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しおりを挟む「……それのどっちが良いかって聞かれたら、せっかく本を作るんだし、大々的に売り出して儲けたらいいと思うけど……なにか問題があるの?」
その辺りの事情に疎いリアーヌは、キョトンと首を傾げながらビアンカにたずねる。
「ーー事実をありのままに書くか、ダニエラ様がおっしゃるように劇の台本のようにするかって事ね。 何をどう言い繕おうと、本にするならば主人公はレジアンナだと思われるの。 下手な噂が出ないようにするには、誰から見ても作り話だと分かるようにするか、ミストラル家が許した人物にだけ配るべきだと思うわ」
“下手な噂”という単語で、ようやくリアーヌはビアンカたちがなにを心配しているのか理解した。
そしてその上でさらに首をかしげながら質問を重ねる。
「……でも今から準備したって、のんびりやってたらすぐに卒業で、卒業したらすぐに結婚式なんじゃないの?」
「婚約式を挟みますからすぐというわけではないでしょうけれど……まぁ、三年は待たないでしょうね?」
頬を赤く染めながらレジアンナは幸せそうに答える。
「なら結婚するの待ってから大々的に売り出せば、結構ヒットするんじゃない? 庶民も貴族も、有名貴族同士の恋愛事情や結婚事情なんて大好物だよ⁇」
そんなリアーヌの言葉にビアンカは大きなため息をついた。
「大好物だからこそマズイのよ。 例え結婚していなくとも……ーーいいえ、嫁いでしまっているからこそミストラル家は表立ってレジアンナを守れないわ。 パラディール家がそんな騒ぎを嫌えば、レジアンナの立場は一気に悪くなるの」
「ーー明らかに作り話であるならばレジアンナ様のお立場は悪くなりませんわ?」
ビアンカの言葉にダニエラは不満げな様子を隠そうともせずに言った。
「小部数であるならば、絶対にそんなトラブルには巻き込まれませんわ?」
ビアンカも呆れたような視線を真っ直ぐにダニエラに向けて言い放つ。
(……この二人の相性があんまり良くないってことだけは理解した)
リアーヌはハハ……と乾いた笑いを漏らしつつも、二人の話を困ったように笑いながら聞いているレジアンナに視線を向ける。
「肝心のレジアンナはどっちが良いの?」
「私は……」
「レジアンナのための本だもん。 レジアンナの希望に沿うようにやろうよ」
その言葉にビアンカとダニエラも無言の睨み合いをやめ、レジアンナの言葉を待った。
「……あんまり事実をねじ曲げるのはイヤ」
その言葉にビアンカが勝ち誇ったかのように微笑み、ダニエラは悔しそうにキュッと唇を引き結ぶ。
その辺りの事情に疎いリアーヌは、キョトンと首を傾げながらビアンカにたずねる。
「ーー事実をありのままに書くか、ダニエラ様がおっしゃるように劇の台本のようにするかって事ね。 何をどう言い繕おうと、本にするならば主人公はレジアンナだと思われるの。 下手な噂が出ないようにするには、誰から見ても作り話だと分かるようにするか、ミストラル家が許した人物にだけ配るべきだと思うわ」
“下手な噂”という単語で、ようやくリアーヌはビアンカたちがなにを心配しているのか理解した。
そしてその上でさらに首をかしげながら質問を重ねる。
「……でも今から準備したって、のんびりやってたらすぐに卒業で、卒業したらすぐに結婚式なんじゃないの?」
「婚約式を挟みますからすぐというわけではないでしょうけれど……まぁ、三年は待たないでしょうね?」
頬を赤く染めながらレジアンナは幸せそうに答える。
「なら結婚するの待ってから大々的に売り出せば、結構ヒットするんじゃない? 庶民も貴族も、有名貴族同士の恋愛事情や結婚事情なんて大好物だよ⁇」
そんなリアーヌの言葉にビアンカは大きなため息をついた。
「大好物だからこそマズイのよ。 例え結婚していなくとも……ーーいいえ、嫁いでしまっているからこそミストラル家は表立ってレジアンナを守れないわ。 パラディール家がそんな騒ぎを嫌えば、レジアンナの立場は一気に悪くなるの」
「ーー明らかに作り話であるならばレジアンナ様のお立場は悪くなりませんわ?」
ビアンカの言葉にダニエラは不満げな様子を隠そうともせずに言った。
「小部数であるならば、絶対にそんなトラブルには巻き込まれませんわ?」
ビアンカも呆れたような視線を真っ直ぐにダニエラに向けて言い放つ。
(……この二人の相性があんまり良くないってことだけは理解した)
リアーヌはハハ……と乾いた笑いを漏らしつつも、二人の話を困ったように笑いながら聞いているレジアンナに視線を向ける。
「肝心のレジアンナはどっちが良いの?」
「私は……」
「レジアンナのための本だもん。 レジアンナの希望に沿うようにやろうよ」
その言葉にビアンカとダニエラも無言の睨み合いをやめ、レジアンナの言葉を待った。
「……あんまり事実をねじ曲げるのはイヤ」
その言葉にビアンカが勝ち誇ったかのように微笑み、ダニエラは悔しそうにキュッと唇を引き結ぶ。
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