしこまりました」

　リアーヌの答えに、大きく頷きながら恭しく頭を下げるアンナ。

　準備を整えたリアーヌたちは、話し合いを持つため、少々騒がしい応接室の外へと足を踏み入れるのだったーー

◇

　リアーヌたちが姿を見せた途端、村人立　たちは口々にリアーヌやゼクスに声をかけながら、思い思いの方法で挨拶を始める。
　そのせいでさらに騒がしかった室内は、さらに騒がしいことになり、苦笑を浮かべたディーターやディルクが村人たちを静かにするように声をかけ、ようやく騒ぎを治めたのだった。

（ーーいや、前回だいぶ仲良くなれたと思ってはいたけど、ここまで熱烈な歓迎を受けるとは……）
　
　前回の話し合いとは全く違う集会場の空気に戸惑いつつも、リアーヌはこっそりと笑顔を浮かべた。

　そして始まった話し合い。
　話し合い自体は、すでにゼクス側に報告が入っていたようで筒がなく進み、細かい疑問点や少しの確認作業をすら程度だった。
　その上で「あとは実際にやってみてからーー」「視察してからーー」などという場合のスケジュール調整のための話し合いに多くの時間を割いていた為、リアーヌは雑談に対する返事や、その延長線として「こういうのが欲しいな？」「こっちの方が良さげ」などと口を挟む程度の助言をしたぐらいだ。

（ーー私これちゃんと役に立ってる？　追加で出された栗のショートケーキを頬張ってその美味しさをみんなに伝え、おっちゃんたちを和ませるのが最大の仕事だったと言っても過言では無いのでは……？）