これは私の物語

笹乃笹世

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一章 村からの脱出

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「……あれは森で食べるものだよ?」
「ええー……」
「プリム」

 不満げな声をあげ、ガクッと背中を丸めたプリムにウィリムが嗜めるように声をかける。
 しかしプリムはそれにも唇を尖らせて答える。

「だって……あんなにたくさん貰ったのに……」

 プリムの視線の先には少しの薪の山がある。
 しかしプリムが本当に見つめているのは、薪のその下――あの下に、姉さんたちに貰ったドライフルーツやナッツが埋められていることを知っていて、それを食べたいとゴネているのだ。

 村を出ることが決まった私たちは、結婚したフェリシー姉さんと婚約が無事に決まったジャン兄さんたちのお祝いをする! と、森で綺麗な花を摘み、魔物避けと呼ばれるお香の元になるになるポマンタという植物をたくさん取ってきて、祝いの品とした。
 ――のだが、なぜかその場で「餞別だから……」と、たくさんのナッツやドライフルーツを渡されていた。

 食い盛りの子供たちだけしか暮らしていない小屋の中――そしてものがよく無くなってしまう小屋の中、見えるところに置いておくのは危険と判断し、あそこに隠したわけだけど……あんまりそっちばっかり見るんじゃありません! 村のヤツらにバレるでしょ!

「森に行く前に全部なくなっちゃったら、森でなんにも見つからならなかった日、ご飯が無くなっちゃうよ? お水だけ飲んでたいの?」
「それは……やだ」
「んじゃ森までカマンね?」
「……うん」

 唇を尖らせ、さもシブシブというプリムの返事に、クスッと笑みが溢れる。

 ……どうしようかなー?

 会話には加わってこないが、ウィリムたちも、滅多に食べられない甘いものや、食べたことのないローストナッツに興味津々なのは分かってる。
 ダリアの身体だって、味見くらいいいじゃないか!と強く訴えていて――

「……んじゃ、明日の朝ちょっとだけ食べちゃう?」
「良いの⁉︎」

 私の言葉にいち早く反応したのはロランだった。
 その言葉に頷きながらもシーッと声をひそめる。

「バレて取られないようにコッソリね? だれにも秘密。 外で「美味しかった!」とか話すのもダメ!」
「うん!」
「じゃあ――明日の朝は早起き決定ー!」

 そう言って両手を突き上げると、プリムとロランもきゃらきゃらと笑いながら私のマネをする。 そして敷布の上をじゃれつくように転がり始めた。

「良かったの?」

 いつの間にかウィリムが近くに来ていた。 私の隣に座り視線で隠してあるドライフルーツの方を指す。

「……私も食べたかったから。 でも本当に大切なものだからちょっとだけね?」
「……せっかく2人がくれたのだもんね?」
「うん……」
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