Forbidden fruit

春蠶 市

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小話詰め合わせ

■お題:ハメ撮り02

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▼ロキ×ナオ(弟×兄)
 お題:ハメ撮り(ワンドロ)


 どこにでも名所というのは存在する。
 そして名所というのは種類が多い。
 命を絶つ場所や、命を絶った後の存在が現れると噂される場所、そして命を遊びで生もうとする場所――それらはゴミ溜めである北区にも数多存在しており、ボールではなく人が頭からピンに突っ込むことの多々ある騒がしいボウリング場の廃れたゲームセンターは金のない者がホテル代わりに利用する名所だった。
 特に仕切りによって内側の見え辛いプリクラ機は個室のようなものであり、お盛んな利用者が後を絶たない。
 証拠にプリクラ機のブース内には明らかに個人が置いたコンドームの箱が置かれ、床には使用済みのそれらがコンビニ袋や空き缶、注射器の残骸ともに散乱している。

「流石に落ちるとまずそーな」

 ミントグリーンの視線を持ち上げてロキはぼやく。

「にーさま。ちゃんと足に力入れとけよ?」
「――ッあ!」

 優しげな声音とは裏腹に乱暴に細腰を引き寄せれば、よろめいたナオが眼前の出っ張っている正面カメラに縋るように爪を立てた。

「兄様。膝震えてッけどへーき?」
「っ、……っ、ん、平気、だよ……」
「そう? じゃあ動いてい?」
「うぁっ!」

 返事を聞く前にローションで適当に解しただけのまだ酷く狭い腹奥にモノを押し込めば、与えられる圧迫感にナオの肩が大きく跳ねた。

「あ! ッ――!」
「……おっと」

 震える膝が崩れ掛け、反射的にナオが身体を強張らせる。

「兄様。あぶねーだろ」
「はっ、っごめんねロキ」
「良い子で立ッてな」
「うん。……ァ、ん、ん……っ」

 上擦った吐息はいつもより切羽詰まった荒さを溢す。ナオの震える足に力がこもると性的に茹だった腹内が連動して一際強く収縮し、蕩ける粘膜壁が甘美に痙攣した。

「あ……っ、っ」

 内側に収まる熱量の感触を自分から強めたナオは汗ばむ肌に生理的に鳥肌を立たせ、息を飲む。
 ふうふうと鼻で息をして、奥歯を噛むナオの姿を後ろから覗き見てロキは首を捻った。

「にーさま? なんで声我慢してんの?」
「っう……こ、こ……外、だから」
「別にいーじゃん。聞かせてやれば」
「でも、ロキが……バレたら怒られるって……」

 言ったよね? と涙ぐむ目で振り返ってきたナオにそういえば言った気がするとロキはぼんやり思い出す。が、周りを見れば分かるようにこのプリクラ機をまともに使ってる者などいないだろう。
 しかしそれを理解できない兄はプリクラ機はプリクラを撮る機械としか認識しておらず、ならばとロキはコートのポケットから小銭を取り出した。

「使えば怒られねーよ」

 ナオの肩に顎を乗せ、ロキは片手で小銭を投入口に突っ込んだ。
 薄かった照明が無駄に明るさを増して、ロキは一瞬眩暈を感じ眉を顰める。それはナオも同じだったようで目を瞑った。

「ほら兄様。操作して?」
「ひあっ!」

 両手で腰を引き、狭苦しい奥を突き上げればナオが背を退け反らせる。
 咄嗟にナオがパネルに手を付いたせいで勝手に操作がされ、場違いなほど明るい声がフレンドリーに次の操作指示を出す。

「あーあ、なに選んだの兄様? ちゃんとやんねーとダメだろ」
「っふあ――っァ、ごめ……っぅあ!」
「じゃァちゃーんと選んで? どれにする?」
「んくッ、ぅ、選ぶ、から……ッ待ってっ! ぁああ――!」

 身を擦り寄せて熱く濡れた内側をぐちぐちと音を立てて責めれば、ナオは苦しげに湿った吐息を散らした。

「ぅ――――んん……ッ!」

 痙攣する白い内腿を粘性の強まった体液が滑り落ちて引き下げられたズボンにまで水分を滴らせる。半端に身に付ける乱れた衣服は動きを制限し、ナオは与えられる暴力的な快楽にろくな身動ぎすらできず奥歯を食いしばった。

「にーさま」
「んぅ、っ――!」
「勝手に声我慢するし、選ばねーしで今日は悪い子なわけ?」

 ロキはナオの髪を引っ張る。
 強制的に首を後ろに反らされたナオは噛み締めていた唇を開いて「ごめんなさい……」と火照った呼吸とともにロキへと呟く。

「謝るよりやることあんじゃねーの?」

 ロキが黒髪から手を離し、顎で前をしゃくればナオのふらついていた視線が前を向いた。
「えっ、と……」と唾液の絡んだ舌で零しながらナオはパネルへと意識して震える手を伸ばす。
 背筋をたまらない快楽にくすぐられ息を乱すも表示されているフレームの種類を確認し始めるナオにロキは目を細め、背後から勝手にパネルへと触れた。

「え……?」

 慣れた手付きでロキはすべての操作を終わらせると訳が分からずに瞬きを繰り返しているナオの身を後ろから抱き締めて、そのままブース内にある階段状の撮影用の台へと雑に座った。

「――――!」

 ぐちゅん、と一層淫靡な水音が跳ねるがそれはうるさすぎるシャッター音に掻き消された。

「――……っ、あ」
「お? イッた? 可愛いとこ撮ッてもらえたんじゃね?」
「ひッ、あ、あっ」

 重力と自分の体重で最奥まで収まったモノの衝撃にナオの脚の筋が攣る。

「はっ、あ、っあ……っ」

 途切れ度切れの絶頂の喘ぎがだらしなく開いた唇から洩れ、見開かれた双眼はどこも見ずに火花を散らした。
 焦点が派手にブレたナオを肩越しに覗き込みロキは涙に湿る頬にリップ音を何度も落とす。それだけでブルリと細腰が生理的な胴震えを起こした。

「ン……はっあ、はあ……っ」
「兄様。使ッてる間は怒られねーから。兄弟でプリクラ撮るのも超楽しーだろ? 前向きな」
「んっ!」
「どんなふうに撮られたい?」

 性感帯に叩き付けられた痛烈な圧に絶頂を迎え、快楽の余韻に脱力しているナオの両足をロキは抱え直す。

「あっ! っぅ……っあぁ」
「ほら、どうする?」

 ロキは白い膝下に腕を通してまとめて抱えると動き易いようにナオの重心を自分のほうへと寄せた。緩くナオの足を浮かせ、ゆるゆると滑る粘膜壁を擦れば弛緩していた柔肉がびくつく。

「っんん――!」
「超可愛いの撮ろ?」
「ひあ……っ」

 寄せ合った身体を揺すって刺激を与えれば綻んでいた腹奥が痙攣し、再び心地良く絡み付いてくる。

「はっ、うぁ、ふあぁ……っ!」
「兄様。まだたくさん撮れるッて。俺チュープリ撮りたい」
「は、っ、な、に……んぐっ!」

 ロキは官能の熱に浮かされて思考が蕩けているナオの疑問符に噛み付いて、舌を捩じ込んだ。
 麻痺した舌が力なくも重なってきて、唾液を混ぜ合わせる。唇の隙間から粘度を濃くした唾液を滴らせてまぐわえば、またシャッター音が狭いブース内に響いた。

【end】
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