成り上がり令嬢暴走日記！

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　そんな二人に困惑しながらも、やんわりと続きを促したリアーヌ。す
　少しずつ聞き出した話を総合すると、マーリオンとエミーリエの話などでは決して無く、あくまでも知り合いの相談なのだがーー……幼い頃より決まっていた婚約者との仲をもう少し深めて差し上げたい、という相談だった。

（……それに対する適切な答えは、他人が首突っ込まない方がいいと思うよ？　一択だと思う……ーー十中八九、お二人のどっちかーーワンチャン、どっちもの話だと思うから、言わないけどー……）

　二人の相談を要約すると、婚約者との関係をもう少し進めたいーーあわよくば恋人同士のようなことも楽しんでみたいーーということのようだった。

　相談相手である、その知り合いと婚約者は、これまで住んでいる場所などの事情から年に３、４回程度しか会えていなかったらしい。
　それも、お互いの家が主催のパーティーや王家主催のパーティーなどがほとんどで“お年頃”と呼ばれる年齢の今になっても、婚約者とは上部だけの会話しかしたことが無く、結婚した後、本当に良い関係が築けるのか、とても不安に感じている、とのことだった。

（……主人公の選ぶルートや、ゼクスの選択によっては、結婚どころか、その後の人生にすら不安を感じている私からすれば、ずいぶんと贅沢な悩みに聞こえますけどねぇ……？）
　
　リアーヌは自分の心がささくれ立つのを感じていたが、そのことを言えるわけもなかったので、グッとお腹に力を込めて口角を上げながら話の続きを促した。

「ーーあ、お相手のかた来年入学なんですねー？」
「ええ。　……良い機会だと思っているのですけれど……」

　マーリオンはそう答えながらも、不安そうな顔つきで隣に座るエミーリエに視線を流す。
　エミーリエも困ったように眉を下げながら口を開く。

「ーーお恥ずかしい話、いつも両親や周りの者たちと一緒に交流していましたので、自分から声をかけたことすらなく……どうすればいいのか」
「ーー挨拶程度ならハードルは低いのでは……？」

　リアーヌはそう助言をしてみたが、二人の顔の不安が安心に変わることは無く（そういう答えを期待していたわけじゃなかったんだな……？）と理解したのだった。

「ーーあまり露骨にしますと、すぐにウワサを流されてしまいますでしょう？」

　どこか非難するような色をその視線に乗せて、マーリオンはリアーヌを見つめながら答えた。

「ーーですよね？」

　リアーヌは（婚約してるんだし、ちょっとぐらいウワサされたって良いのでは……？）と思いながらも、話を合わせるために神妙な顔つきで頷いて見せた。