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「えーと……そう! その話を続けましょう! ーーなんで労働での納税はイヤなんですか? ……私はなにを理解していないんでしょう⁇」

(労働での納税は父さんだってやってた。 私たちが小さかったから最低限ではあったけど、そこまで嫌がってるようには見えなかったけど……? なんなら近所のおっちゃんたちとお金出し合って毎晩晩酌して楽しんでたっぽいし、行商人から買った、ちょっとしたものをお土産にくれたこともある……ーー私、そんなに金持ちのお嬢様やってたわけじゃないから、そこまでトンチンカンなこと言ったつもり無いんだけどなぁ……)

 リアーヌの言葉に、青年は気まずそうに頭をかいて言葉を濁そうとするが、周りやリアーヌの真っ直ぐな視線に促され、ポソリポソリと事情の説明を始めた。

「ーー貴族に言われて働きに出るってことは、余計に金がかかるってことなんだ……です」

 説明を始めた青年の視線がリアーヌの少し後ろに送られた瞬間、すぐさま青年は姿勢を正して言葉づかいを改めた。

(……なんならこの人に大声出された時よりも、後ろのアンナさんの様子を確認するほうが恐ろしいまであるな……?)

 リアーヌは乾いた笑いを浮かべながら、青年の説明の続きに耳を傾ける。

「食事にテント代や道具を借りるならその金……それから馬車を使うならその運賃も……」

「……え?」

 リアーヌは驚愕に目を見開いて青年や村人たちを確認するが、そのほとんどが顔を顰めグッと押し黙っている様子を見て、その青年の言葉が真実なのであるということを理解する。

「ーー最低?」

 そしてゼクスに視線を移すとポソリと呟いた。
 父からの話でしか労働での納税を知らないリアーヌですら、今の青年の言っていたことが異常であるということぐらいは分かる。

 通常労働での納税者たちは、その衣食住すべての面倒を領主に見てもらうのが当たり前なのだ。
 そのほとんどの者たちが自分達で金を出し、酒やら嗜好品やらを買ってはいても、基本的な食事やテントなどは支給されるものだった。
 ましてや使う道具に金を出させたり、そこに行くまでの運賃を請求することなど、噂ですら聞いたこともない、あり得ないことだったのだ。

「待って⁉︎ え、取らないよそんなの⁉︎ ーーそんな顔で見ないでよ、取るつもりなんか無かったってば!」

 リアーヌや村人たちに不信感たっぷりの眼差しを向けられて、ゼクスは弁解するように慌てて言葉を重ねていく。

「納税だっていうなら食事はこっちで用意するし、野宿になるようならテントだって道具だってこっちで用意するよ! 馬車だってそうだからね⁉︎ こっちで用意して送り出すに決まってる‼︎」
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