愛する使い魔達と楽しく最強に!〜スキルのせいで実家を追放されたけど、森で可愛いドラゴンに会いました。今度はスキルを活かして幸せになります!〜

くずは

文字の大きさ
上 下
29 / 58
新世界

初試合

しおりを挟む
 直径250メートルもある巨大グラウンドに入る。すごい。芝生の所、土とか岩だらけの所、池になってる所。いろんなフィールドが用意されてる。

 魔法を使ってるといっても、こんなグラウンドは初めて見た。防御魔法も最高レベルのものが使われていて、観客席は絶対に安全だ。

 そして何より人でいっぱいの観客席。確か2000人収容可能なんだっけ。こんな所で戦えるなんて最高だよ!

「今回の試合はなんと! あのアク選手の初試合です! 
 万年Dランクとバカにされたり、女性関係で反対派は多いものの、その実力は本物! 
 前回では三位という結果に終わっていますが、今回はどこまで勝ち上がれるのでしょうか?」

「そんなアク選手に挑むのは~ミズキ選手! 今回初参加のため、結果が誰も予想できない! 
 この試合のダークホースとなり得るのでしょうか? 職業はテイマーとなっていますが、どのような使い魔を見せてくれるのかも期待ですね」

 実況が一生懸命に盛り上げる。すでにメイちゃんの白熱した試合を観た観客達はテイマーという言葉に反応したみたいで歓声があがった。

 それでも今の所オッズは大差がついちゃってる。前回三位? まさかチャラピアスがそんなに強かったなんて。

「昨日の返事がまだ聞けてないぜ?」

 こいつ、まだこりてないのか。昨日はアベルさんに助けてもらったけど、今日は違うよ!

「答えはもちろんノーです」

「ふん。可愛くない奴だな」

 審判の合図で私達はお互いに200メートル離れた指定の位置についた。向こうは剣士。
 だけど、スキルを使って遠距離攻撃も出来るだろうから、そこは気をつけないと。

 私もドーラを召喚する。お互い準備が整った事を確認した審判が笛を鳴らした。

「それでは……試合開始!」




 ――とある観客――

 やばい寝坊した!

 今日は楽しみにしていた大会を見に行く予定なのに。せっかくDランクの試合中のチケットを取る事が出来たのに、初日に遅れるなんて……。

 全速力で競技場まで走る。朝ごはんを食べてからの全力ダッシュ……うぅ。気持ち悪い。でも走ったおかげでなんとか三回目の試合には間に合いそうだね。

「シオンさん。チケット確認しました。あなたの席は26Aです」

 入り口でチケットを見せて自分の席を探す。えーっと、26Aは……ここだね。

「次の試合は~……アク選手対ミズキ選手!」

 実況の人が次の試合の選手名を読み上げると同時に、会場の天井から吊るされた古代文明の魔道具が光る。

 これはセットになってる目のような魔道具から見える景色を映し出すものだ。ほんと古代文明の技術ってすごいねー。

 魔道具の大画面に入場してきた二人の選手が写る。
 うわっ、今日の試合はアク選手かぁ……強いからそこそこ人気はあるみたいだけど、セクハラ発言が多いから女の私からしたら苦手なんだよね……。

 もう一人は……まだ私よりも5歳くらい低そうな女の子だ。多分まだ15歳にもなってないんじゃないかな? それなのにDランクなんてすごいなぁ。

 でも初出場らしいし、しかも相手はあのアク選手。この試合はアクの勝ちかな。賭けでも二人は30倍差。私としてはミズキちゃん勝ってほしいけど難しそう。

「ミズキ選手はテイマー。どのような使い魔を見せてくれるのでしょうか?」

 実況の人が選手の紹介を始めた。へー、ミズキちゃんってテイマーなんだ。

 あっ使い魔だした。って何あれ! 可愛い! あんな小さなドラゴン初めて見た! ペットにしたい。これは応援しなきゃ!

