学校の人気者は陰キャくんが大好き 

ラム_

文字の大きさ
上 下
24 / 26

24. 告白

しおりを挟む
「………俺が…好き?」
「うん……すき」

これは夢か?
いや、それか何かの罰ゲーム………それはないな、翔がそんな事するはずない。
じゃあ本当に俺の事………そんな事あっていいのか?

「翔が言ってた好きな人って俺の事?」
「そうだよ、ずっと好きだった。1年生の頃から」

1年生は翔と同じクラスじゃない。
それなのになんで…

「俺さ、高校入ってから周りの視線が怖くて………俺なんか全然凄くないのに期待されたり、告白とかされても俺が断っていいのかなとかずっと考えてちゃって………数ヶ月だったけど正直限界だったんだ……」

どれだけ学校の人気者でも、そのみんなの視線は本人の本音を閉じ込めてしまう。俺も人気者だからといって遠い存在として認識していたが、それは間違いだったと改めて考えさせられた。

「だから窓側の席になった時、ずっと窓の外を見てたんだ、現実に目を背けたかったから。そしたら蒼馬を見つけた。俺の見る蒼馬はいつも誰かの為に動いてて、優しい人なんだなって思ってからずっと目で追っかけちゃってた。そしたら、ある日好きだなって思ってそこで恋だって自覚したんだ。」

窓の外を見るようになったから、翔のクールなイメージがついたんだろう。みんなの視線を感じたくなかったから…

「長々と話しちゃってごめんね、気持ち伝えられてよかった。………聞いてくれてありがと。」

翔が立ち上がって教室に戻ろうとしている。
俺は翔の腕を掴んでそれを止めた。

「俺の気持ちも聞いてほしいな。」
「………今度じゃだめ?」
「今、聞いて?」
「………わかった」

翔が泣きそうな顔をしてそう聞くから、俺も早く気持ちを伝えたいなと思った。たぶん、翔はまだ俺の気持ちに気づいていない、だから振られると思って泣きそうになっているんだろう。

「最初は翔の事遠い存在だと思ってた。俺は暗いし、翔は明るいから。でも翔が寄り添ってくれて、少しずつ気持ちが変わっていったんだ。もっと関わりたいって思うようになって、可愛いなって思うようになって、それから………好きだなって思うようになった。」

「えっ」

「俺も翔が好きだよ。」

「うそだ………だって蒼馬好きな子いるって……失恋したって言ってた……」
「それは、翔に好きな子がいるって知ったから、失恋したって思ってたんだよ」
「じゃあほんとに?……俺たち両思い?」

「ああ………翔、俺と付き合ってください。」
「っ、はい!」

翔と付き合えるなんて奇跡だな。
なんて思っていたら、俺はある事を思い出した。

「……修学旅行の夜さ、翔、俺に好きって言った?」
「っ!起きてたの!?」
「いや、意地悪しようと思って寝たふりしてて……」

勘違いなんかじゃなかったんだな。

「だって、蒼馬と仲良くなれて嬉しくて、あと、それから、」
「ん?」
「………お風呂上がりの蒼馬がかっこ良すぎて……あと…なんか……えっち…だったから……ちゅーしたくなって…でも口はだめだって踏みとどまって…」

(ちゅーって可愛すぎないか!?ってか翔そんな事思ってたのか……正直嬉しいな)

「………勝手にちゅーしてごめん」
「いいよ、それに俺だって勝手にキスしちゃったし」
「あっ………俺が好きだからあの時キスしたの?」

翔の問いに答えようか悩んだ、俺の嫉妬心も正直に話すか。でも俺はこれ以上翔に嘘をつきたくなくて正直に話す事にした。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する

SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので) ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり… 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...