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一章 村からの脱出
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「――片付け代わりますね!」
「あらそんな! 良いのよ、今日はゆーっくり休んで?」
「……ぇ?」
絶対ありえない発言に、思わず笑顔が剥がれ落ちる。 取り繕う前に奥から足音が聞こえ、思わずそちらを振り返った。
「戻ったのか」
「あ……はい! ありがとうございました!」
ペコリと頭を下げると、どこか探るような視線を向けられる。
「……あの?」
「あー……いや――出発の日は決まったのか?」
「……村長からは3日後辺りが良いだろう、と……」
私の答えに、旦那さんも奥さんもギラリと目を怪しく光らせたのがわかる。
気がついてしまったことをごまかすように明るく言葉を続けた。
「それまで何日入れるかわかりませんが、あと少しだけよろしくお願いします」
その言葉に2人はほんの一瞬視線を交わし合い、その一瞬後、愛想のいい笑顔を浮かべ口々に「おう!」「当たり前よぉー!」と答えた。
――わかった。
ダリアようやく把握。
――村長どころかコイツらまで私たちを奴隷にしたくてうずうずしてんだ。
物語のダリアたちは、今回のようにお金を押し付けられ、それを盗まれた! と騒ぎ出す。 私たちを泥棒として捕まえて、罰として奴隷に――落とそうとしたところを、村長や村人たちの目を盗んで逃げ出し、兄弟たちと手に手を取り合って森に逃げるってストーリーにした。
そういえば書きながら考えた設定で、実は村人のほとんどが自分の家だけの奴隷を欲しがってて、逃げられなかったらありもしない犯罪がわんさか出てきて、とんでもなく長い間奴隷でいるハメになった――みたいなこと考えてた覚えがあるもん……
つまり――村長もコイツらも、どんな手を使えば、私たちに罪をなすりつけられて、どれだけ長く自分たちの奴隷にできるかを必死に考えてるってこと!
……自分で考えといてなんだけど、本当に胸糞悪いな。
「あっ! そうだわ、あと少ししかないなら、ねぇ?」
「――ああ! そうだな?」
白々しい会話が始まったが、怪訝な顔などできないので、きょとんと目を丸くしたまま首を傾げ、2人のほうを見つめた。
旦那さんがこちらに無言でなにかを差し出す。 思わず受け取ってしまってからイヤな予感に襲われた。
「今までの礼金だ」
「お金……?」
うわ、絶対盗まれたとか言い出すやつー!
大体アンタたち、今まで『村で養ってやってるんだから、こずかい程度の金でこき使われて当然』みたいな態度だったくせに、いきなり礼金⁉︎ そんなん払うつもりがあるなら、今までの労働分きっちり精算してよ! そんなのする気もないくせに、何が礼金じゃっ!
「あと3日、なにかと物入りになるだろ?」
「そりゃそうよ! なにせ森を抜けるんですもの、ねぇ?」
「はぁ……」
「――そうだ! うちのパン買っていくかい⁉︎ ろくなパン食ったこと無いだろ?」
……お忘れのようですか、それはお前らが、まともなパンを買おうとすると「孤児のために焼いたわけじゃない」だの「それはアンタたちには勿体無いからそっちのにしな」とかケチつけてきたからなんですけどねー⁉︎
「あらそんな! 良いのよ、今日はゆーっくり休んで?」
「……ぇ?」
絶対ありえない発言に、思わず笑顔が剥がれ落ちる。 取り繕う前に奥から足音が聞こえ、思わずそちらを振り返った。
「戻ったのか」
「あ……はい! ありがとうございました!」
ペコリと頭を下げると、どこか探るような視線を向けられる。
「……あの?」
「あー……いや――出発の日は決まったのか?」
「……村長からは3日後辺りが良いだろう、と……」
私の答えに、旦那さんも奥さんもギラリと目を怪しく光らせたのがわかる。
気がついてしまったことをごまかすように明るく言葉を続けた。
「それまで何日入れるかわかりませんが、あと少しだけよろしくお願いします」
その言葉に2人はほんの一瞬視線を交わし合い、その一瞬後、愛想のいい笑顔を浮かべ口々に「おう!」「当たり前よぉー!」と答えた。
――わかった。
ダリアようやく把握。
――村長どころかコイツらまで私たちを奴隷にしたくてうずうずしてんだ。
物語のダリアたちは、今回のようにお金を押し付けられ、それを盗まれた! と騒ぎ出す。 私たちを泥棒として捕まえて、罰として奴隷に――落とそうとしたところを、村長や村人たちの目を盗んで逃げ出し、兄弟たちと手に手を取り合って森に逃げるってストーリーにした。
そういえば書きながら考えた設定で、実は村人のほとんどが自分の家だけの奴隷を欲しがってて、逃げられなかったらありもしない犯罪がわんさか出てきて、とんでもなく長い間奴隷でいるハメになった――みたいなこと考えてた覚えがあるもん……
つまり――村長もコイツらも、どんな手を使えば、私たちに罪をなすりつけられて、どれだけ長く自分たちの奴隷にできるかを必死に考えてるってこと!
……自分で考えといてなんだけど、本当に胸糞悪いな。
「あっ! そうだわ、あと少ししかないなら、ねぇ?」
「――ああ! そうだな?」
白々しい会話が始まったが、怪訝な顔などできないので、きょとんと目を丸くしたまま首を傾げ、2人のほうを見つめた。
旦那さんがこちらに無言でなにかを差し出す。 思わず受け取ってしまってからイヤな予感に襲われた。
「今までの礼金だ」
「お金……?」
うわ、絶対盗まれたとか言い出すやつー!
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「そりゃそうよ! なにせ森を抜けるんですもの、ねぇ?」
「はぁ……」
「――そうだ! うちのパン買っていくかい⁉︎ ろくなパン食ったこと無いだろ?」
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