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「ーー子供なんて、みんな残酷なほどに素直なもんだろ? ……だから早々に『じゃあアイツは俺たちの仲間じゃねーな?』ってなって……俺だけお客さま扱い? ーーもしくは接待かな⁇」
「それは、つまらなそうですね……」
「ーーうん。 つまんなかったなぁ……だからなのかな……? 俺どうしてもってのが欲しくてさ、「もう学校に通う!」ってごねにごねて無理やり中等部から学校通ったんだよ」
「ーーレーシェンド学院の?」
「そう。 お貴族様かつ裕福な家の子たちばかりの魔窟だって噂の“あの中等部”ですよ」

 リアーヌはゼクスが暗黒の学園生活を送ったという話を少しだけ知っていた。
 ーーと言っても誰かに説明されたわけでも噂を見聞きしたわけでもなく、ただ情報の中の一つとして読んだのだ……
 ゲームの中でもほんの少しだけ、ゼクスの過去の話が語られるのだ。
 ……痛ましい記憶として。

「ーーマジでさ……ーー子供なんて、残酷なほどに素直でさ……貴族ばっかりの教室に、平民の商人なんて俺だけでさ……いやー嫌われたよー。 俺、友達作りに学校通ってるのに、クラスメイトに言われたんだよ? 『お前は平民だから仲間じゃない』ってさぁ……」
「うわぁ……」
「ははっ本当、うわぁだよねー……ーー中等部は護衛は付けて良かったから、そいつら以外でまともに喋ったのなんか、教師ぐらいだったよ……」

(ーーそうだ……それでそのクラスにフィリップもいてーーまぁ特に意地悪とかはしないけど、助けることもしないーーいわゆる傍観者って立場で……ーーだからこそゼクスはフィリップが嫌いなんだよねー……「どんなに綺麗事並べたって、お前は自分のためにしか動かないんだろ?」って絶対に信用しないーーまぁ、フィリップの性格に関してはその通りすぎるんだけどー)

 そこまで考えたリアーヌはゼクスが先程言った言葉に引っ掛かりを覚え、これまでの自分の人生を思い返していた。

(待って……? 護衛くらいしかまともに喋ってない少年時代……?? ーーあれちょっと待って? ……私ってさ、子供の頃は家の手伝いやら、お小遣い稼ぎに出かけてて……そりゃ挨拶するくらいはする子達はいたけど……ーーそこから父さんたちとあのお屋敷で暮らすようになってーー……遊んでくれたのは少し年の離れた庭師見習いのお兄さんで……ーーきっと友達の枠に入れられてないから……ーーなるほどな? ……ザームがずっと側にいたから気がつかなかったけど……ビアンカってば私の初めてにして唯一の友達なんじゃない⁉︎)

「ーーリアーヌ嬢? なんだかおかしな顔つきになってるけど……⁇」

 黙りこくったまま、眉間にシワを寄せギョロリギョロリと大きく視線を揺らしながら、これまでの人生を振り返っていたリアーヌに対し、心配そうにおずおずと声をかけるゼクス。

「あ、いえ……あの……ーーちょっと今、衝撃的な事実に直面しておりまして……」
「衝撃的な……?」
「……私もビアンカと出会うまで友達ゼロでした……」
「ーーえ……?」

 リアーヌの衝撃的な事実の告白に、ゼクスは困惑しきった声をあげるのだった。
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