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魔王編
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――四天王ギンガ視点――
「安心してください。期待を裏切りませんよ。まずはこれを見てください」
桜は魔術で王宮から呼び出した資料を渡してきた。
「なんだこれは……退魔計画?」
それは教皇が企んでいた魔族をこの地域から消し去る計画だった。
内容は簡単だ。まずはニポン皇国とブルゴーニュ王国が中心となって四天王領の大陸にある部分に軍を集結させる。ここは首都になっているので重要な部分だ。
当然、私は北の方からも軍を集めて対処するだろう。するとモスク公国が北で接している領土から攻撃してくる。
その瞬間にカステラ王国、グレート帝国の海軍が海を封鎖。ついでにグレート帝国の陸軍が北の領土のモスク公国とは反対側に上陸して挟み撃ちにする。
そのまま南、北東、北西から攻めて私が降伏するまで魔族を討伐し続けるという作戦だった。
詳細な情報は入手できなかったと桜は言っていたが、これだけ分かれば十分だろう。既にブルゴーニュ王国とニポン皇国、その同盟国以外は同意しているようだ。サインがあるからな。
しかし……
「これで私を脅すつもりか? そもそも貴様ら2カ国が協力しなかった時点でこの作戦は失敗だろう。貴様らの軍が重要となるが、改革派と正統派とやらで敵対しているのは知っている」
「教会は対立していますが、協力できない訳ではありませんよ」
何を言っている。どうせお互いに背後から攻められないか疑心暗鬼でまともに……いや待てよ? 確か神聖教会の各国は不可侵条約を結んでいた。
派閥に関係なくな。どうせすぐ破られる物だろうと思っていたが、このためだったのなら?
「まぁシンプルな計画ですけどね。詳細が分からず申し訳ありませんギンガさん」
そうだ。この計画はシンプルだ。だからこそ問題がある。桜がこの計画の内容を交渉材料に使ったのはだからこそだろう。
この計画は数の暴力に頼ったシンプルな物だ。別に私がうまく対処しても敵の数が多すぎて時間稼ぎにしかならないだろう。だが、だからこそ私がこの計画を知っていても負けるのだ。
分かった。団結されてしまった私の負けだ。万が一戦って勝ったとしても占領された地域の魔族は時間をかけて全員殺されるらしい。
「はは……それでこれを教えて何がしたい。私が絶望する顔を見に来たのか?」
「そんな事のために時間を使う訳がないでしょう。あなたに頼み事があって来たんですよ。
もしも……もしもですよ?改革派と正統派が争い始めたら、正統派の国々の周りで軍事演習をして欲しいんですよ。もちろん演習じゃなくてもいいんですよ?」
「ははは。本当に攻めたら私が終わる。演習で敵を引きつけるだけで許してくれ。
しかしなんでだ? 私がそれを聞いて正統派に協力したらどうするつもりだったんだ?」
「自分の国民を討伐しようと考えた人の味方をするんですか? どうせ遅かれ早かれ殺されますよ。あなたがそんなバカではないと信じたいですね」
「それもそうだな。それに今の私は非常に……非常に怒っている。私も改革派に協力させてくれ」
「安心してください。期待を裏切りませんよ。まずはこれを見てください」
桜は魔術で王宮から呼び出した資料を渡してきた。
「なんだこれは……退魔計画?」
それは教皇が企んでいた魔族をこの地域から消し去る計画だった。
内容は簡単だ。まずはニポン皇国とブルゴーニュ王国が中心となって四天王領の大陸にある部分に軍を集結させる。ここは首都になっているので重要な部分だ。
当然、私は北の方からも軍を集めて対処するだろう。するとモスク公国が北で接している領土から攻撃してくる。
その瞬間にカステラ王国、グレート帝国の海軍が海を封鎖。ついでにグレート帝国の陸軍が北の領土のモスク公国とは反対側に上陸して挟み撃ちにする。
そのまま南、北東、北西から攻めて私が降伏するまで魔族を討伐し続けるという作戦だった。
詳細な情報は入手できなかったと桜は言っていたが、これだけ分かれば十分だろう。既にブルゴーニュ王国とニポン皇国、その同盟国以外は同意しているようだ。サインがあるからな。
しかし……
「これで私を脅すつもりか? そもそも貴様ら2カ国が協力しなかった時点でこの作戦は失敗だろう。貴様らの軍が重要となるが、改革派と正統派とやらで敵対しているのは知っている」
「教会は対立していますが、協力できない訳ではありませんよ」
何を言っている。どうせお互いに背後から攻められないか疑心暗鬼でまともに……いや待てよ? 確か神聖教会の各国は不可侵条約を結んでいた。
派閥に関係なくな。どうせすぐ破られる物だろうと思っていたが、このためだったのなら?
「まぁシンプルな計画ですけどね。詳細が分からず申し訳ありませんギンガさん」
そうだ。この計画はシンプルだ。だからこそ問題がある。桜がこの計画の内容を交渉材料に使ったのはだからこそだろう。
この計画は数の暴力に頼ったシンプルな物だ。別に私がうまく対処しても敵の数が多すぎて時間稼ぎにしかならないだろう。だが、だからこそ私がこの計画を知っていても負けるのだ。
分かった。団結されてしまった私の負けだ。万が一戦って勝ったとしても占領された地域の魔族は時間をかけて全員殺されるらしい。
「はは……それでこれを教えて何がしたい。私が絶望する顔を見に来たのか?」
「そんな事のために時間を使う訳がないでしょう。あなたに頼み事があって来たんですよ。
もしも……もしもですよ?改革派と正統派が争い始めたら、正統派の国々の周りで軍事演習をして欲しいんですよ。もちろん演習じゃなくてもいいんですよ?」
「ははは。本当に攻めたら私が終わる。演習で敵を引きつけるだけで許してくれ。
しかしなんでだ? 私がそれを聞いて正統派に協力したらどうするつもりだったんだ?」
「自分の国民を討伐しようと考えた人の味方をするんですか? どうせ遅かれ早かれ殺されますよ。あなたがそんなバカではないと信じたいですね」
「それもそうだな。それに今の私は非常に……非常に怒っている。私も改革派に協力させてくれ」
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