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「……でもね? ーー大勢の人に知ってもらいたい気持ちも強いの……」

 頬を染めながらモジモジと伝えるレジアンナに、一番状況を理解していないリアーヌですら、頭を抱えたくなった。
 ビアンカたちも鼻や髪をいじりながら、表情が歪みそうになるのを堪えている。

「レジアンナそれは……」
「分かってるわ! きっと無理よ……パラディールのお義母かあ様にはよくしていただいてるけどーーきっと許していただけないもの……ーーでもリアーヌが希望を言えって言ったから……」

 レジアンナは頬を膨らませながら責めるような視線をリアーヌに向ける。

「……ですよねー?」

(レジアンナの希望を全部叶えるのは無理……だよね? だって本人が無理だと思ってるんだから……ーーいや、不名誉な噂が出ても問題なければ構わない……⁇)

「……例えば二十年後とかに出すならもう時効じゃない?」
「……そんなに待つのはイヤ」
「あ、ハイ」

(割と名案だと思ったのに……ーーでもすぐに出して、なおかつ大勢に読んで欲しくて、なおかつ不名誉な噂も出ないようにって……そんな都合のいいーー……でも……ミストラル家ってレジアンナためにそれをやってのけたって話よね……? つまりは侯爵家が本気を出せばなんだって出来てしまう……ーーそこにさらに公爵家が力を貸せば……⁇)

「ーーレジアンナのお母様と義理のお義母かあ様に協力してもらったらなんとかなるんじゃない?」
「お母様がたに……?」

 リアーヌの提案にレジアンナは目を丸くしながらパチパチと瞬かせる。

「うん。 友達とそんな話になったんだけどーって所から、レジアンナの希望まで全部相談してみたら? その二人が協力してくれるなら怖いものなんてないでしょ」
「ーー確かに。 パラディール家の奥様が協力者なら、レジアンナの不名誉な噂など無いものにしてもらえるわ?」
「そんなに強力な見方がつくなら、本当にお嬢様の本が劇になりそうですね⁉︎」

 ビアンカもダニエラもリアーヌの提案に表情を明るくしながら言った。

「ーーそう、思う?」
「はい。 名案かと」
「その通りです、素晴らしい案かと!」

 レジアンナの言葉にビアンカたちは大きく頷き合いながら答える。

「……私貴族社会にはちょっと疎いけど、家の中で母親が一番の権力者だってのはちゃんと理解してるんだよねー」

 ニヤリと笑いかけるリアーヌに、レジアンナもきゃらきゃらと楽しげに声を上げて笑う。

 その後は、マーリオンたちを中心に盛り上がっていたスクラップブックを流行らせる話し合いに合流し、時間の許す限りおしゃべりに花を咲かせたのだった。
 ーーそしてリアーヌ初主催のお茶会は、大きなトラブルもなく、大成功のうちに幕を下ろしたのだったーー
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