成り上がり令嬢暴走日記！

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（ーーケジメ……？　過去の精算……⁇
ーーえっフィリップと⁉︎　ここに来て女関係の修羅場から、過去の因縁的なガチ修羅場にメタモルフォーゼ⁉︎　ーーえ⁇　私、何要員で連れてこられたのよっ⁉︎）

　混乱するリアーヌをよそに、ゼクスはいつもの飄々とした態度でスタスタとフィリップに近付いて行く。

「お招きありがとうございますーーベルグング様。　……分かっていましたけど、当然いらっしゃいますよねー？」

　ゼクスの立ち位置が変わったことと、その言葉に違和感を感じたリアーヌは、きょとりと瞳を瞬かせながら、相変わらず豪華なパラディール家のサロン内を見渡す。
　そして、座り順こそ違うものの前回と同様の人物たちが座っていることを、ようやく確認したのだった。

（ーーえーと……確か、クリフトフ様と……ウソのギフト持ってる人と氷の人……ーーやばい。　フィリップ以外の三人の呼び方が分からん……ーーあれ？　今、読んだのフィリップの家名じゃ無かったような……？　え、どう言うことなの……⁇　ーーゼクスさんってば、マジなんで私を連れてきたん……？）
　
　困惑しゼクスの背後でキョドキョドと視線を揺らすリアーヌを置き去りに、フィリップたちは招待客であるゼクスを出迎えるため、立ち上がる。
　そして挨拶を兼ねた世間話を始めるのだった。

「これはこれは盛大なお出迎えありがとうございますーーははっあんまり盛大過ぎてビックリしちゃったね？」

　ゼクスはそう言いながら、自分の背後に隠れるようにして立っていたリアーヌをさりげなく隣へと移動させ、うまく言葉が出てこないであろうリアーヌのフォローまでして見せた。

「……末席とはいえ、とうとう叙爵されたと噂の、時のお方かたラフィナート様から、直々に話をさせてほしいなどと言われ、少々浮き足立ってしまいました」

　照れ臭そうに鼻の頭を掻きながらそう言ったのは、先日リアーヌたちに氷魔法のギフトを披露したラルフ・ベルグングだった。

「おもてなしに気合を入れすぎてしまったかな？」

　ラルフの言葉にクリストフがおどけて答えると、それを合図にクスクスと楽しそうに笑い合う四人。
　ーーとても和気あいあいと楽しそうではあったが、招いたゲストに席すら勧めていない状況下でやることではなく、その辺りに疎うといリアーヌですら、感じた疎外感そがいかんに少し表情を曇らせたほどだった。
　
「ーーああ、我々も同席したって構わないだろう？」

　ひとしきり笑い合ったのち、フィリップが今更のようにゼクスにたずねる。
　そう言いながらゼクスの目の前にある椅子に手を差し出しながら。
　ーーつまりはジェスチャーのみで席を進めたのだ。