成り上がり令嬢暴走日記！

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「え……だって、有力貴族って言われてる、いわゆる大貴族って、ほとんど王家から嫁入りや婿入りしてる人がいて……ーーほとんど親戚ですよね？　そんな人たちがボスハウト家を特別扱いなんて……」

　しますか……？　と視線でたずねながら、リアーヌは首をかしげた。

「ーー……するよ？　するからこそオリバーさんが国王陛下の侍従だなんて立場から、よその家に移動してもなんの文句も出ないんだよ⁇」
「……え？」
「国王陛下の侍従だからね？　どんな情報を抱えてるか……ーー本来だったら絶対にあり得ない人事なんだよ。　でもそれが可能になったのはボスハウト家が王家に連なる家だからだ」

　ゼクスは、ええー……？　というリアーヌの戸惑った声を聞きながら、心の中で（ーー……陛下が心底それを認めているって分ったのは、オリバーさんがボスハウト家に移ったから、なんだけどねー……）と、苦笑いを浮かべていた。

　ーーこの考えに至ったのはゼクスだけではなく、ほとんどの貴族がオリバーの移動で、ボスハウト家への認識をあらためていたわけなのだが……

「そもそも、王族の降嫁こうかや婿入りと、王家の分家は全く別物だ。　分家は王家では無いけれど、王家に匹敵する血筋だと認められている家なんだよ。　だから“王家に連なる家”と呼ばれているんだ」
「……建前の話なのでは……？」
「だから、だったらオリバーさんがボスハウト家に入れないんだって」
「でも……」

　リアーヌはどうあってもゼクスの説明に納得できないのか、口ごもりながら視線を彷徨わせている。

（じゃあなんで入学当時あんなことになったんです⁉︎　王家に連なるって言われててもその後に、カッコ笑いって続いちゃうからこそのあのイジメなんじゃ無いの⁉︎）

　困惑しきりのリアーヌに、ゼクスは心の中で（そりゃ混乱するのも当たり前なんだよねぇ……ーー俺だって完全に舐めきっての暴挙でリアーヌにサインさせたわけだし……）と、思いながら、当時を思い返し冷や汗すら浮かべていた。

　そして気を取り直すように、深呼吸を一つすると、リアーヌに向かってさらに言葉を重ねた。

「ーーまぁ、どう頑張っても、今のボスハウト家が王家に成り代わってーーなんて事態にはならない……けどね？　万が一にも、例えば戦争や革命なんかが起こって、恐ろしくも今の王家が倒れてしまったーーなんてことになったら、次に担がれるのは王家に連なる家のどこかで……ーー当然その候補の中にボスハウト家も入ってるんだよ⁇」
「……候補に入っても……ねぇ？」

　ゼクスの言葉に、リアーヌは段々と事の大きさを理解し始めたのか、ヒクヒクとその頬を引きつらせながら、すがるような視線をゼクスに向ける。