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魔王編
対モスク公国防衛戦
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休む暇もなく、私が向かったのはモスク公国との戦線です。列車砲に魔力を吸われすぎて飛んでくるのも大変でしたよ……。今は涼しい季節なのに汗びっしょりです。
しかし休んでる暇はありません。とりあえず現在の状況を聞いてみました。するとここで指揮をとっているグデーリオ将軍が答えてくれました。
「恥ずかしながら各地で負け続きです。処罰は覚悟しております」
あれ? どうやら私が怒りに来たと勘違いしているようです。
「いえいえ処罰はしませんよ。敵の数は今や5倍です。多少の負けは仕方ありません。私は現状の説明を聞きに来ました」
「ありがとうございます。分かりました。説明いたします。現在は最初の前線よりも大幅に後退しています。
技術はこちらの方が優れているため、敵の損害は我が軍の3倍以上出ていますが、ずっと攻勢をかけ続けることでこちらの魔力切れを狙うのが敵の作戦のようです」
なるほど……。やっかいですね。純粋に数で押されたとなると対処が難しいです。
「今や我が軍は北の同盟国を守りきれなくなっています」
えっ……それは困ります。この地域の同盟国は非常に豊かなので、この地域からの食糧の輸出がないと我が国はやっていけなくなります。
うん? そういえば敵はどうやって食糧を得ているのでしょうか?
「敵はどうやって食糧を補給しているんですか? この数の軍を養うには相当な量を運ばないといけませんが」
「それは略奪ですね。避難民も増えて困っております……」
「なるほど……それなら本国まで引き込んでみましょう。同盟国には私から説明しておきます」
「なっ! わざわざ土地を明け渡すなんて反対です! 同盟国もなんて言ってくるか……」
「同盟国だって国民感情を考えれば略奪者の味方なんて出来ないので大丈夫ですよ。気にせずやっちゃってください。食糧なら備蓄分でしばらくは持ちますから」
「……了解いたしました」
それから2週間も経たないうちに、我が軍は見事に撤退を完了させました。グデーリオ将軍は有能ですね。
「お呼びでしょうか」
先ほど呼んだグデーリオ将軍が部屋に入ってきました。私は次の作戦を説明します。
「グデーリオ将軍。次の命令です。敵に小麦の一粒たりとも渡さないようにしてください」
「それは……焦土作戦ということですか?」
「やり方は問いません。町を焼き払ってでも敵に食糧を渡してはいけません。安心してください。国民の移住先は用意してあります」
「そんな問題では……いえ、了解しました」
はぁ……こんな命令は気分が悪いですね。昔に国民が幸せな国を作ろうと決めましたが、まだまだ夢には遠いようです。
しかし、ここで敵を倒せば……もう苦労はかけさせません。後で移住した皆さんに一軒一軒、誠心誠意謝りましょう。私に出来ることはそれだけです。
「失礼します。部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
しばらく経った後。要塞に泊まっている私の部屋にグデーリオ将軍が訪ねて来ました。
「作戦は成功です! 敵は食糧を得られずに、撤退を開始しました! これでしばらくは持ち堪えられるはずです!」
おお! やりましたね! もちろん敵は逃がしませんよ。
「どうせなら敵に痛い目を見せつけてやりたくないですか? 私の命令で海軍と上陸部隊が敵の背後に向かっています。挟み撃ちにしてやりましょう」
「やっと攻勢をかけることが出来るんですね! 部下も喜びます」
グデーリオ将軍はとても嬉しそうです。命令とはいえ今までずっと撤退続きで、指揮を保つのに苦労したと聞いてますからね。
「その作戦。私にも手伝わせて貰えないかな?」
うわびっくりした。今度はドアからトウコさんが入ってきました。え……この部屋のセキュリティ弱すぎ……。でも今は好都合です。
「むしろ私からお願いします。兵士さんたちを助けてあげてくれませんか?」
「任せてよ! 私はこれでも勇者なんだからね!」
頼もしいですね。確かにトウコさんなら敵を蹴散らせられるでしょう。さぁ反撃の時間です!
