成り上がり令嬢暴走日記！

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「助けてくれたりとか……してもいいのよ？」

　あまりに他人事なビアンカの態度に、リアーヌはねだるようにチラチラと視線を送りながら言った。

「ーー私わたくし出来ないことは約束しない主義なの」
「……アドバイスとか……何卒なにとぞ……」

　綺麗な笑顔で拒否するビアンカにリアーヌは、手を伸ばして物理的に縋りつきながら言った。

「すぐにボロを出しそうで怖いわ……？」
「それが一番怖いの私ですけどね⁉︎」

　その言葉に、肩をすくめながら目をグルリと回して、呆れてみせる。
　そして「……はぁ」と小さくため息をつくと、顔を引き締めリアーヌに向かって真剣な顔を向けながら口を開いた。

「貴女はとにかく早く相談して、ボスハウト家の動向を明確にするの。　……問題がなければ私にも教えてもらえると助言はしやすくなるとは思うてる」
「ラジャ！　絶対に教える！」

　ビアンカはリアーヌの言葉づかいに一瞬顔をしかめたが、なにを言うこともなく話を続けた。

「それを教えてもらえるなら、ラッフィナート殿がどのように考えているのか探りを入れてみるわ。　……そこまで深く聞くつもりはないから、誤魔化されないよう願っていてちょうだい」
「全力で祈り続ける！」

　顔を輝かせ満面の笑みで答えるリアーヌに、ビアンカは小さく吹き出してクツクツとした笑いをこぼしながら、口元に手を当てて口を開く。

「それとーーこれは私の意見で、貴女はボスハウト家の決定に従った方がいいとは思うけれどーーどうすればギフトをコピー出来るのか、きちんと調べておいたほうがいいと思っているわ」
「え……ーーでもそんなの調べてたんだって、後から誰かに知られたら……」
「その危険はあるわ。　でも方法が分からなければ自衛することも出来ないのよ？　ーー例えばコピーの条件が、目の前でギフトの能力を披露してもらうことーーとかだった場合、貴女には見ないという自衛手段が取れる。　貴女の能力が周りにバレてしまった時でも、周りが見せないという手段が取れるもの」
「あー……確かに。　そう言われると、ちゃんと分かってた方が良さそう……」
「幸い、ご家族がギフト持ちなんだから、色々試してみればいいと思うわ」

　この意見にリアーヌは目を丸くしてビアンカの顔を見つめ返した。

「なるほど⁉︎」
「ご家族ならば、家や貴女の不利益になることはなさらないでしょうし……」
「ーーわかった！　コピーする方法頑張って調べてみる！」

　むんっ！　と握り拳を作りながら言ったリアーヌに少し呆れたように小さくため息を漏らすと、その決意が空回りしそうなリアーヌに向かって言い聞かせるように言った。

「……あくまでも最初は相談よ？」
「ーーあ……そっか」

　そう答え、ペロリと小さく舌を出したリアーヌに、はっきりとため息を吐いた。
　そして肩をすくめながらリアーヌに向かって言った。

「私もギフトについて書かれている本なんかで、なにか情報が書いてないかどうか調べてみるわ」

　そう言いながら（ラッフィナート家がなにかしらを知っているというなら、絶対にその元となった文献、もしくはそれに準ずるものがあるはずなのよ……）と、予測を立てていた。

「助かるぅぅぅ！　お願いしますっ‼︎」

　ビアンカがそこまでしてくれるとは考えていなかったリアーヌは（なんだかんだ言って友達思いなんだからっ！）と喜びを爆発させると、目の前にいるビアンカに飛びついた。

「ちょっと⁉︎」

　そこまで広くもない部屋の中が、ビアンカの驚愕と非難に満ちた声で満たされたのだったーー