455 / 1,038
455
しおりを挟む(だってレジアンナってば、ここ数日ーーいや下手したら二週間以上はずーっと“フィリップ様と過ごすクリスマス・イブデートプラン”を練りに練ってたんだよ? クリスマスデートって言っても内容はごくごく普通のデートで
、劇見に行って食事して、花園でライトアップを楽しんでーーほんの少しだけ、夜遅くまでご一緒しちゃうの! な、レジアンナプレゼンツ、一日中ビッタリベッタリデートプランだったわけだけど……それだって、劇はこっちよりもこっち……いや、こっち⁉︎ と、ことあるごとに悩んでいたのを知っている……それを「領地で問題が……」の一言で聞き分けろって言われてもねぇ……? ……まぁ、そのプランを練っている間中ずっとウザかったわけですが……ーーそれでも全部無かったことに! は、流石に気の毒すぎる……)
フィリップが嫡男である事実や、こういった場合には経験を積むために現地に同行するものだと、理解はしているリアーヌだったが、楽しそうにデートプランを練っていたレジアンナを見ていたため、どうしてもそちらに同情してしまうようだった。
(ーー大体、フィリップの話し運びもよろしくなかったと思うんだよなぁ? 「デートの日は帰って来られないけど、クリスマスのパーティには必ず戻ってくる! だから安心してほしい!」とか……いやそのフォローも大切だけど、順番っていうか、言い方っていうか……ーーレジアンナだって「予定がダメになった」までは大人しく聞いてたのに「パーティには必ず!」の辺りで雲行き怪しかったし……ーー私がああ言われたら、どうにかするつもりがあるならデート当日に間に合うよう、一日でも半日でも早く帰ってこいよ! って思っちゃうって……)
リアーヌはそんなことを思いながら、冷めはじめた紅茶に手を伸ばした。
そしてポソリと「前半だけで止めておけばよかったのに……」と呟いていた。
その声は先ほど同様の囁くような声だったのだが、シン……としているこの場ではやけに大きく耳に届いてしまった。
「……え?」
「ーーぁ」
頭を抱えていたフィリップがその呟きに反応し、ゆっくりと顔をあげその視線でリアーヌを捉えた。
(なんで聞こえたの⁉︎)
「う、うふふふふふふ……?」
ヘラリと愛想笑いを浮かべ、どうにかごまかそうと試みるリアーヌだったが、両隣から聞こえてきたため息が、その行為がムダだと知らせているように感じた。
「ーーなにがいけなかったんだろうか?」
少々乱れた髪をそのままに、フィリップは真っ直ぐにリアーヌを見つめながら質問を口にした。
0
お気に入りに追加
344
あなたにおすすめの小説
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる