成り上がり令嬢暴走日記！

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「……こちらとしても、その三つの要望は受け入れるべきだと考えています。　ーーただし、こちらが必要としている分に関してはこちらも全力で確保に動くし、当然値段の交渉も発生すると思って欲しい。　売れないならば手間がかかっていようが買いたたかせてもらう。　物納を希望するならば、なおさらその審査の目は厳しくなると思ってほしい」
「……受け入れてくださるのですか？　本当に⁇」

　こんなにもあっさりと受け入れられるとは予想していなかったのか、ディーターは探るような眼差しをゼクスに向け、何度も確認の言葉を重ねた。
　そんなディーターの様子にゼクスは苦笑を浮かべると、分かりやすいように少し言葉を乱して答えた。

「ああ。　値段は要交渉ようこうしょうだが、そっちにもちゃんと利益が出る額にはしよう。　もちろん出来た分全て売れ、なんて言わないし、傷モノや規格外を加工品に回すことも規制したりしない。　もちろん俺に格安で売ってくれてもいいがーー……これまでの損害を値段に反映させることはーー許さない」

　ゼクスはあえて強い言葉を選んでディーターーー村人たちを牽制した。
　まだ子供とも言える自分が甘い顔ばかり見せていてはつけ上がる者が必ず出てくる……そう考えたためだった。

「……結局は泣き寝入りかよ」

　村人たちの中の誰かが呟いた声が、やけにこの部屋に響き渡ったような気がした。

「ーーそっちにも言い分はあると思う。　でもこっちにだってそれを補填する義務なんてないんだ」

　そんなやりとりを見つめながらリアーヌはそっとため息を漏らした。

（……気の毒な話だとは思うけど、ゼクスの言い分はその通りなんだよねぇ……前がやらかしたんだから、その責任は前が自らきっちり取るか……ーーやっぱり王様だと思うんだけどなぁ……自然災害だって割り切って見舞金、支給したらいいのに……）

　どことなく重苦しくなってしまった部屋の空気を変えようと、ゼクスはわざとらしいほど明るい表情を浮かべて口を開いた。

「ーー俺としては農園に期待してるんですよ？　貴方のところが潤うってことは、この村の労働者の半数が潤うってことにも繋がりますし、それだけの人数何潤うなら、それはきっと村中に還元されると思うから。　だから是非ともこれまでの損失を取り戻すぐらい設けてほしいものですね！」
「……そうなれるよう努力いたします」

　声をかけられたディーターが戸惑いの色を浮かべつつも事務的に淡々と答えたことで、部屋の中をシラ……っとした空気が支配した。

「……ーーリアーヌもそう思うでしょ？」
「……はいっ！　そうなったら素敵だと思います」

　居た堪れなくなったゼクスはリアーヌに同意を求め、リアーヌはお茶会で場を盛り上げるかの如く、楽しそうな笑顔を貼り付けながら同意するのだった。