成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「あー……それは無理っぽいですね……?」

 ヴァルムの言葉に口を窄めながら答えるリアーヌ。

(お城の近くにあるのは知ってたけど、あそこら辺一帯、全部お城の敷地に含まれてるとは思わなかった……さすがは王城、デカ過ぎワロタ)

「おそらく許可がおりないかと……」

 ヴァルムはそう言いながら頭を下げると、控えめに一歩後ろに下がった。
 それは、これ以上は口を挟まないと言う意思の表れで、それを理解したリアーヌたちはヴァルムから視線を外すと、軽くソファーに座り直して、再び話し合いを始めるのだった。

「うーん……あと、人を呼べそうなイベント……ーーあ、あの池を凍らせてスケート場とか⁉︎ 夏でも涼しいよっ!」

 良い考えを思いついた! とばかりに人差し指を立てながら満面の笑みで語るリアーヌ。
 しかし両親のーー今度は母リエンヌの表情が特に渋く歪められている。

「あの池をギフトで凍らせるってことか?」
「そう!」
「……あの池って、あの大きな池のことよね?」
「もちろん!」

 渋い表情の両親とは対照的に、ご機嫌でニコニコと笑いながら答えるリアーヌ。
 ギフトの力があればどんなことでも解決できると思い込んでいる節があるようだった。

「ーー出来るか?」

 サージュは少し首を逸らして、離れたところに座っているリエンヌに向かって質問を投げかけた。

「……え、出来ないの?」

 父の視線に釣られるように母を見つめながらリアーヌはポソリと呟いた。

「冬は良さそう……でも夏はダメね。 そんな大量に氷のギフト持ちを雇ったら、予算なんかすぐに使い切っちゃうわ」

 リエンヌはギフトの力を使うと、フルフルと頭を振りながら答える。

「げぇー……氷のギフト持ちってそんなに高いんだ……」

 そんな母の言葉に、ご令嬢らしからぬ声を上げ盛大に顔を顰めるリアーヌ。
 しかしヴァルムの短い咳払いを聞くと、慌てて表情を取り繕ってヘラリ……と笑って見せた。

(結構重要な話し合いをしてる今くらい、お行儀とかちょっと大目にみてくれたっていいのに……)

 恨めしげにヴァルムを盗み見るリアーヌだったが、ヴァルムがすでにリアーヌを見つめていたため、すぐさまバチリとめがあってしまつ目があってしまう。
 そのことに動揺したリアーヌはさらにヘラヘラっと笑顔を濃くしてゆっくりと視線を外すと、「えっと……他にはなにか良い案ないかなぁー?」と、芝居がかった口調で言った。

(しかし……難易度、高過ぎじゃない? だってそんないい案があるならみんなとっくの昔にやってるわけで……それが難しいからみんな頑張って町おこしとかやってるんでしょー? ーー町おこし……? なんかテレビでそんなのやってたな……⁇ えっと……あれは確かーー)
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