愛する使い魔達と楽しく最強に!〜スキルのせいで実家を追放されたけど、森で可愛いドラゴンに会いました。今度はスキルを活かして幸せになります!〜

くずは

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魔王軍

ローマァ決戦

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砦の中は人でいっぱいだった。周りにいた兵士や冒険者たちはほとんどここに集められたみたい。

どうやらさっきの錬金のやつはこの大陸の魔王軍のほとんどを引き連れてこっちに向かってるらしい。

ちょうどここ、ローマァは南北に細長いこの大陸の中でも特に横幅の狭いところだからね。間違いなく通るでしょ。

逆に言えばここを抜けられたらこんな大規模な軍隊はなかなか集められない。どこを襲われるかわからないからね。

「みんな聞いてくれ」

いかにも軍の高官といった感じの豪華な鎧をつけたおじさんが話し始める。多分集まった軍の司令官かな? そんな人の鎧にも血がついていた。

「みんな、ここが最後のチャンスだ」

厳しい表情で話し始めた。うわぁ話しながら胃薬を飲んでる。まぁそりゃそうか。最悪逃げれる私たちと違って軍は最後まで戦わなきゃいけないし、奥に自分の国があるんだもんね。

「これがほぼ最後の戦いだ。連合軍はこの軍量を集めるためにここから西は全部見捨てた。ラ・ミゼル、サンライズシティ、キャピタルタウン……誰もが知ってる大都市だ。そしていくつもの小国もだ。今ある戦力がこの大陸の全力だ。今ここにいる1人1人に頼む。この大陸を救ってくれ」

それだけここの人達がこの戦いに賭けていた事にびっくりした。向こうに家族とか友達とかいる人だっているはずなのに……。

「まかせてくだせぇ!こんだけ人がいるなら四天王くらい楽勝ですよ!」
「あいつら恐れ慄いて逃げ出すんじゃないですか?」
「やられた全員の仇は絶対に取ってやりましょう!」

みんながそう言って盛り上がる。そうだよね。こんだけいるんだから勝てるでしょ!

「私たちもみんなに負けないように頑張りましょうミズキさん!」



ズドォォォォン……
敵の魔法が山の中腹に命中する。それだけで大きな洞窟が出来上がる。

「あっちは味方の兵士が集まっていたはずですよ!」
「ちょっと見にいこう!」

急いで駆けつけたけどその頃にはほとんど生きている人がいなかった。私は何とか生きている1人に駆け寄った。

「大丈夫ですか!? 今すぐポーションを……」

いや聞かなくても分かる。どう考えても大丈夫じゃない。だってお腹に木が刺さってるもん。これはもう魔物でもない限り魔法でもどうにもならない。

「いやいい。俺はもう無理だ。それにどうせ助かってもな……魔王だ、魔王が来たんだ」
「魔王? でもそんな事は誰も……」

「俺には分かるんだ。昔少し勉強しててな……。こんな事が出来るのは奴だけだ。俺はお先に退場しておくか……」

それっきり兵士のおじさんは動かなくなった。黙祷しておく。
確かにこんな事が出来る奴なんて初めて見た。それこそ世界最強のSSSランクと勇者くらいじゃないかな。

流石に魔王を相手にするのは厳しすぎる。錬金は今度しばくとして一旦逃げようかな……。でもここの人達が頑張ってるし、いい人もいっぱいいる。リリアちゃんはこういう時逃げたくはないだろうな……。

私はレッドとグリーンに勝てるかどうか聞いてみることにした。今は無理だと言われたらリリアちゃんが嫌がっても逃げるよ。リリアちゃんやドーラ達を死なすわけにはいかないから。

「2人は本当に魔王を倒せるの?」
「うむ。例の宝玉さえあれば絶対に勝って見せよう」
「……信じるからね」

山を降りるとまるで地獄だった。最初は魔王軍側と人類側に分かれていた前線がもうぐちゃぐちゃだ。軍の部隊も死傷者が多すぎてほとんど人数が揃ってないらしい。

冒険者を叩き潰したオークが魔法に当たって吹き飛ぶ。かと思ったら魔法を撃った人がコボルトに切り殺されていた。

「危ない!」

リリアちゃんに飛んできた矢を腕につけた小さな盾で防ぐ。矢を撃ったゴブリンはドーラにしかるべき処置をしてもらった。

「大丈夫? リリアちゃん怪我してない?」
「はい……ありがとうございます」

良かった。こんな混戦になっちゃうと本体の弱い私たちは戦いにくいなぁ。事実テイマーの犠牲がとても多いみたい。ふと向こうを見ると錬金がアベルさんと戦っていた。

戦いが激しすぎて2人を中心にちょうど円みたいな場所ができている。今は魔王は別のところに行ったみたいだね。いい事思いついちゃった。待っててねメイちゃん。
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