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魔王軍
1つ目の魔道具
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「全く鬱陶しい! 何ですかちょこまかと!」
俺ことアベルは錬金の四天王、マネーを一手に引き受けることになってしまった。みんな遠くで戦っていて助けはこなそうだし……これは厳しいかもしれないな。
奴ときたら相当イライラしてるな。このまま隙でも見せてくれたらいいんだが……。そんな相手じゃないか。あれ? 奴はどこに?
「あなたには隙があるようですね!」
しまった! いつの間に後ろに回ったんだ。ぐ……敵のナイフに切り傷をつけられた。しかしこのくらいなら。
「そのナイフは私の傑作! 切り付けた瞬間に毒の効果を付与することの出来るナイフです。あと3時間もしたら……どうなっちゃうんでしょうねぇ! まぁその前に動けなくなって私に殺されるので安心してください」
何!? さすが連中は卑怯な事をするな。でも効き目があるのも事実……。このままだとコイツの粘り勝ちだ。
このアベル、一世一代の勝負に出よう!
「おや? 体力切れですか? 人間は案外貧弱なもんですねぇ」
俺はありったけの魔力を集め始めた。おそらくこれだけの魔法を使う事など一生のうちで今日だけだろう。足の速度をあげる魔法を切ったせいで次々と攻撃を受けるが知った事か。どうせここで失敗したら終わるんだ。
「ぐっ!」
「これは手応えありですね~」
見ると脇腹から血が溢れている。これは……ここまでか……それでも間に合った。
「私の全ての人生をかけてこの魔法を撃ってやる! 神雷!」
まさしく神が放ったかのような一撃が放たれる。
「ほほん! こんな遅い魔法が当たるわけ……」
「逃がさないよ!」
「誰だ!」
逃げようとする所をゴーレムのサンドががっちり捕まえて離さない。
必死に土で壁を作るが、そんな物は神雷の前に紙切れも同然だった。光は十重二十重の付与魔法によって強化された体を容易に貫く。
「お、おい! その子が!」
敵を倒したはいいが、後ろのサンドまで巻き込んだことで焦るアベル。
「大丈夫ですよ。サンドはゴーレムだって忘れてませんか? コアが残って契約者の魔力さえあげれば復活できます」
みるみるサンドの体が再生していく。ゴーレムはここが便利ね。問題は必要な魔力が大きすぎる事なんだけど……もうポーションを飲みたくないよ。うぷっ……。
「マネー様が! よくもぉぉぉ!」
勝利を喜ぶ暇もなく空から翼の生えた魔物が襲ってくる。
「何体いるんだ連中は。早く逃げるぞ!」
「ちょっと待ってくれ」
飛んで逃げようと呼び出したレッドが倒れたハラ・グロの方から何か持ってきた。
「何それ?」
「これが宝玉のうちの片方だ」
見ると燃えている王冠だった。そんな物持って熱くないの?
そう思ったら魔法の炎だから大丈夫らしい。私は安心してリュックに入れるとすぐに飛び立った。
しばらく飛んでいると後ろの魔物はどんどん引き離されていって、そのうち何処かからの魔法がぶつかって落ちていった。
下を見ると大きな街が広がっている。あちこちで爆発が起こって建物は崩れていた。完全に戦場だ。
「ねぇここって最初に戦っていた所からだいぶ離れた街ですよ。いくらなんでも押されすぎじゃないですか?」
「そりゃ山を吹き飛ばすんだよ? 不利なのも仕方ないんじゃないかなぁ?」
「いや、あの攻撃の後にSSSランクが向かったらしくてな。戻っていったって聞いたぞ」
「じゃあなんで……」
「あれじゃないですか……?」
指を刺した先で天空の四天王、確か名前は……そうだスカイ。そいつが空から魔物たちを回復していた。
人間側の攻撃はバリアに弾かれ、空を飛んで向かった人たちは片っ端から撃ち落とされている。
「2人とも……こっちもまずいぞ。本部が囲まれている」
街の中心部にある本部は完全に魔物に包囲されていた。戦闘が激しすぎて助けを呼ぶ人が全員やられちゃったのか、周りの軍は気づいていないみたいだった。
「とりあえず助けついでにあの忌々しいスカイの対処法をききにいこう」
「大丈夫ですか!?」
空から魔物の輪を乗り越えて本部に入った。後はドルちゃんにさっき登録してきたテレポート先に送ってもらうだけだ。
なんとかテレポートも間に合って本部にいた軍の高官達を全員助ける事ができた。いい仕事したよ。
「3人とも感謝する」
「いえ。間に合って良かったです」
戦いが始まる前に演説してた司令官が話しかけてきた。額から血を流している。聞いたら部下をかばって自分でも戦ったんだって。元気すぎる。
「ところでスカイの事なんだが、君たち2人でなんとか出来ないか?」
「……なんですって?」
「正直にいうと空を飛べる味方はほとんど残っていない。テイマーは被害が大きいし、空飛ぶ魔法を使えるやつは真っ先に狙われた」
「待ってください! ならせめて俺も……」
「アベルさん。敵が海から上陸しようとしています。雷を使えるあなたにはそっちに向かって欲しい。スカイ本体は図体がでかいだけでそんなに強くは無い。辿り着きさえすれば大丈夫だ」
確かに……確かに私たちしかいないみたいだね。少し隣を見る。リリアちゃんは力強く頷いた。しょうがないあなぁ。
「報酬は期待してますよ」
「あぁ分かった。なんでもあげるとも」
「その言葉忘れないでくださいね……行ってきます」
「ありがとう」
俺ことアベルは錬金の四天王、マネーを一手に引き受けることになってしまった。みんな遠くで戦っていて助けはこなそうだし……これは厳しいかもしれないな。
奴ときたら相当イライラしてるな。このまま隙でも見せてくれたらいいんだが……。そんな相手じゃないか。あれ? 奴はどこに?
