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「まあ、楽しそうなお話ですこと! 私たちも参加してよろしいかしら?」
「ーーもちろんですわ?」
「私たちもよろしくて⁇ ーー流行を作る一端になれるなんて、なんて幸運なことなのかしら!」
「ええ、ええ! 憧れですわよね⁉︎」
「あら、貴女様も⁉︎ 実は私もなんですよ!」
「あらぁ‼︎」
一人の少女が声をかけたことをきっかけに、お茶会に参加していたほとんどの少女たちがマーリオンたちを取り囲み、キャッキャと楽しそうにはしゃぎ出す。
その姿は、決して淑女とは言えない、年頃の女の子たちーーといったものであったが、それほど興奮してしまうほどには、流行を発信する側というのは、大きなステータスだったのだ。
そして、マーリオンたちがその流行の一端に自分達の派閥以外の者たちを引き入れたのは、この案を授けてくれたリアーヌ、引いてはラッフィナート男爵家への感謝の気持ちの表れだったのだが、リアーヌがそれに気がつくことは無なった……ーーだが、ビアンカやゼクスには的確に伝わるであろう事実だったので、それでいいのだろうーー
「ねぇ、リアーヌはどちらがいいと思いまして?」
「え、私⁇」
「だってビアンカは、フィリップ様に内緒にして小部数作るのが良いって言って、でもダニエラはフィリップ様やパラディール家の許可をもらって、大々的に発表するのか良いって……ーー残ってるのはリアーヌだけじゃない」
流行作りに参加しなかった例外の四人は、一つのテーブルに座りながら『スカーレット物語』の発行部数について話し合っていた。
ダニエラと呼ばれた少女は、リアーヌたちよりも少し年上で、きびきびとした動きが特徴的なご令嬢だった。
ーー今回のような少女たちだけが招かれるお茶会には、基本的に護衛は立ち入れない。
会場の周りから見守るのが精一杯だ。
しかし、それでも自分の娘に護衛をつけたいと思うならば、ダニエラのような訓練を受けた少女を付けるーーといったやり方もあるのだ。
ーーもちろん護衛といえども参加者であり、少女であるならば恋の話で盛り上がることもあるようだった。
「絶対に大々的に刷るべきですよ! そしてゆくゆくは劇場で演じていただくんです!」
「……少なくとも結婚するまでは難しいと思われますが……?」
瞳をキラキラと輝かせながら力説するダニエラに、ビアンカは頬を引きつらせながら「どうなのかしら……?」と言いたげに首を大きく捻った。
例え名前や階級を濁したとしても“スカーレット”その単語だけで、誰を指しているのか、分かる者には分かってしまう。
ーー節度ある距離感を保っていないと、すぐに不名誉な噂につながってしまう社交界では、婚約者同士であるからこそ、気を使うことが多いのだった。
「ーーもちろんですわ?」
「私たちもよろしくて⁇ ーー流行を作る一端になれるなんて、なんて幸運なことなのかしら!」
「ええ、ええ! 憧れですわよね⁉︎」
「あら、貴女様も⁉︎ 実は私もなんですよ!」
「あらぁ‼︎」
一人の少女が声をかけたことをきっかけに、お茶会に参加していたほとんどの少女たちがマーリオンたちを取り囲み、キャッキャと楽しそうにはしゃぎ出す。
その姿は、決して淑女とは言えない、年頃の女の子たちーーといったものであったが、それほど興奮してしまうほどには、流行を発信する側というのは、大きなステータスだったのだ。
そして、マーリオンたちがその流行の一端に自分達の派閥以外の者たちを引き入れたのは、この案を授けてくれたリアーヌ、引いてはラッフィナート男爵家への感謝の気持ちの表れだったのだが、リアーヌがそれに気がつくことは無なった……ーーだが、ビアンカやゼクスには的確に伝わるであろう事実だったので、それでいいのだろうーー
「ねぇ、リアーヌはどちらがいいと思いまして?」
「え、私⁇」
「だってビアンカは、フィリップ様に内緒にして小部数作るのが良いって言って、でもダニエラはフィリップ様やパラディール家の許可をもらって、大々的に発表するのか良いって……ーー残ってるのはリアーヌだけじゃない」
流行作りに参加しなかった例外の四人は、一つのテーブルに座りながら『スカーレット物語』の発行部数について話し合っていた。
ダニエラと呼ばれた少女は、リアーヌたちよりも少し年上で、きびきびとした動きが特徴的なご令嬢だった。
ーー今回のような少女たちだけが招かれるお茶会には、基本的に護衛は立ち入れない。
会場の周りから見守るのが精一杯だ。
しかし、それでも自分の娘に護衛をつけたいと思うならば、ダニエラのような訓練を受けた少女を付けるーーといったやり方もあるのだ。
ーーもちろん護衛といえども参加者であり、少女であるならば恋の話で盛り上がることもあるようだった。
「絶対に大々的に刷るべきですよ! そしてゆくゆくは劇場で演じていただくんです!」
「……少なくとも結婚するまでは難しいと思われますが……?」
瞳をキラキラと輝かせながら力説するダニエラに、ビアンカは頬を引きつらせながら「どうなのかしら……?」と言いたげに首を大きく捻った。
例え名前や階級を濁したとしても“スカーレット”その単語だけで、誰を指しているのか、分かる者には分かってしまう。
ーー節度ある距離感を保っていないと、すぐに不名誉な噂につながってしまう社交界では、婚約者同士であるからこそ、気を使うことが多いのだった。
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