成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
上 下
452 / 1,038

452

しおりを挟む
 先程までの気合はどこかに消え失せたのか、リアーヌはキッパリとゼクスに言い放った。

(ビアンカが無理なら無理なのよ。 だって助けてくれる人がいないってことな
んだから!)

「うん。 うちとしてもチャレンジされても困っちゃうから……」
「……ーーじゃあ、私社交のレッスン取りやめても……?」

 どこか期待するようにリアーヌがゼクスに話しかけるが、その言葉にいち早く答えたのはゼクスではなくビアンカだった。

「そんなわけないでしょ」
「……でもほら、一応、婚約の条件に社交は自由にしていいって書いてあるわけで……」

 言いながらゼクスの顔を伺うように見つめるリアーヌ。
 見つめられたゼクスは曖昧な表情を浮かべながら困ったように口を開く。

「まぁ……罠を張られてそうな所には近づかなくても……ね?」

 言葉を濁しながら答えるゼクス。
 その様子にビアンカは大きくため息をつきながら呆れた様子を隠そうともせずにゼクスに向かって話しかけた。

「年に数度開かれる、王家主催のものはどうなさいますの? まさか陛下や王妃殿下に招かれて、欠席を許すとでも?」
「王妃⁉︎」

 ギョッと目を見開きながら答えるリアーヌに慌ててゼクスが話しかける。

「王妃だよね?」

 その様子に、あっ……と、気まずげな顔になったリアーヌはコクコクと頷きながら口元を両手で押さえる。

「……やっぱり行かなきゃまずいんですかね?」
「ーーまずい、かなぁ……?」
「そもそも呼ばれない可能性とかって……?」

 リアーヌの質問にゼクスはうーん……と唸りながら首を捻る。
 そしてチラリとビアンカを見て、質問を投げかけた。

「ーーどう思われます?」
「……50%程度なのでは、と」

 ビアンカの答えにゼクスは大きく息をつきながら「ですよねー……」と同意する。
 そしてリアーヌに向き直ると、質問に答え始めた。

「爵位だけで言うなら子爵だから、わざわざ声がかけられるとは考えにくい。 でもボスハウト家は王家に連なる家。 陛下の覚えもめでたい……可能性はその分高くなる」
「ええー……」

 本来ならば名誉であり是が非でも貰いたい王家からの招待を、顔をしかめ嫌そうな声をもらすリアーヌ。
 そんなリアーヌに苦笑を漏らしながらゼクスは言葉を続けた。

「リアーナの事情だけを考慮してくれるなら、そっとしておいてもらえるだろうけど……派閥争いとかもあるからねぇ……?」
「あー……」

 父親であるサージュから、派閥争いが面倒くさい、と聞いていたリアーヌは、沈痛そうな面持ちで頷きながら同意する。

(……あれ? 待って⁇ それってつまり……)
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

処理中です...