成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 リアーヌはその背中にゾクゾクゾクっと悪寒が走り、足元や座っているお尻の下から、ムズムズと這い上がってくるような強烈な居心地の悪さを感じた。

(なんだこれ? なんかすっごい嫌なんだけど⁇ え、なんかものすっごい嫌なんですけど⁉︎)

 初めて感じるよく分からない感覚にドギマギしていると、その様子をどう受け取ったのか、ゼクスがため息混じりに問いかけてきた。

「ーーリアーヌはこの村どうなると思う? みんな幸せに暮らしましたとさー……で終わると思う⁇」

 投げやりな態度でそう言ってギシリと音を立てながら椅子にもたれかかるゼクス。

「えっとですねぇ……?」

 そんなゼクスを横目に見ながらリアーヌは必死に自分の状況を把握しようと考えを巡らせる。

(……よく分かんないけど、この嫌な感じ、父さんからコピーしたギフトじゃないかな……? よく分かんない嫌な感じってそのぐらいしか心当たりないし……ーーつまりは、ゼクスがこの村を諦めるのがダメってことで…… ダメなんだとしたらーー……え? この状況で私にどうしろと……⁇ ゼクスなんかすでに話し合う気もなさそうにしてるし、村人だってだいぶ強硬な態度よ……?)

 チラリとゼクスや村人に視線を走らせたリアーヌはその中でたった一人、この村の代表を務めるディーターと目があった。
 ディーターは目があった後もジッとリアーヌを見続け、その答えを待っているようだった。

(この村の行く末……ーーこの人を説得できれば、もしかしたら……?)

 リアーヌがそう考えた瞬間、むずむずとした居心地の悪さが少し緩和されたような気がしたーー

 リアーヌはゆっくりと深呼吸をすると、ディーターを見つめたまま口を開いた。
 どうか理解してほしいと、願いを込めてーー

「……私は二、三年の内にーーなんらかのに巻き込まれてこの村は無くなると思います」
「なっ⁉︎」

 リアーヌの言葉にディーターが驚愕の声を上げ、その周りの村人たちもザワリ……とどよめき、そしてリアーヌに攻撃的な視線を向けた。

「ーー俺は一年もかからないと思うなー? ある意味では今この村って貴族の注目の的だし、でっかい道路引いて交通の便も良くなるし⁇ こんな森に囲まれた村、偵察しようと思ったら簡単に出来ちゃうよねー? ーーなら俺が手を引いたことぐらい、すぐに分かっちゃうんじゃないかなぁ⁇」

 ヘラヘラと軽薄そうな笑みを浮かべながら、村人たちを挑発するように喋るゼクス。
 ーーラッフィナート側の護衛が苦笑いを浮かべながらチラリとゼクスを振り返ったのは、わざと自分にヘイトを向けさせてリアーヌを守ろうとしたことがバレバレだったからなのかもしれない。
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