愛する使い魔達と楽しく最強に!〜スキルのせいで実家を追放されたけど、森で可愛いドラゴンに会いました。今度はスキルを活かして幸せになります!〜

くずは

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追放と成長

決着

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敵の十人はそれぞれ動物とか弱い魔物を出してきた。うわっビーストテイマーか。
 ビーストテイマーは動物を使役出来るスキルだ。

 でも何故か一部の弱い魔物も使役できる。神様は弱い魔物なんか動物と一緒だって言いたいのかな? かわいそうに。

 こう聞くとテイマーと同じように聞こえるけど、世間ではテイマーの劣化版って呼ばれてる。単純に動物って魔物より弱いからね。だから盗賊なんかやってるのかな?

 だからといって人様の使い魔を盗んでいいわけじゃないけど。塀の向こうで反省してきなさい。

 おっと。狼が三匹こっちに来た。指示が難しいから基本一匹ずつしか扱えないテイマーに比べて数で押せるのは羨ましいなぁ。
 ドーラのファイアボールで丸焼きにする。

 少し良い匂いが……いやいや何を考えているミズキ。流石に狼はだめでしょ。別の大陸だと食べるらしいけど、私はまだまだノーマルだ。

 あっゴブリン五匹とワンコロが戦ってる! ワンコロはコボルトだしレベルも高い。でも五匹は辛いかな?
 と思ってたらリリアちゃんが魔法で一匹吹き飛ばした。何あれすごい。

「お前ら! もういい。ずらかるぞ!」

 ボスのような人が言うと盗賊達は自分の動物を引っ込めて逃げていった。あっ。いつの間に馬車なんか持ってきたんだよ!

 でも馬車が通れる道がアジトまであるって事だよね。ちょうどいいや。

 私達は馬のところまで戻ってこっそり後をつけた。敵の狼が索敵してるから風下で良かった。なんかこっち見られてる気がする。気のせいだよね? 

 そんな事を続けて一時間。そろそろ辺りも明るくなってきた頃に盗賊は大きな建物の中に入っていった。

 どうやら廃城を拠点にしてるみたい。こんなの地図に無かったよ。何年前の建物使ってるの?

「おい! 誰かいるぞ! 侵入者だ!」

 げっ。バレた。もう少し準備したかったけど仕方ない。相手は……15人くらい?
 さっきの人数とそんなに変わらないね。あまり人に余裕はないみたい。

「ドーラ! ワンコロ!」

 私達も使い魔を出して対応する。動物は魔法撃てないし近づかなければ安心だ。
 アイスビーム! よし。一人倒した。

「ミズキさん。どこまでやりますか?」

 リリアちゃんが聞いてきた。ギルドは全員殺しても構わないと言ってるけど……。

「そうだね……範囲攻撃でまとめて気絶させるぐらいで良いんじゃない? 必死の戦いでも無いしね」

 そんな会話をしてる間にも敵の動物達はどんどん倒れていく。熊とかもいた。

 可哀想だけど仕方ない。心の中でごめんなさいしとこう。

 そして残るは人だけになった。動物を盾に使ったりするから人間は元気いっぱいだ。クズめ。

「ドーラ。範囲攻撃を」

 威力の弱い範囲攻撃で敵は全員気絶した。終わった終わった。後はみんな縛って……敵の馬車にでも乗せとこう。帰りはこれで帰れるかも。

「お疲れ様ドーラ。ありがとうねー」

「ワンコロちゃんもお疲れ様」

 戦ってくれた使い魔達を褒める。やっぱり人はほめて伸ばすのが一番だよ。二匹は人じゃないけど。



「じゃあ……開けるよ?」

 私達は盗賊団のボスっぽい人の部屋の前に着いた。盗賊はさっきので全員だったのか、城の中で探知に反応が有るのはここだけだ。

「はい。用意は出来ています」

 使い魔も出して準備はバッチリ。私は恐る恐るドアを開けた。

 中には一人の女性がいた。私に似た黒髪黒目。白い肌もそっくりだ。

 私が少し大きくなったようなそっくりさん。でも、あの醜い表情だけは違った。間違いない。

「お姉ちゃん……」

 リリアちゃんがびっくりした顔をする。ああもうリリアちゃんには会わせたくなかったのに。汚染されたらどうすんの。

「あら……あなたまだ生きてたの。家から出てもまだ迷惑をかけるのね」

「あの後、大変だったのよ? あなたが街で発見されて、魔の森の事故で死んだという書類を王宮に提出した我が家は問い詰められたわ。
 そのせいで周りの貴族から敬遠されて、資金繰りに卑しい盗賊団を支援していたというのに、そこまで邪魔しようっていうの?」