「頑張れー!」

 つい大声を出しちゃって周りの人がこっちを向いた。やばっ。恥ずかしい……。

 でも私の声に気づいたドラゴンちゃんがこっちに、あの小さな手を一生懸命パタパタ振ってくれた。なにそれ、もう可愛すぎ!

「それでは……試合開始!」

 メロメロになってた所で審判の声で正気に戻る。試合を見逃しちゃう所だった。といっても勝負の結果は見えてるしなぁ。ドラゴンちゃんを見てるだけにしとこうかな。

「ドーラ! ファイアボール!」

 ミズキちゃんがそう言った瞬間、ドーラって呼ばれてたドラゴンちゃんの周りに30を超える火の玉が作られた。えっ、魔法の発動速度早すぎない? 

 アクは何とか避けたり撃ち落としたりしたけど、結構焦った顔してる。

 最初は余裕な表情でぼーっと構えてたアクが反撃を始めた。アクがお得意の衝撃波で攻撃する。地面に剣を叩きつけて、一方向に衝撃波を飛ばす剣士スキル特有の攻撃だ。

「ドーラ! 右、左、上の順番に避けて! そしたら反撃!」

 ミズキ選手の指示でドーラちゃんは、ひょひょいっと華麗に避けて反撃の電撃を放った。
 すごい……。

 まず避ける方向を指示したミズキちゃん。こうやってドーラちゃんの考える手間を省いて次の攻撃に集中出来るようにしてるんだ。

 そして電撃を選んだドーラちゃん。電撃は威力はそんなに高くないけど、素早いから攻撃のために足を止めたアクに必ず当たる。

 そして皮膚の分厚い魔物ならとにかく、人間だとしばらく痺れて動きを遅くすることが出来る。剣士の場合それなりに動き回らなきゃいけないから、この痺れは致命傷になりうる。

 この一瞬でそれだけの判断をしたドーラちゃん。だいぶ賢い使い魔なんだと思う。さっきも私の言葉を理解してたし。

 そして、その賢さを信じて攻撃だけを指示して細かい事は任せてるミズキちゃんのおかげでドーラちゃんは戦いやすくなってるはず。

 ここまでお互いを信じてるテイマーと使い魔はなかなかいないよ。

 私はあっという間にミズキちゃんの戦いに魅せられていた。これは……もしかしたら私はすごい試合を見れているかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スローライフとは何なのか? のんびり建国記

久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。 ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。 だけどまあ、そんな事は夢の夢。 現実は、そんな考えを許してくれなかった。 三日と置かず、騒動は降ってくる。 基本は、いちゃこらファンタジーの予定。 そんな感じで、進みます。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

俺の召喚魔術が特殊な件〜留年3年目から始まる、いずれ最強の召喚術士の成り上がり〜

あおぞら
ファンタジー
 2050年、地球にのちにダンジョンと呼ばれる次元の裂け目が開いた。  そこから大量のモンスターが溢れ出し、人類は1度滅亡の危機に立たされた。  しかし人類は、ダンジョンが発生したことによって誕生した、空気中の物質、《マナ》を発見し、《魔導バングル》と言う物を発明し、そのバングルに《マナ》を通すことによって、この世界の伝承や神話から召喚獣を呼び出せる様になり、その力を使ってモンスターに対抗できる様になった。  時は流れて2250年。  地球では魔術と化学の共存が当たり前になった時代。  そんな中、主人公である八条降魔は国立召喚術士育成学園都市に入学した。  この学園の生徒はまず、精霊や妖精などのスピリットや、鬼、狼、竜などの神話や伝承の生き物を召喚し契約する。  他の生徒が続々と成功させていく中で、降魔だけは、何も召喚することができなかった。  そのせいで何年も留年を繰り返してしまう。  しかしそれにはある理由があって———  これは学園を3年留年してから始まる、いずれ最強になる召喚術士の物語。    

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

お妃様に魔力を奪われ城から追い出された魔法使いですが…愚か者達と縁が切れて幸せです。

coco
恋愛
妃に逆恨みされ、魔力を奪われ城から追い出された魔法使いの私。 でも…それによって愚か者達と縁が切れ、私は清々してます─!

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

処理中です...