Forbidden fruit

春蠶 市

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近親相姦ごっこ

■近親相姦ごっこ_06

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 まともな返事が出来ず、唾液で濡れた唇から……うっうっ、と嗚咽をしゃくり上げるナオの横顔にロキは優しく微笑んだ。

「兄様。全部出せた? 確認してあげる」
「あっ――――ひ、……ッ!」

 ロキは横たわるナオの隣に寝転ぶと疼痛を孕んだ快楽に鳥肌を立たせているナオの縮こまる脚を撫でた。
 濡れた内腿を持ち上げて、管理された暴力的な絶頂に困憊して弱々しくなったモノを口に含んだ。

「っ、っ゛――――!」

 空気を揺らした声にならない引き攣った声を気にせず唾液を絡めて……ぢゅっと吸い上げる。

「! あっ! っ゛ァ――――!」

 もはや嬌声とは呼べない悲鳴じみた声が白い喉から迸るがロキは精液を残さず吸い出すように口淫を続けた。
 虚脱した身体はろくな身じろぎもできず、性暴力にただただ翻弄させる。

「ぅ、ンッ……ひゃんとれた?」

 ぢゅるりと体液を啜り、唇を離すとロキは満足した笑顔とともに身体を起こす。

「っ――……ぁ、っ」
「にーさまぁ?」

 横たわるナオは寝ているのか起きているのか分からなかった。筋肉反射の痙攣が止まらなくなり、汗ばんだ身が小刻みに跳ねる。半開きの唇からだらしなく赤い舌先が零れていた。

「にーいーさーまッ。先に寝るなよ」

 ロキはナオの羽織るシャツを乱暴に掴んで引っ張る。
 脱力している脚を押さえ、弛緩している後孔に自身を添える。先端が触れると行為に慣れている濡れそぼった孔が引くついて、誘われるようにロキは腰を寄せた。ばちゅっ! と痛烈に肌がぶつかり合う。

「ひぁあ――――!」
「おはよズルい兄様。ズルーく一人で気持ちいいまま寝ちゃッてた?」
「あ、っ! ッぁあ――――!」

 既に精液に汚されている内側は粘り気が強い。腸壁のざらつきは甘美にぬめり、抜き挿しの度に隙間からぐぽぐぽと卑猥な水音が弾けた。

「う、っあ……っだめ、っまた……!」
「んー? 俺も今度は一緒にイキてーけど……兄様ずッと変になッちゃッてて無理ッポイ?」
「ひあ! っあ、っぁ、あ! っ――!」

 鮮烈な痺れにもう満足に身動きもできないナオの脚を掴んで動き易いよう位置を変える。
 狭苦しい窄まりは少しの動きにも敏感に反応して締め付けを強め、絶頂を繰り返すモノから先走りにしては量の多い体液が弱く溢れた。

「休憩したい?」
「――っ、ふ、っは、ごめ、っ待、って……」
「ダーメ。俺のお願いきいてくれるよな? だッて兄様は俺の兄様だろ」
「――――ッ!?」

 ロキは繋がったままのモノを抜かずに悦に逆上せて朦朧とするナオの体躯を強制的に起こした。子供を膝に乗せるようにヒョイと自分に寄り掛からせる。

「あ゛ッ、ァ――――……!」

 ロキの上に座り込んだ瞬間、自分の体重でソレをさらに奥へと一気に押し込んだナオが肺を痙攣させた。内臓を押し上げてくる異物感と強い感覚に生理的な胴震えを引き起こす。

「ぅ、っ――――!」
「ン、ッ……っ」

 視界を瞬かせて悶絶するナオの身体に引っ張られ、ロキも思わず背筋を震わせた。咄嗟に息を飲み、下腹部に溜まる焦燥感を理性で堪える。

「ッ、兄様ッたら激しすぎ……」
「うっく、っふぅ、っ……っ」
「はぁー……兄様の身体超最高」

 必要以上に過熱された肉欲をロキは浅い呼吸で落ち着かせる。

「はァッ、超きもちー」
「はっ、うぁ……っは……っはあ」
 
 裏腹にナオの呼吸は荒く嗚咽混じりのもので、頭はぐったりとロキの肩に落ちてしまった。
 兄の丸くなった背中を子供をあやす手付きで軽くポンポンと撫でる。汗で濡れたシャツが素肌にべたりと張り付いて撫で辛い。

「兄様。寝ちゃダーメ。今度は一緒にな?」
「っ、ふ……っぅく、っぐ……っ」
「泣いてる兄様見てると俺チョー楽しくなッちゃう。兄様ッたら煽り上手」
「ひ! っあ゛ッ、あ――!」