 私はこれ以上自業自得という言葉が似合う家族を知らない。家族を殺そうとした家なんて誰が信用出来ると思ったのか……。

 それに自分のために働いてくれた盗賊を卑しいとか性根が腐ってるね。

「ミズキさん。大丈夫ですか?」

 ちょうど一週間前にリリアちゃんとドーラには全て話していたから、これでトラウマが蘇ってないか心配された。

 あれ? 確かに少し怖いけど……もしかして、もう大丈夫なのかな。私はリリアちゃんに頷いておいた。

 きっと今までの旅のおかげだろう。良かった良かった。
 でも相手は賢者スキル持ち。気をつけて戦わないと負けちゃうからね。

「ドーラ。ウォータースピア!」

 撃ち落とされる前提で魔法を放つ。
 水の槍が飛んでいって……命中した。
 は? なんで? 防御しないの? これも何かの作戦?

「ワンコロ。スラッシュ!」

 ワンコロが駆け寄って剣を振るう。危ない! 下手に近づくと手痛い反撃を……。

 と思ったけどお姉ちゃんは攻撃を受けてのけぞる。
 あれ? カウンターしなよ?

「良くもやったわね! これでも食らいなさい!」

 あっ。ここで強い攻撃が……。
 でも飛んできたのはファイアボール。ドーラの防御魔法で防がれる。

 もしかして……こいつ弱い?
 訓練でも怠けてたのかな? だとしたら……私はなんのために森に捨てられたの?
 だって私が弱いからって……なのに……なんで……。

 そう考えると怒りが湧いてきた。なんでこんな弱い奴のせいで森で死にかけなきゃいけなかったのか。

 なんで幸せを奪われなきゃいけなかったのか。

「ドーラ! リーフブレード!」

 気づくとあいつは地面に倒れていた。なに? もう死んだの?

 いや……探知によるとまだ生きている。許さない。許さない。

 人を見下すくらい強いんでしょ? だったら早く立って戦いなよ。

「ドーラ! ファイアストーム!」

 でもドーラは攻撃しない。ちっ。
 私は仕方なく短剣を持って向かっていく。

 今度はワンコロに剣を奪われた。

 君まで邪魔するの? これは私とあいつの大事な決闘なんだよ。
 どっちが強いのかを決める大事な試合なんだよ。なんで邪魔するの?

 もう分かったよ。じゃあ素手でもやってやる。

 大股でどんどん近づいていく。ほら? 反撃しないの? 寝てるんじゃなくてさ。

 これで私の手も届くという距離まで来た……その時。

 パン

 私はリリアに頬を殴られた。

「もういいでしょう! やめてください! ミズキさんのそんな顔見たくない!」

 殴られた反動で顔が左を向く。その先にあった水たまりに私の顔が映った。

「え……私……なんでこんな顔をして……歪な笑み……吊り上がった目……憎しみのこもった瞳……これじゃあまるで……」

 ……お姉ちゃんみたい。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 私は後ずさろうとして転んで尻もちをついた。それでも少しでも離れようとする。

「私はあんな顔してない! あんなの私じゃない! 違う! 違うの! 嘘なの!」

 でもリリアちゃんは怖がらずに、見捨てずに、優しく私を抱きしめて言ってくれた。

「私は分かってますよ。ミズキさんの優しさや強さも、寂しがり屋な所や一人で抱え込んでしまう所も全部。
 それでも私はずっと隣にいます。今まで通り、どこまでも一緒に行きましょう」

 私は泣いてしまった。もう十三なのにね。あはは……。
 ずるいよそんなの。そんな事言われたら……私は本気であなたの事が……。




 あの後、盗賊団は全員連行された。姉から実家が絡んでるがバレて父も母も姉も一緒に塀の向こう。しっかり償ってほしい。

「ミズキさん。リリアさん。おめでとうございます。こちら今回の報酬です」

 貴族絡みという事もあって結構お財布は暖かくなった。村の人達も安心してたし、三方良しだ。

 でも私達の旅はこれで終わりじゃない。むしろ未だにこの大陸から出てないし、SSSランクなんてまだまだ先だ。

「ドーラもあの時攻撃しないでくれてありがとうね。あやうく快楽殺人鬼になってたよ」

「ふん。マスターが人殺しを楽しむとなると評判が悪いから」

「ごめんってば。そんな怒らないで」

「今日の夜ご飯の内容による」

 ドーラはそう言うと頭の上で寝てしまった。落ちないように気をつけないと。

「じゃあ……次の大陸に行こうか。リリアちゃん」

「はい。ミズキさん!」
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