上 下
21 / 78
古代ギリシャ時代編

牛と草原の国ブルガリ

しおりを挟む
マケドを出発して約2時間。ブルガリの集落が見えてきました。マケドとは違ってこれぞ旅行というようなのんびりした雰囲気です。
「あっ見てください!」
「わー!綺麗ですね!」

下を見て見ると大きな牧場が見えます。たくさんの牛がいて草をむしゃむしゃ食べています。
牧場の真ん中には池があり、その横に10軒ほどの家がある小さな村があります。どの家もカラフルな色の屋根をしていて可愛いです。

「牧場の真ん中に村があるなんて面白いですね」
「小さくてかわいい家ですね~。あっ!子牛がいますよ。かわいいですね~」
ミトさんはどうやら動物が好きらしいですね。まぁ私も子牛は好きですよ。美味しいので。
私もつられて見ようとしたが見つける前に村は過ぎ去ってしまいました。

そのままさらに真っ直ぐ2時間ほどでブルガリの首都に着きます。もうぐったりです。
街の門の前に着くいて衛兵にまた文書を見せるとすぐに王宮に案内してくれました。

また護衛は別室だと言うのでミトと別れます。おそらくどの国も護衛までは通して貰えないのでしょうね。
そのまま15分待つと王座の前に通されました。

「お初にお目にかかります。今回アジ連合の大使として参上した桜と申します」
「うむ。ニポン皇国の話はこちらにも伝わっているぞ。いわく魔法の得意な国民が多い国だとか。羨ましいですな」
「そのような事はありません。むしろ8千もの人口を養いながら他国に大量の食糧を輸出しているブルガリを我が国も参考にさせて頂きたいくらいです」
「ありがとう。それなら後で幾らでも視察してもらって構わん。しかしまずは食事にしよう」

もう1時を過ぎており、お腹が空いていた私は喜んでついていきます。
さっきの牛でも出てきてくれませんかね?
食卓のある部屋は長細いテーブルを中心にたくさんの絵画の飾られた美しい部屋です。
これぞ王宮って感じの場所ですね。
席に着くと前菜を運んできてくれました。多分、フランスのコース料理のような食べ方なんでしょう。

「今回は我が国の特産品を知ってもらおうと牛肉や乳製品をふんだんに使ったランチだ。きっと楽しんで貰えるだろう」
そのまま私達は雑談をしながら食事を楽しみました。

んー!このヨーグルトは美味しいですね。蜂蜜がかかっていてとても甘いです!この世界ではあまり甘い物がないので嬉しいですね。あっ、このローストビーフも美味しいです。
お持ち帰りできないでしょうか?
最後にデザートのチーズケーキが出てくる。牛乳で生地を練ったらしくとても香ばしい味がします。
私は非常に満足して食事を終える事ができました。

「さて、本題に移ろうと思う。我が国が最近セルビア王国と戦争をしていたのは知っていると思う」
「はい。戦況はなかなか厳しいと聞いていましたが……」
「その通りだ。しかしその戦争はつい先日に終わった。そこで我が国は国境にあった城塞都市を失ってしまったのだ。もし次に戦争になれば……今度は全土が支配されしまうだろう。そこで連合の考えを聞きたいと思うのだが、どういう話になっているのだろうか?」

そういえば亜人文明って科学や魔法が発達していない初期段階では非常に強いんですよね。数で押されたらひとたまりもありません。確かにこの国では次は勝てないでしょうね。
「これはあまり言うべきでは無いですが貴国を信用して話しましょう。実は連合も魔族との戦争によって大分疲弊しています。その被害から厭戦感情が広がっており、連合はあまり関わりたくないと思っているようです」
「それでは……次の戦争でも支援を得られないという事だろうか?」

「いえ。私個人としては違います。実は先日行ったマケドでも急成長するセルビア王国を憂慮している事が分かりました。我が国は連合とは別に独自に同盟を結び、これに共同で対処する予定です。
ブルガリがこの同盟に参加してくれればセルビア王国は3つの戦線を抱える事になり、大分苦しくなると思います。もしかしたら優勢なのを見た連合も協力してくれるかもしれません」

これで連合とは別に我が国の味方となってくれるはずです。入って欲しいなー。チラッチラッ。
「おぉ!本当なのか!それなら我が国もまだ希望が持てる。もちろん参加させて欲しい。本当にありがとう。」

この後マケドもこの案に賛成し、正式に対セルビア連合が出来る事になります。
私の旅行……もとい外遊は大成功で終わりました。
しおりを挟む

処理中です...