しかし休んでる暇はありません。とりあえず現在の状況を聞いてみました。するとここで指揮をとっているグデーリオ将軍が答えてくれました。
「恥ずかしながら各地で負け続きです。処罰は覚悟しております」
あれ? どうやら私が怒りに来たと勘違いしているようです。
「いえいえ処罰はしませんよ。敵の数は今や5倍です。多少の負けは仕方ありません。私は現状の説明を聞きに来ました」
「ありがとうございます。分かりました。説明いたします。現在は最初の前線よりも大幅に後退しています。
技術はこちらの方が優れているため、敵の損害は我が軍の3倍以上出ていますが、ずっと攻勢をかけ続けることでこちらの魔力切れを狙うのが敵の作戦のようです」
なるほど……。やっかいですね。純粋に数で押されたとなると対処が難しいです。
「今や我が軍は北の同盟国を守りきれなくなっています」
えっ……それは困ります。この地域の同盟国は非常に豊かなので、この地域からの食糧の輸出がないと我が国はやっていけなくなります。
うん? そういえば敵はどうやって食糧を得ているのでしょうか?
「敵はどうやって食糧を補給しているんですか? この数の軍を養うには相当な量を運ばないといけませんが」
「それは略奪ですね。避難民も増えて困っております……」
「なるほど……それなら本国まで引き込んでみましょう。同盟国には私から説明しておきます」
「なっ! わざわざ土地を明け渡すなんて反対です! 同盟国もなんて言ってくるか……」
「同盟国だって国民感情を考えれば略奪者の味方なんて出来ないので大丈夫ですよ。気にせずやっちゃってください。食糧なら備蓄分でしばらくは持ちますから」
「……了解いたしました」
それから2週間も経たないうちに、我が軍は見事に撤退を完了させました。グデーリオ将軍は有能ですね。
「お呼びでしょうか」
先ほど呼んだグデーリオ将軍が部屋に入ってきました。私は次の作戦を説明します。
「グデーリオ将軍。次の命令です。敵に小麦の一粒たりとも渡さないようにしてください」
「それは……焦土作戦ということですか?」
「やり方は問いません。町を焼き払ってでも敵に食糧を渡してはいけません。安心してください。国民の移住先は用意してあります」
「そんな問題では……いえ、了解しました」
はぁ……こんな命令は気分が悪いですね。昔に国民が幸せな国を作ろうと決めましたが、まだまだ夢には遠いようです。
しかし、ここで敵を倒せば……もう苦労はかけさせません。後で移住した皆さんに一軒一軒、誠心誠意謝りましょう。私に出来ることはそれだけです。
「失礼します。部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
しばらく経った後。要塞に泊まっている私の部屋にグデーリオ将軍が訪ねて来ました。
「作戦は成功です! 敵は食糧を得られずに、撤退を開始しました! これでしばらくは持ち堪えられるはずです!」
おお! やりましたね! もちろん敵は逃がしませんよ。
「どうせなら敵に痛い目を見せつけてやりたくないですか? 私の命令で海軍と上陸部隊が敵の背後に向かっています。挟み撃ちにしてやりましょう」
「やっと攻勢をかけることが出来るんですね! 部下も喜びます」
グデーリオ将軍はとても嬉しそうです。命令とはいえ今までずっと撤退続きで、指揮を保つのに苦労したと聞いてますからね。
「その作戦。私にも手伝わせて貰えないかな?」
うわびっくりした。今度はドアからトウコさんが入ってきました。え……この部屋のセキュリティ弱すぎ……。でも今は好都合です。
「むしろ私からお願いします。兵士さんたちを助けてあげてくれませんか?」
「任せてよ! 私はこれでも勇者なんだからね!」
頼もしいですね。確かにトウコさんなら敵を蹴散らせられるでしょう。さぁ反撃の時間です!
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