4 / 12
生存戦略
しおりを挟む
「はい次の方どうぞ。通行証か冒険者カードを見せてください」
最近忘れかけてたけど私は立派な冒険者。衛兵さんにカードを見せると何事もなく通してくれた。
「若いのに頑張ってるね。依頼からの帰り? お疲れさん」
「ありがとうございます衛兵さん」
さぁ久しぶりの町やいかに!
……特に何も変わってなかった。まぁそりゃ2か月経ってないもんね。なんか色々ありすぎて感覚がバグっちゃうよ。
さっそくギルドに行って花を渡す。文字通り命をかけて取った花なんだからこの報酬だけは怪我しようと死のうとダンジョンマスターになろうと貰わないと。
「はいどうぞ。報酬の25万コインです。お疲れ様です。1ヶ月も経ったから心配したんですよ?」
「ありがとうございます。思ったより遠くて……」
まったく今度はちゃんと必要な期間を教えて欲しい。顔でバレたのか、少し申し訳なさそうな表情で説明された。
「こちらも気をつけたいけど貴族様ってほんま私たち平民には適当ですから……。でも文句いうと処罰されちゃいます。ちゃんと約束の報酬払ってくれるだけでマシな方です」
「それはそうですよね。ごめんなさい。報酬ありがとうございます」
ギルドの受付嬢から報酬を受け取る。25万コイン。金貨と銀貨でずっしり。このジャラジャラ音はたまんないよ~。
ふぅ……ダンジョンマスターになっても普通に外出られてほんとに良かった。あの洞窟に監禁とかだったら敵の前に暇で殺されちゃう。
「あんまり心配させないでくださいね。知ってる冒険者さんが死んだら悲しいんですから」
さっそくダンジョンまで帰った私はエリーから説明を聞きながらゴブリン達の様子を見る事にした。
「まずエリー。私がいない間にダンジョンに何かきた?」
「魔物が何匹か入ってきただけですね。ゴブリンとボアです。どうもゴブリンのコロニーになってると思われてるらしくて、他の魔物もあまり寄ってこないみたいですね」
ダンジョンとすら思われてない……。外からゴブリン達が見えるから入ってこないのか~。確かにゴブリン襲っても食べれないし特にいいこと無いもんね。
さてゴブリン達は元気かな。って2匹赤ちゃんいるじゃん! 感動!
きょろきょろしてるとゴブリン達が焼き魚を持ってきた。
「食べろって事? いいの?」
「ギャギャ」
「ありがと。じゃあいただきまーす」
うん美味しい! これが川の幸ならぬダンジョンの幸か~!
「あれ……? ねぇエリー。ダンジョンの物ってモンスター達は食べれても人間は無理なんじゃなかったっけ?」
ダンジョン内の物は食べれないから食料は持っていけってギルドで習った気がする。頭に入ってた知識でもそのダンジョンのモンスターしか食べれなかったはずだけど……。
「それは人間界での常識ですが間違いです。例外があります。それはモンスターが自分で進んでプレゼントすれば相手も食べれるようになります」
「そうなの!? じゃあ私に良い案があるよエリー。さっそくマスタールームへ集合!」
数秒後、焼き魚を食べながら私とエリーはマスタールームに集まった。
「で、マスターの案とはなんですか?」
「それでは私の考えたダンジョン運営案を提案します! それはずばり……交易!」
そう。ポイントはお金と交換でも手に入る。モンスター達が作った物を売れるなら人件費はタダだし儲かるはず! そっちの方が安全だしね。
私は人間だから売る事は普通に出来るし、これで私のダンジョンも超極貧生活から抜け出して金持ちならぬポイント持ちダンジョンになれる!
「その手がありましたか。確かにそれは他のダンジョンマスターには真似できない事ですね。やはりあなたを選んで正解でした」
「エリーがそんな事いうなんて珍しいじゃん。またからかってるんじゃないだろうな~? ところで他には真似できないって?」
「ふふ。今回は本心ですよ。それは……もうすぐ分かるはずですよ。そんな事より交易の準備をしましょう」
そうだった。ゴブリン6匹じゃ売り物も作れないもんね。2匹は歩くのも微妙な赤ちゃんだし。さっそくだけど2回目のダンジョン大改造だ。
資金は今回の報酬のうちの16万コイン。残り9万はまた別に必要だから貯金して、15万をポイントに直すと……3200ポイント!
