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しおりを挟む「ーーまぁ、そっか……?」
『なんの苦労もなくタダで手に入れた幸せ』という言葉が意外にも刺さったザームは、それもそうだな……? と大いに納得したのだった。
「縁結びの鍵っていうのは?」
リエンヌも疑問に思っていたことをリアーヌにたずねる。
「どこかのフェンスとか柵? どこでも良いんだけど、そこに二人で鍵ーー錠前をかけるの。 で、その錠前の鍵はどこかに捨てちゃうーーあぁ、専用の回収場所を作ってもいいかもね。 で、鍵がない錠前はもう二度と外せないでしょ? だから二人は二度と離れられませんよっていう願掛け?」
「あらあ! 素敵じゃないっ」
リアーヌの説明に大きく反応したのはリエンヌだった。
瞳をキラキラと輝かせながら満面の笑みでリアーヌを見つめている。
「でしょー?」
リアーヌは母の言葉に、嬉しそうに鼻をツンッと高くした。
「ーー鍵は近場で売ったら、たくさん売れるわよぉー!」
「確かに。 ピンクでハート型ーとかにしたら、みんな喜びそうだね?」
「まぁまぁまぁ! 売れるわっ売れるわよっ!」
ギフトを使っていたリエンヌはリアーヌの意見に、頬を紅潮させ興奮気味に言った。
「あーじゃあ、全体的にガッツリ縁結びストポットにしちゃう? ピンクとかハートとかの小物で飾り立てて、二人ギリギリ座れるようなベンチたくさん置いたりしてさ?」
「ーーおっそれ良いぞ!」
今度はサージュがリアーヌの意見に顔を輝かせる。
指をパチンッと鳴らしながら上機嫌で大きく頷いている。
「もー、父さんそればっか……」
そんな父に苦笑いを浮かべるリアーヌ。
「ーーなぁ、美味いもんは?」
ザームが後ろから顔を突き出しながらたずね、ヴァルムの咳払いによってゆっくりと背筋を伸ばした。
リアーヌはそんな弟の姿にクスクス笑いながら少し考えながら口を開いた。
「んー……じゃあ、大きめの1つの飲み物に2つのストローとか、いかにもあーんしやすそうな大きさのお菓子とか……?」
「プチシューだな⁉︎」
「いや、普通にチョコとかでもよくない?」
「じゃあチョコかかったプチシューだな⁉︎」
「……じゃあそれで。 ーー案外おあつらえむきかもね、どっかの国じゃチョコレートは“愛の妙薬”って言われてるらしいし……」
「……そうなの?」
肩をすくめながらそう言ったリアーヌにゼクスの控えめな声がかかる。
「ーーあれ? 違いました⁇」
「ーー……いや? そもそもそんなの証明することは難しいからねぇ……?」
そう言いながらニヤリと、商人めいた腹黒い微笑みを浮かべるゼクス。
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