愛する使い魔達と楽しく最強に!〜スキルのせいで実家を追放されたけど、森で可愛いドラゴンに会いました。今度はスキルを活かして幸せになります!〜

くずは

文字の大きさ
上 下
53 / 58
最強へ

盗賊

しおりを挟む
 私たちはそれからも旅を続けた。魔王と軍との大戦争が終わった直後だったからか、魔王側として戦った魔物たちも減っているみたいだ。おかげでゆっくり旅が出来た。

 山を越え谷を越え、厳しい道のりだと思ったら草原になって。と思ったら次は海を越えて。そしたらまた山を越え……。
 あの船には2度と乗りたくないよ……高い、ご飯が美味しくない、揺れるの3重苦。うっトラウマが……。

 そんなこんなで27日目。ラ・ヴェンナから出航した後、地獄の航海を経て私たちはヴェネテアに着いた。
 あ、交易商さんもちゃんといる。良かった~27日後とか謎に長かったから少し不安だったんだよね。

 「お2人ともお久しぶりです。こんな所まで呼んでしまって申し訳ございません」
 「いえいえ~ちょうど王都まで行く予定だったのでむしろ助かります」

 「それは良かった。ここからの護衛をしてくれるはずだった冒険者たちが……ね」

 あっ……気の毒に……まぁ命がかかってる仕事だし……。

 「冒険者たちが急にパーティー内結婚と解散しちゃってね……」

 いや幸せだった! とってもおめでたかった。良かった。

 「アハハ……それは災難でしたね」

 私達はそんなこんなで王都に向かっていった。馬車にゆられて1日後。朝になって私達はキャンプ地から出発した。

 今のところ普通の魔物が出てきたりするくらいで盗賊も出ないし、今回は結構楽な依頼でラッキー。そもそも王都とヴェネテアの街道は警備も厳しいし別に護衛なんていらな……。

 「ヒャッハー! 金は置いてけぇ~!」
 「あとあれもだ! 男……女だっけ?」

 なんか5人組のキャラの濃い盗賊が来た~! なにこのふざけた連中は。でも刃物向けてきてるし仕事はしなきゃ。

 「ドーラ。岩石弾」
 「ドルちゃん。ダークボールです」

 小石と魔力のつまった黒い球が高速で飛んでいく。装備からして冒険者崩れっぽいし、盗賊に堕ちるようなのはこれで……。
 すると後ろにいた魔術師っぽい感じの人が張った結界に全部防がれた。

 「やばっ。ドーラ、ファイアアローと直後に魔光線」
 「ドルちゃん。念力であたりの物を全部ぶつけて!」

 さぁどうだ! これならそこそこ強い兵士でも……。また防がれた!? 
 まずい。今度は向こうが魔法を撃ってきたり、剣士もこっちに向かってきてる! あぁもう負担大きいけど全部の使い魔を使ってやる! 相手の数が多すぎるよ~!

 5分戦っても未だに相手の結界は破れてない。こっちに切り込んできた剣士と槍使いは、結界の範囲から抜けて攻撃できても後ろの魔術師が邪魔すぎる。
 
 こっちもドルちゃんとサンドが頑張って防いでくれてるけど、回復薬も切れちゃった。こんなになるならもう少し買っておくんだったよ。

 交易商さんはどこに……良かった。だいぶ離れてくれてる。仕方ない。もう一度レッドとグリーンに魔道具を使う。

 魔王戦で最後だと思ったのにまさかこんな所で魔道具を使うことになるなんて。再び一体化した2匹にすかさず巨大化。目の前に10メートルを超える巨体が出現した。

 「こんなんあまり人間にはしたくないけど……そのまま踏みつぶして!」

 体が大きな魔物はとにかく、どんな魔術師でも人間は小さいからね。多分結界を割るだけで殺しちゃう事はないと思うけど少し不安。でもこっちだって余裕はないんだよ。自分たちや交易商さんの命が最優先だからごめんなさい!
 
 グリーン達の体重で結界にどんどんヒビが入って……割れた! 盗賊たちはなんとか足の下から脱出して魔法を撃つけどグリーン達以外の使い魔総出でこれを防いだ。

 「ミズキさん。使い魔全員はそろそろ無理です。私の魔力が切れそうです」
 「私も……。リリアちゃんここで決めるよ!」
 「はい! グリーン、ドラゴンブレス!」

 半径30cmはある光線が盗賊たちを襲う。全員で魔力を集めて防御するつもりらしいけど、これなら防ぎきれないでしょ? グリーンの魔法をくらえ!

 私達の魔力も体力も尽きて使い魔も全員モンスター収納されちゃった。あと頼れるのといえば料理用の包丁とかになったんだけど盗賊たちを倒せてるかな。

 おそるおそる確認すると……なんかみんな座り込んで笑ってる! 元気じゃんやばい! 武器を構えようとしたところで聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 「2人ともそこまでー! あの人達は敵じゃないよ!」

 この声は……アイちゃん! すごい懐かしい。会いたかったよ。で、どこにいるの?
 そう思ってあたりをキョロキョロしてみると後ろに交易商の格好をしたアイちゃんが立っていた。どゆこと?