「あなたには隙があるようですね!」
しまった! いつの間に後ろに回ったんだ。ぐ……敵のナイフに切り傷をつけられた。しかしこのくらいなら。
「そのナイフは私の傑作! 切り付けた瞬間に毒の効果を付与することの出来るナイフです。あと3時間もしたら……どうなっちゃうんでしょうねぇ! まぁその前に動けなくなって私に殺されるので安心してください」
何!? さすが連中は卑怯な事をするな。でも効き目があるのも事実……。このままだとコイツの粘り勝ちだ。
このアベル、一世一代の勝負に出よう!
「おや? 体力切れですか? 人間は案外貧弱なもんですねぇ」
俺はありったけの魔力を集め始めた。おそらくこれだけの魔法を使う事など一生のうちで今日だけだろう。足の速度をあげる魔法を切ったせいで次々と攻撃を受けるが知った事か。どうせここで失敗したら終わるんだ。
「ぐっ!」
「これは手応えありですね~」
見ると脇腹から血が溢れている。これは……ここまでか……それでも間に合った。
「私の全ての人生をかけてこの魔法を撃ってやる! 神雷!」
まさしく神が放ったかのような一撃が放たれる。
「ほほん! こんな遅い魔法が当たるわけ……」
「逃がさないよ!」
「誰だ!」
逃げようとする所をゴーレムのサンドががっちり捕まえて離さない。
必死に土で壁を作るが、そんな物は神雷の前に紙切れも同然だった。光は十重二十重の付与魔法によって強化された体を容易に貫く。
「お、おい! その子が!」
敵を倒したはいいが、後ろのサンドまで巻き込んだことで焦るアベル。
「大丈夫ですよ。サンドはゴーレムだって忘れてませんか? コアが残って契約者の魔力さえあげれば復活できます」
みるみるサンドの体が再生していく。ゴーレムはここが便利ね。問題は必要な魔力が大きすぎる事なんだけど……もうポーションを飲みたくないよ。うぷっ……。
「マネー様が! よくもぉぉぉ!」
勝利を喜ぶ暇もなく空から翼の生えた魔物が襲ってくる。
「何体いるんだ連中は。早く逃げるぞ!」
「ちょっと待ってくれ」
飛んで逃げようと呼び出したレッドが倒れたハラ・グロの方から何か持ってきた。
「何それ?」
「これが宝玉のうちの片方だ」
見ると燃えている王冠だった。そんな物持って熱くないの?
そう思ったら魔法の炎だから大丈夫らしい。私は安心してリュックに入れるとすぐに飛び立った。
しばらく飛んでいると後ろの魔物はどんどん引き離されていって、そのうち何処かからの魔法がぶつかって落ちていった。
下を見ると大きな街が広がっている。あちこちで爆発が起こって建物は崩れていた。完全に戦場だ。
「ねぇここって最初に戦っていた所からだいぶ離れた街ですよ。いくらなんでも押されすぎじゃないですか?」
「そりゃ山を吹き飛ばすんだよ? 不利なのも仕方ないんじゃないかなぁ?」
「いや、あの攻撃の後にSSSランクが向かったらしくてな。戻っていったって聞いたぞ」
「じゃあなんで……」
「あれじゃないですか……?」
指を刺した先で天空の四天王、確か名前は……そうだスカイ。そいつが空から魔物たちを回復していた。
人間側の攻撃はバリアに弾かれ、空を飛んで向かった人たちは片っ端から撃ち落とされている。
「2人とも……こっちもまずいぞ。本部が囲まれている」
街の中心部にある本部は完全に魔物に包囲されていた。戦闘が激しすぎて助けを呼ぶ人が全員やられちゃったのか、周りの軍は気づいていないみたいだった。
「とりあえず助けついでにあの忌々しいスカイの対処法をききにいこう」
「大丈夫ですか!?」
空から魔物の輪を乗り越えて本部に入った。後はドルちゃんにさっき登録してきたテレポート先に送ってもらうだけだ。
なんとかテレポートも間に合って本部にいた軍の高官達を全員助ける事ができた。いい仕事したよ。
「3人とも感謝する」
「いえ。間に合って良かったです」
戦いが始まる前に演説してた司令官が話しかけてきた。額から血を流している。聞いたら部下をかばって自分でも戦ったんだって。元気すぎる。
「ところでスカイの事なんだが、君たち2人でなんとか出来ないか?」
「……なんですって?」
「正直にいうと空を飛べる味方はほとんど残っていない。テイマーは被害が大きいし、空飛ぶ魔法を使えるやつは真っ先に狙われた」
「待ってください! ならせめて俺も……」
「アベルさん。敵が海から上陸しようとしています。雷を使えるあなたにはそっちに向かって欲しい。スカイ本体は図体がでかいだけでそんなに強くは無い。辿り着きさえすれば大丈夫だ」
確かに……確かに私たちしかいないみたいだね。少し隣を見る。リリアちゃんは力強く頷いた。しょうがないあなぁ。
「報酬は期待してますよ」
「あぁ分かった。なんでもあげるとも」
「その言葉忘れないでくださいね……行ってきます」
「ありがとう」
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