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「お茶会をなんだと思ってますのよ……」
「……ーー嫌いな招いて、服装から動作、やることなすことネチネチ言われるお茶会もあると聞いている……」

(正確に言うと、被害を受けたのは私が操作していた主人公なわけですが……ーー私が第二王子ルート苦手な理由はそれだし……)

「……無くはないでしょうけど……ーーそんなに心配なら、誰かに注意される前に私が指摘してあげるわよ」
「……それはそれで心が痛いよ……?」

 リアーヌは最近特に厳しくなった家でのレッスンを思い出し、顔を引きつらせた。

 その後、合流したゼクスにも「絶対にそんなことにはならないよ」と言われ、リアーヌはようやくお茶会に出席することに同意したのだった。

(ーー同意って言っても、多分これ半強制で参加決定なお茶会なんだけどさ……)

 ーーリアーヌが心の中で毒づいたことはおおむね正解だった。
 ビアンカはパトリックの婚約者という立場上「リアーヌを誘って欲しい」と言う言葉は“連れてこい”と言われているも同然であり、ゼクスとしても本人の好みはどうあれ、パラディール家の私的なお茶会に定期的に招かれる事実がある種のステータスとなり得ているためだ。
 しかし、どちらもリアーヌが本気で嫌がるのであれば強制したりはしないと心に決めているようだった。
 ……授業などでの貸しを前面に押し出したり、甘いスイーツなどのご褒美で意見を変えさせる用意はあるようだったが。



 「ーーなるほど。 そのような縁からボスハウト家が雇うことになったんですか……」

 やってきたパラディール家のお茶会。
 挨拶を終わらせ席に着いた途端、フィリップは騎士科のクラス分けのトーナメント戦にて、突如として頭角を表したエドガーについてたずねていた。

 あの後、結局エドガーはリアーヌに専属になってもらうという選択肢を諦めきれず、困ったオリバーはヴァルムに相談を持ちかけた。

 元々ザームの友人候補だったことや、トーナメント戦で優勝したエドガーは二年からSクラス入り確実ということもあり、ボスハウト家と雇用関係を結び、きちんとした口止めが出来るのであれば自分がラッフィナート家に掛け合うという判断を下した。
 そして、エドガーは雇用関係を結ぶため、王城務めの経験がある者たちすら、そう簡単には突破出来ないヴァルムとの面接を行い、見事に突破して見せたのだった。

「雇うといっても、相手は男爵家のご嫡男ですので、雇用期間は弟が卒業するまでの間、なんですけれど……」

 強化レッスンの成果なのか、リアーヌは少々ゆっくりとした口調ではあったが、質問に対する回答を無難に答えて見せた。
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