 「お父さんの友達に頼んで変化魔法をかけてもらったんだ。分かんなかったでしょ」

 だってそりゃ髭もじゃのダンディなおじさんが女の子になるって思わないじゃん!
 しばらく話をして私は気になってる事を聞くことにした。

 「なんでアイちゃんがわざわざ変化魔法まで使ってこんな事を? あとこの盗賊の人たちもアイちゃんのしわざでしょ。並みの強さじゃ無かったよ」

 全員合わせたら、それこそ魔王の四天王くらい強かった。しかも人間だからやっかい極まりない。

 「それはカーラさんが説明してっくれるんじゃないかな?」

 カーラさん? なんで知って……お父さんの仕事の関係か。でも今どう関係してくれるの?
 と思うと今度は盗賊たちの方から声がした。あちこちクルクルと忙しいなぁ。

 「やぁ久しぶりじゃな2人とも。とりあえずドッキリ大成功とでも言っておこうかの」

 ほんとにカーラさんだ! いや盗賊ドッキリとか悪質すぎるでしょ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

転生しました!!

如月花恋
ファンタジー
ある貴族の家に生まれたリィ 小さな時から跡取りになるためたくさんの勉強をさせられた 異種の姉妹の続編?です

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「近接は戦士に劣って、魔法は魔法使いに劣って、回復は回復術師に劣る勇者とか、居ても邪魔なだけだ」  パーティを組んでBランク冒険者になったアンリ。  彼は世界でも稀有なる才能である、全てのスキルを使う事が出来るユニークスキル「オールラウンダー」の持ち主である。  彼は「オールラウンダー」を持つ者だけがなれる、全てのスキルに適性を持つ「勇者」職についていた。  あらゆるスキルを使いこなしていた彼だが、専門職に劣っているという理由でパーティを追放されてしまう。  元パーティメンバーから装備を奪われ、「アイツはパーティの金を盗んだ」と悪評を流された事により、誰も彼を受け入れてくれなかった。  孤児であるアンリは帰る場所などなく、途方にくれているとギルド職員から新人の教官になる提案をされる。 「誰も組んでくれないなら、新人を育て上げてパーティを組んだ方が良いかもな」  アンリには夢があった。かつて災害で家族を失い、自らも死ぬ寸前の所を助けてくれた冒険者に礼を言うという夢。  しかし助けてくれた冒険者が居る場所は、Sランク冒険者しか踏み入ることが許されない危険な土地。夢を叶えるためにはSランクになる必要があった。  誰もパーティを組んでくれないのなら、多少遠回りになるが、育て上げた新人とパーティを組みSランクを目指そう。  そう思い提案を受け、新人とパーティを組み心機一転を図るアンリ。だが彼の元に来た新人は。  モンスターに追いかけ回されて泣き出すタンク。  拳に攻撃魔法を乗せて戦う殴りマジシャン。  ケガに対して、気合いで治せと無茶振りをする体育会系ヒーラー。  どいつもこいつも一癖も二癖もある問題児に頭を抱えるアンリだが、彼は持ち前の万能っぷりで次々と問題を解決し、仲間たちとSランクを目指してランクを上げていった。  彼が新人教育に頭を抱える一方で、彼を追放したパーティは段々とパーティ崩壊の道を辿ることになる。彼らは気付いていなかった、アンリが近接、遠距離、補助、“それ以外”の全てを1人でこなしてくれていた事に。 ※ 人間、エルフ、獣人等の複数ヒロインのハーレム物です。 ※ 小説家になろうさんでも投稿しております。面白いと感じたらそちらもブクマや評価をしていただけると励みになります。 ※ イラストはどろねみ先生に描いて頂きました。

スローライフとは何なのか? のんびり建国記

久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。 ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。 だけどまあ、そんな事は夢の夢。 現実は、そんな考えを許してくれなかった。 三日と置かず、騒動は降ってくる。 基本は、いちゃこらファンタジーの予定。 そんな感じで、進みます。

俺の召喚魔術が特殊な件〜留年3年目から始まる、いずれ最強の召喚術士の成り上がり〜

あおぞら
ファンタジー
 2050年、地球にのちにダンジョンと呼ばれる次元の裂け目が開いた。  そこから大量のモンスターが溢れ出し、人類は1度滅亡の危機に立たされた。  しかし人類は、ダンジョンが発生したことによって誕生した、空気中の物質、《マナ》を発見し、《魔導バングル》と言う物を発明し、そのバングルに《マナ》を通すことによって、この世界の伝承や神話から召喚獣を呼び出せる様になり、その力を使ってモンスターに対抗できる様になった。  時は流れて2250年。  地球では魔術と化学の共存が当たり前になった時代。  そんな中、主人公である八条降魔は国立召喚術士育成学園都市に入学した。  この学園の生徒はまず、精霊や妖精などのスピリットや、鬼、狼、竜などの神話や伝承の生き物を召喚し契約する。  他の生徒が続々と成功させていく中で、降魔だけは、何も召喚することができなかった。  そのせいで何年も留年を繰り返してしまう。  しかしそれにはある理由があって———  これは学園を3年留年してから始まる、いずれ最強になる召喚術士の物語。    

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

処理中です...