 痙攣する柔壁の粘膜を意地悪に擦ればナオは過敏になった身を伸び上がらせた。
 ついでに膀胱を狙って腹を軽く押す。ナオの仰け反った喉の奥でぐうっとこみ上げる音が鳴った。

「う! ……、ッ――ぅ!」
「にーいさま。弟のお願い聞けるよな?」
「……っ、――……」

 曖昧に目線が合わないまま、それでもナオは頷いた。

「キスして兄様」
「……ん……」

 たっぷり五秒と長い間の後、ナオが動いた。
 ロキの唇に震える自分の唇を合わせる。それ以上の触れ合いはなく、ナオは苦しげに深い息を吐いた。

「足りねーし」
「ぅ、ぐ……――!」

 ロキは熱した荒い呼吸を繰り返すナオの半開きの唇に舌を捩じ込んだ。酸素を奪うように口付けて、麻痺して力の入らない舌先を吸い上げる。

「! ん゛っ、っ……っう! っん!」
「ッ、はッ……んん」

 唾液を深くまぐあわせ、息継ぎもせずに貪り合う。雑に舌を重ねる度に腰が疼いた。
 ロキは立て続けの絶頂にまともな反応を示せなくなっているナオのモノを指でくすぐる。

「ぅう゛――――!」

 もっとも敏感な先端を粘液を絡めて指先でくしゅくしゅと擦れば、派手に白い肩が跳ね震えた。

「は、ッ……ン」
「ぅぷ、ァ、っはっ! っあ……はあ、はー……っ」
「はァ……兄様超可愛い」

 やはり一番遊んでいて楽しいのはこの兄だと、弟は改めて実感した。

 ■ ■ ■

 ロキは自分の上でぐったりと虚脱しているナオの頭を覗き込む。

「兄様。超可愛いお顔見せーて」

 ロキが強請れば、俯いていた黒い頭がゆるりと持ち上がった。

「はっ――はあ……っ、ど、したの……?」

 いつもよりも血色が良い赤らんだ頬を無理矢理緩め、ナオは深い息に掠れた声を乗せる。
 白い右手が色素の薄い髪へと伸び、弱々しく髪を梳いた。

「兄様が良い子か見てるだけ」
「ん……そっか……」

 ぼんやりとしているも仕込んだ通りの兄としての動作を見せたナオにロキは柔和に表情を解した。
 血が繋がっているわけでもなく、それ以上に国籍すら違い――尚且つ、兄弟ではあり得ない行為を楽しみながらも二人は必要以上に兄弟であることに固執する。
 その理由は兄弟でいたいからであり、それ以外の答えはない。
 他所から見ればただの兄弟ごっこだが、当人達にとっては互いのみが本当の家族。
 特に弟の執着心は異常であり、常日頃から兄を甘言で拐かしては染めていた。
 外から連れて来たお気に入りの玩具を、兄として躾けて兄として染めていた。

「なあ兄様。俺のこと好き?」
「……ん? 好きだよ。大切な弟だからね」

 火照った思考に陶酔しながらもナオは言い切って、ロキの頭を撫で続ける。褐色肌に張り付く髪束を丁寧な手付きで退かした。

「弟が好き?」
「うん。弟が好き」

 満点の返答にロキは気分良く表情を和らげた。
 ここで弟としてのロキではなくロキ個人を好く奴ならば即刻処分していた。
 ロキが欲しいのは自分に従順な自分だけの兄。自分を弟として愛でない兄など無価値だった。

「俺も。兄様が俺の兄様である限りはずーッと可愛がッてやるよ」
「? 僕はずっとロキのお兄ちゃんだけど……?」
「だな。兄様は弟が大好きな兄様で、弟がいないとなーんにもできない兄様なんだから。俺から離れたら超駄目。絶対に」
「そうだね。離れないよ」
「大好きな弟に嫌われるのは兄様にとッて痛くて辛いこと。超嫌だよな」
「うん。やだ」
「なら兄様は弟に嫌われねーようにしねーと。その為にはどうするんだ?」
「ロキの言うことをちゃんときけばいいんだよね。だって、ロキは間違わないから」
「正解。やッぱ俺の兄様は超良い子」

 ロキは乱れた前髪が汗で張り付くナオの額にキスを落とす。

「良い子でいたらこうやッて超可愛がってやるから」
「ありがとう」
「嬉しい?」
「ロキが楽しそうなら僕はなんでも嬉しいよ」
「じゃ、兄様からキスして。今度こそちゃんと舌入れてくれねーと拗ねるからな」
「はいはい」

 ロキが瞼を瞑れば、すぐさま唇に柔らかな触感が触れる。
 口をうっすらと開いて誘い込めばすぐに唾液の絡んだ舌先が潜り込んできて――――兄弟はその行為がさも当たり前とでもいうように、甘ったるく舌を絡めた。

【end】
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