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「だあぁぁぁっ! もう一回だ、もう一回‼︎」
ラッフィナート邸のリビングに響き渡る、クライスの喚き声。
頭を抱えテーブルに突っ伏したクラナスは、ガシガシと頭を掻きむしる。
そして徐に顔を上げると、手に持っていたトランプを少々乱暴にテーブルに叩きつけ、空になっていた自分のグラスに酒を注いで、一気に煽った。
「おおー。 いい飲みっぷりだねぇ」
そんなクラナスに向かってからかうよう笑いながら声をかけたのは、リアーヌの父でボスハウト子爵家当主、サージュ・ボスハウトだった。
ーーつまりは今日、この日がボスハウト家とラッフィナート家の顔合わせの日であり、無礼講での食事会の日であった。
無礼講だからと挨拶もそこそこに幾つかの商談を取りまとめ、無礼講だからと食事もそこそこに商談成立の祝杯を上げ、すっかり上機嫌になった親父たちはカードゲームに情熱を注いでいたーー
「サージュ! お前本当にイカサマしてねぇんだろうな⁉︎」
「してねぇって」
酒が入って気が大きくなったのか、クライスは管を巻くようにサージュに絡む。
そんなクラナスにおかしそうにクツクツ笑いながら答えるサージュ。
一使用人だった昔のような雑な扱いが、思った以上に心地がよかったのだ。
「だよなぁ? 俺とお前でしっかり見張ってたもんなぁ……⁇」
同じテーブルについて、共にポーカーをしていたグラントが、それでも不可解そうにサージュの持っていたトランプを手に取り、しげしげと見つめながら言う。
そうは言っても、サージュだけがこんなにツイているのか理解できないようだった。
そんなグラントの行動にサージュは困ったように笑って肩をすくめつつ口を開く。
「なんでか、いつも疑われるんだよなぁ? ーーま、負けねぇからなんだろうけどな⁇」
そう言うとサージュは二人を煽るようにニヤリと笑い、自分の側にずらりと並べられた戦利品の酒瓶たちに視線を流した。
「くっそぉ……次はこの酒だ!」
「ーーならワシはこれを出す」
クライスがドォン! と大きな音を立てて一本のウィスキーをテーブルの上に出して、グラントは静かにーーしかしギラギラと交戦的な眼差しでワインボトルをテーブルに出した。
「これまた高そうなのを……ーー悪いねぇ? んじゃ俺はこの中の一本だ。 勝ったら好きなの持ってってくれ」
そう言ってニッと笑って見せる。
そんなサージュにグラントたちはビキリッとその額に青筋を立てると、獣が威嚇している時のように、唸りながら歯を見せる。
そしてサージュを睨みつけたまま、テーブルの上に散らばるトランプをかき集め始めた。
その仕草はとても酷似していて、それが微笑ましくてクスリと笑みをもらしたサージュは、一段と鋭い視線で二人から睨みつけられてしまうのだった。
ラッフィナート邸のリビングに響き渡る、クライスの喚き声。
頭を抱えテーブルに突っ伏したクラナスは、ガシガシと頭を掻きむしる。
そして徐に顔を上げると、手に持っていたトランプを少々乱暴にテーブルに叩きつけ、空になっていた自分のグラスに酒を注いで、一気に煽った。
「おおー。 いい飲みっぷりだねぇ」
そんなクラナスに向かってからかうよう笑いながら声をかけたのは、リアーヌの父でボスハウト子爵家当主、サージュ・ボスハウトだった。
ーーつまりは今日、この日がボスハウト家とラッフィナート家の顔合わせの日であり、無礼講での食事会の日であった。
無礼講だからと挨拶もそこそこに幾つかの商談を取りまとめ、無礼講だからと食事もそこそこに商談成立の祝杯を上げ、すっかり上機嫌になった親父たちはカードゲームに情熱を注いでいたーー
「サージュ! お前本当にイカサマしてねぇんだろうな⁉︎」
「してねぇって」
酒が入って気が大きくなったのか、クライスは管を巻くようにサージュに絡む。
そんなクラナスにおかしそうにクツクツ笑いながら答えるサージュ。
一使用人だった昔のような雑な扱いが、思った以上に心地がよかったのだ。
「だよなぁ? 俺とお前でしっかり見張ってたもんなぁ……⁇」
同じテーブルについて、共にポーカーをしていたグラントが、それでも不可解そうにサージュの持っていたトランプを手に取り、しげしげと見つめながら言う。
そうは言っても、サージュだけがこんなにツイているのか理解できないようだった。
そんなグラントの行動にサージュは困ったように笑って肩をすくめつつ口を開く。
「なんでか、いつも疑われるんだよなぁ? ーーま、負けねぇからなんだろうけどな⁇」
そう言うとサージュは二人を煽るようにニヤリと笑い、自分の側にずらりと並べられた戦利品の酒瓶たちに視線を流した。
「くっそぉ……次はこの酒だ!」
「ーーならワシはこれを出す」
クライスがドォン! と大きな音を立てて一本のウィスキーをテーブルの上に出して、グラントは静かにーーしかしギラギラと交戦的な眼差しでワインボトルをテーブルに出した。
「これまた高そうなのを……ーー悪いねぇ? んじゃ俺はこの中の一本だ。 勝ったら好きなの持ってってくれ」
そう言ってニッと笑って見せる。
そんなサージュにグラントたちはビキリッとその額に青筋を立てると、獣が威嚇している時のように、唸りながら歯を見せる。
そしてサージュを睨みつけたまま、テーブルの上に散らばるトランプをかき集め始めた。
その仕草はとても酷似していて、それが微笑ましくてクスリと笑みをもらしたサージュは、一段と鋭い視線で二人から睨みつけられてしまうのだった。
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