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その言葉に頷いたのはヴァルムで、捕捉するように言葉を重ねた。
「ーーそうでございますね。 加えて言うのであれば、その話がその国で有名である必要も無いでしょう」
「その国ではそう言いながら売られていたーーそんな証言があれば、それはもはやまごうことなき真実ですね」
口元に弧を描きながらクツクツと含み笑いをしている二人に、リアーヌは自分の頬が引き攣っていくのを感じていた。
(あれ……? 本格的なサギの話なんです……⁇)
「二人で鐘を鳴らして、鍵かけて、愛妙薬を食べさせ合って? ーー若いって良いわねぇー」
桃色の吐息を漏らしながら体をくねらせるリエンヌにサージュが大きく反応した。
「俺たちも行くか、母さん」
ソファーの背もたれに腕をかけ、体ごとリエンヌの方に向き直りながらニヤリと笑いながら誘いをかける。
「やだあーっ! お父さんってばっ!」
口ではそう言いながらも、リエンヌは満面の笑みを作りながら頬に手を当てて嬉しそうにサージュを見つめ返している。
「ーーお客様の前にございますが……」
ヴァルムが軽い咳払いの後、静かに指摘する。
「あ……」
「おほほ……」
「いえいえ、仲がよろしくて羨ましい限りです」
ごまかしあうように愛想笑いを浮かべる子爵夫妻に、ゼクスがフォローを入れるように声をかけた。
そしてーー
「ーーそれでその鍵なんですけど、うちの店なら、相当安く作れると思いますが……」
と、商売の交渉を始めた。
その提案に、夫妻はすぐさま真剣な表情になると、各々がギフトを使ってゼクスの言葉を検討し始める。
「……鍵ならいいんじゃないかしら?」
「ああ。 問題なさそうだ」
「うちには鍵を作るお店が無いから、格安ならありがたいわ」
「ーーありがとうございます」
満足そうに頷き合う子爵夫妻にゼクスも笑顔で返す。
しかしその表情はすぐに伺うようなものになり、ゼクスはそっと質問を投げかけた。
「ーーそれと……リアーヌ嬢との領地視察の件なのですが……」
「ああ……行ったほうがいいんだったか?」
ゼクスの言葉に、サージュはリエンヌに確認を取るように視線を送った。
「ええ。 うちのとってもリアーヌにとってもいいことよ」
「なら決まりだな」
子爵夫妻のその会話にホッと息を吐き、リアーヌに視線を送り少し口角を引き上げて見せるゼクス。
リアーヌも途中に寄ることが決まっている港町、そしてそこで出会えるであろう海鮮物を思い、満面の笑みを返した。
「ーーでは日程の調整を……」
そう言ってヴァルムは書類をゼクスに差し出し、日程調整の話し合いが始まった。
「ーーそうでございますね。 加えて言うのであれば、その話がその国で有名である必要も無いでしょう」
「その国ではそう言いながら売られていたーーそんな証言があれば、それはもはやまごうことなき真実ですね」
口元に弧を描きながらクツクツと含み笑いをしている二人に、リアーヌは自分の頬が引き攣っていくのを感じていた。
(あれ……? 本格的なサギの話なんです……⁇)
「二人で鐘を鳴らして、鍵かけて、愛妙薬を食べさせ合って? ーー若いって良いわねぇー」
桃色の吐息を漏らしながら体をくねらせるリエンヌにサージュが大きく反応した。
「俺たちも行くか、母さん」
ソファーの背もたれに腕をかけ、体ごとリエンヌの方に向き直りながらニヤリと笑いながら誘いをかける。
「やだあーっ! お父さんってばっ!」
口ではそう言いながらも、リエンヌは満面の笑みを作りながら頬に手を当てて嬉しそうにサージュを見つめ返している。
「ーーお客様の前にございますが……」
ヴァルムが軽い咳払いの後、静かに指摘する。
「あ……」
「おほほ……」
「いえいえ、仲がよろしくて羨ましい限りです」
ごまかしあうように愛想笑いを浮かべる子爵夫妻に、ゼクスがフォローを入れるように声をかけた。
そしてーー
「ーーそれでその鍵なんですけど、うちの店なら、相当安く作れると思いますが……」
と、商売の交渉を始めた。
その提案に、夫妻はすぐさま真剣な表情になると、各々がギフトを使ってゼクスの言葉を検討し始める。
「……鍵ならいいんじゃないかしら?」
「ああ。 問題なさそうだ」
「うちには鍵を作るお店が無いから、格安ならありがたいわ」
「ーーありがとうございます」
満足そうに頷き合う子爵夫妻にゼクスも笑顔で返す。
しかしその表情はすぐに伺うようなものになり、ゼクスはそっと質問を投げかけた。
「ーーそれと……リアーヌ嬢との領地視察の件なのですが……」
「ああ……行ったほうがいいんだったか?」
ゼクスの言葉に、サージュはリエンヌに確認を取るように視線を送った。
「ええ。 うちのとってもリアーヌにとってもいいことよ」
「なら決まりだな」
子爵夫妻のその会話にホッと息を吐き、リアーヌに視線を送り少し口角を引き上げて見せるゼクス。
リアーヌも途中に寄ることが決まっている港町、そしてそこで出会えるであろう海鮮物を思い、満面の笑みを返した。
「ーーでは日程の調整を……」
そう言ってヴァルムは書類をゼクスに差し出し、日程調整の話し合いが始まった。
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