成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「……え、良いんですか?」
「俺はそう考えてるよ?」

 念を押すようにたずねるリアーヌにあっさりと頷くゼクス。

「ーー詳しく説明していただいても?」

 ビアンカも不可解そうに顔をしかめてはいたが、そう言いながら話の続きを促した。

「全ては結果次第ですがーーリアーヌにああまで言われたあの方は、これから先婚約者のために心を砕き、時には下手にも出てエスコートをなさるはず……ーーというか、しますよ普通の男なら」
「……そうでしょうね。 少なからず心当たりもあるご様子でしたし」

 ゼクスたちは苦笑を浮かべながら肩をすくめ合う。

「その結果、少しでもかの方のお心が動けは、あとはお二人の周りがなんとかするんじゃないですかね?」
「……両家共に気を揉んでいると言う話は程度は、耳に届いておりましたわね」

 二人が納得したように頷き合う姿を眺めながら、リアーヌは一人冷や汗をかき続けていた。

(違うんです……問題はあの二人にも両家にも無いんです……フィリップに、レジアンナのことを妹としか見てない、って事実を認識させてしまったことなんですよ……)

「ーーそりゃ気も揉みたくなりますよねぇ……この国屈指くっしの名門ーーその筆頭とも言える家のお嬢様がド派手なドレスに化粧で社交界にご登場ですよ? ……よく周りが許したもんですよ」
「……すぐに領地へと帰った私たちの耳にも届いたんですから、騒ぎの大きさも知れるというものですわ」

 声をひそめ、口元を隠しながら言い合う二人の会話に、リアーヌは別の意味で嫌な汗をかいていた。

(……えっ? そんな騒ぎ知らないんですけど⁇ ってか、レジアンナが赤とか黒とかのドレスで胸元バーン! 背中ドーン! なドレス来てるのなんか、デフォなんじゃ無いの⁉︎ あの子いっつもそんな感じじゃない⁇)

 その知識は、ゲームのプレイヤーだったからこそ知っている知識だった。

 入学当時、嫌がらせを受けていたとはいえ、クラスの違うレジアンナとリアーヌの間には面識らしい面識などは存在しなかった。
 そのためリアーヌは気がついていなかったのだが、レジアンナがゲームの中のような格好をして社交界に現れたのは今年が初めてであり、今年から社交界に顔を出し始めたリアーヌはその姿を目撃していたのだがーーリアーヌがそれを特別気にすることは無かった。

 リアーヌの中でのレジアンナの人物像は、妖艶なドレスと真っ赤な口紅をまとって主人公の前に立ち塞がる、悪役令嬢でしか無かったのだからーー
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