昨日まで数十ポイントだったのが嘘みたい。まぁ全部使い切っちゃう予定なんだけどね。金持ちダンジョンへの夢は遠い……。
最近忘れかけてたけど私は立派な冒険者。衛兵さんにカードを見せると何事もなく通してくれた。
「若いのに頑張ってるね。依頼からの帰り? お疲れさん」
「ありがとうございます衛兵さん」
さぁ久しぶりの町やいかに!
……特に何も変わってなかった。まぁそりゃ2か月経ってないもんね。なんか色々ありすぎて感覚がバグっちゃうよ。
さっそくギルドに行って花を渡す。文字通り命をかけて取った花なんだからこの報酬だけは怪我しようと死のうとダンジョンマスターになろうと貰わないと。
「はいどうぞ。報酬の25万コインです。お疲れ様です。1ヶ月も経ったから心配したんですよ?」
「ありがとうございます。思ったより遠くて……」
まったく今度はちゃんと必要な期間を教えて欲しい。顔でバレたのか、少し申し訳なさそうな表情で説明された。
「こちらも気をつけたいけど貴族様ってほんま私たち平民には適当ですから……。でも文句いうと処罰されちゃいます。ちゃんと約束の報酬払ってくれるだけでマシな方です」
「それはそうですよね。ごめんなさい。報酬ありがとうございます」
ギルドの受付嬢から報酬を受け取る。25万コイン。金貨と銀貨でずっしり。このジャラジャラ音はたまんないよ~。
ふぅ……ダンジョンマスターになっても普通に外出られてほんとに良かった。あの洞窟に監禁とかだったら敵の前に暇で殺されちゃう。
「あんまり心配させないでくださいね。知ってる冒険者さんが死んだら悲しいんですから」
さっそくダンジョンまで帰った私はエリーから説明を聞きながらゴブリン達の様子を見る事にした。
「まずエリー。私がいない間にダンジョンに何かきた?」
「魔物が何匹か入ってきただけですね。ゴブリンとボアです。どうもゴブリンのコロニーになってると思われてるらしくて、他の魔物もあまり寄ってこないみたいですね」
ダンジョンとすら思われてない……。外からゴブリン達が見えるから入ってこないのか~。確かにゴブリン襲っても食べれないし特にいいこと無いもんね。
さてゴブリン達は元気かな。って2匹赤ちゃんいるじゃん! 感動!
きょろきょろしてるとゴブリン達が焼き魚を持ってきた。
「食べろって事? いいの?」
「ギャギャ」
「ありがと。じゃあいただきまーす」
うん美味しい! これが川の幸ならぬダンジョンの幸か~!
「あれ……? ねぇエリー。ダンジョンの物ってモンスター達は食べれても人間は無理なんじゃなかったっけ?」
ダンジョン内の物は食べれないから食料は持っていけってギルドで習った気がする。頭に入ってた知識でもそのダンジョンのモンスターしか食べれなかったはずだけど……。
「それは人間界での常識ですが間違いです。例外があります。それはモンスターが自分で進んでプレゼントすれば相手も食べれるようになります」
「そうなの!? じゃあ私に良い案があるよエリー。さっそくマスタールームへ集合!」
数秒後、焼き魚を食べながら私とエリーはマスタールームに集まった。
「で、マスターの案とはなんですか?」
「それでは私の考えたダンジョン運営案を提案します! それはずばり……交易!」
そう。ポイントはお金と交換でも手に入る。モンスター達が作った物を売れるなら人件費はタダだし儲かるはず! そっちの方が安全だしね。
私は人間だから売る事は普通に出来るし、これで私のダンジョンも超極貧生活から抜け出して金持ちならぬポイント持ちダンジョンになれる!
「その手がありましたか。確かにそれは他のダンジョンマスターには真似できない事ですね。やはりあなたを選んで正解でした」
「エリーがそんな事いうなんて珍しいじゃん。またからかってるんじゃないだろうな~? ところで他には真似できないって?」
「ふふ。今回は本心ですよ。それは……もうすぐ分かるはずですよ。そんな事より交易の準備をしましょう」
そうだった。ゴブリン6匹じゃ売り物も作れないもんね。2匹は歩くのも微妙な赤ちゃんだし。さっそくだけど2回目のダンジョン大改造だ。
資金は今回の報酬のうちの16万コイン。残り9万はまた別に必要だから貯金して、15万をポイントに直すと……3200ポイント!
昨日まで数十ポイントだったのが嘘みたい。まぁ全部使い切っちゃう予定なんだけどね。金持ちダンジョンへの夢は遠い……。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる