421 / 1,038
421
しおりを挟む
その視線は「絶対に選ばれないと言ってください」と懇願しているようにも見えた。
しかし、ゼクスは肩をすくめるだけでその視線を交わすと、リアーヌの希望とは正反対となる推測を口にする。
「当然知っていると思うけど、今ある王家の分家ーー“王家に連なる家”と称される家の中で一番王族の血が濃い……つまり、王家直系男子の初代当主様から数えて代が一番少ないのはボスハウト家だよ? それって結構大きな要素になると思わない⁇」
「で、でもっ他は全部公爵家ですし、王族からたくさん降嫁だってしてますし⁉︎」
「あくまでも降嫁だろ? 王族という立場を返上された上での嫁入り婿入りだ。 ーー貴族は……いや貴族だからこそ、その血筋を王族とは認めないよ。 認めてたら、この国は内乱だらけになる。 自分の子供や孫が王位継承権を持ってたら……ーー少ない数の人が夢見ちゃうと思うよ?」
「ーー見ちゃいそう……」
(……大体今だって二人しか王子いないのに、バッチバチにやり合ってるもんな……)
「だろ? 降嫁ってのは、感情を抜きに考えれば貴族同士の婚姻と何も変わらないんだよ」
「感情……」
「そりゃあ、もう王族じゃありませんって言われたって、陛下の姉妹や姪甥に当たる方々だよ? 普通の扱いって難しいよ……例え法律がそうだと定めていたとしてもね」
「法律……ーーあー……やったような、やらなかったような……?」
リアーヌが頭の中に残るかすかな授業の記憶に首をかしげながら言うと、ゼクスは「ええ……?」と困惑し切った声を上げ、大人しくその話を聞いていたサンドラまでもが「えっ⁉︎」と短い驚愕の声を出した。
そんな二人にリアーヌがさらに首をかしげたところで、ドアに近くで護衛の任務についていたはずのエドガーまでもが疑惑の眼差しをリアーヌに向けながら口を開いた。
「ーーリアーヌ嬢って、試験受けての教養科なんだよな……?」
その言葉に軽く失笑を浮かべながら答えたのはゼクスだった。
「少々失礼な質問ではあるが……答えはイエスだよ。 リアーヌは実力で教養学科に合格している」
「でも、今の話って……ーー俺たちだってちゃんと知ってるし……なんなら近所のガキンチョだって……」
エドガーの言葉や、それを聞くサンドラやゼクスの反応から、リアーヌは自分がやらかしてしまったことを察知すると、エドガーの話を遮るかのように声を上げた。
「ーー知ってたし⁉︎ ちょっとだけド忘れしちゃってただけだし⁉︎」
(そんな常識なんて知りませんけど⁉︎ 試験勉強に一般教養混ぜ込むのよく無いと思いますけどね⁉︎ 常識なら常識だって事前に教えといてもらわないとっ!)
しかし、ゼクスは肩をすくめるだけでその視線を交わすと、リアーヌの希望とは正反対となる推測を口にする。
「当然知っていると思うけど、今ある王家の分家ーー“王家に連なる家”と称される家の中で一番王族の血が濃い……つまり、王家直系男子の初代当主様から数えて代が一番少ないのはボスハウト家だよ? それって結構大きな要素になると思わない⁇」
「で、でもっ他は全部公爵家ですし、王族からたくさん降嫁だってしてますし⁉︎」
「あくまでも降嫁だろ? 王族という立場を返上された上での嫁入り婿入りだ。 ーー貴族は……いや貴族だからこそ、その血筋を王族とは認めないよ。 認めてたら、この国は内乱だらけになる。 自分の子供や孫が王位継承権を持ってたら……ーー少ない数の人が夢見ちゃうと思うよ?」
「ーー見ちゃいそう……」
(……大体今だって二人しか王子いないのに、バッチバチにやり合ってるもんな……)
「だろ? 降嫁ってのは、感情を抜きに考えれば貴族同士の婚姻と何も変わらないんだよ」
「感情……」
「そりゃあ、もう王族じゃありませんって言われたって、陛下の姉妹や姪甥に当たる方々だよ? 普通の扱いって難しいよ……例え法律がそうだと定めていたとしてもね」
「法律……ーーあー……やったような、やらなかったような……?」
リアーヌが頭の中に残るかすかな授業の記憶に首をかしげながら言うと、ゼクスは「ええ……?」と困惑し切った声を上げ、大人しくその話を聞いていたサンドラまでもが「えっ⁉︎」と短い驚愕の声を出した。
そんな二人にリアーヌがさらに首をかしげたところで、ドアに近くで護衛の任務についていたはずのエドガーまでもが疑惑の眼差しをリアーヌに向けながら口を開いた。
「ーーリアーヌ嬢って、試験受けての教養科なんだよな……?」
その言葉に軽く失笑を浮かべながら答えたのはゼクスだった。
「少々失礼な質問ではあるが……答えはイエスだよ。 リアーヌは実力で教養学科に合格している」
「でも、今の話って……ーー俺たちだってちゃんと知ってるし……なんなら近所のガキンチョだって……」
エドガーの言葉や、それを聞くサンドラやゼクスの反応から、リアーヌは自分がやらかしてしまったことを察知すると、エドガーの話を遮るかのように声を上げた。
「ーー知ってたし⁉︎ ちょっとだけド忘れしちゃってただけだし⁉︎」
(そんな常識なんて知りませんけど⁉︎ 試験勉強に一般教養混ぜ込むのよく無いと思いますけどね⁉︎ 常識なら常識だって事前に教えといてもらわないとっ!)
0
お気に入りに追加
343
あなたにおすすめの小説
[完結]18禁乙女ゲームのモブに転生したら逆ハーのフラグを折ってくれと頼まれた。了解ですが、溺愛は望んでません。
紅月
恋愛
「なに此処、18禁乙女ゲームじゃない」
と前世を思い出したけど、モブだから気楽に好きな事しようって思ってたのに……。
攻略対象から逆ハーフラグを折ってくれと頼まれたので頑張りますが、なんか忙しいんですけど。
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
当て馬の悪役令嬢に転生したけど、王子達の婚約破棄ルートから脱出できました。推しのモブに溺愛されて、自由気ままに暮らします。
可児 うさこ
恋愛
生前にやりこんだ乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。しかも全ルートで王子達に婚約破棄されて処刑される、当て馬令嬢だった。王子達と遭遇しないためにイベントを回避して引きこもっていたが、ある日、王子達が結婚したと聞いた。「よっしゃ!さよなら、クソゲー!」私は家を出て、向かいに住む推しのモブに会いに行った。モブは私を溺愛してくれて、何でも願いを叶えてくれた。幸せな日々を過ごす中、姉が書いた攻略本を見つけてしまった。モブは最強の魔術師だったらしい。え、裏ルートなんてあったの?あと、なぜか王子達が押し寄せてくるんですけど!?
断罪イベント? よろしい、受けて立ちましょう!
寿司
恋愛
イリア=クリミアはある日突然前世の記憶を取り戻す。前世の自分は入江百合香(いりえ ゆりか)という日本人で、ここは乙女ゲームの世界で、私は悪役令嬢で、そしてイリア=クリミアは1/1に起きる断罪イベントで死んでしまうということを!
記憶を取り戻すのが遅かったイリアに残された時間は2週間もない。
そんなイリアが生き残るための唯一の手段は、婚約者エドワードと、妹エミリアの浮気の証拠を掴み、逆断罪イベントを起こすこと!?
ひょんなことから出会い、自分を手助けしてくれる謎の美青年ロキに振り回されたりドキドキさせられながらも死の運命を回避するため奔走する!
◆◆
第12回恋愛小説大賞にエントリーしてます。よろしくお願い致します。
◆◆
本編はざまぁ:恋愛=7:3ぐらいになっています。
エンディング後は恋愛要素を増し増しにした物語を更新していきます。
悪役令嬢に転生したので落ちこぼれ攻略キャラを育てるつもりが逆に攻略されているのかもしれない
亜瑠真白
恋愛
推しキャラを幸せにしたい転生令嬢×裏アリ優等生攻略キャラ
社畜OLが転生した先は乙女ゲームの悪役令嬢エマ・リーステンだった。ゲーム内の推し攻略キャラ・ルイスと対面を果たしたエマは決心した。「他の攻略キャラを出し抜いて、ルイスを主人公とくっつけてやる!」と。優等生キャラのルイスや、エマの許嫁だった俺様系攻略キャラのジキウスは、ゲームのシナリオと少し様子が違うよう。
エマは無事にルイスと主人公をカップルにすることが出来るのか。それとも……
「エマ、可愛い」
いたずらっぽく笑うルイス。そんな顔、私は知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる