学校の人気者は陰キャくんが大好き 

ラム_

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21. もう戻れない

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翔と話さないまま1日が終わってしまった。
付き合っているわけでもないのに嫉妬して、翔を傷つけて、後悔ばかりが募る。
本当、最近はこんな事の繰り返しだ。

「………蒼馬」
「……翔?」

クラスの片付けを優先していたら他のみんなは着替え終わっていた。
だからさっきまで俺だけが控室にいた。そこに、もう既に着替え終わった翔が入ってきた。

「どうした?」
「………………今は話しても大丈夫?」
「っ、うん、さっきはごめん」
「全然大丈夫……」

「…………俺の事………で」
「……ん?ごめん、聞こえなかったからもう1回言ってくれない?」
「……俺の事嫌いにならないでっ」

俺が翔の事嫌いになる?そんな事あるわけないだろ

「嫌いになんてならないよ」
「でもっ………さっき引いてただろ?」
「っ…………それはっ」

引いてなんかない。でもどうする?正直に言ったらそれこそ気持ち悪いだろ、友達だと思ってる奴に可愛いとか言われたら、しかも男に。

「え………っと」
「………蒼馬ってやっぱ優しいね、正直に言ってくれて良いんだよ?」


『正直に言ってくれたら諦められるかもしれない……』


このまま翔を傷つけた状態なのは嫌だったし、他に何か翔を傷つけない方法はないか考えたが、全く良い案が思い当たらなかったから、俺は正直に言ってしまう事にした。

「その……引いたとかじゃなくて………かわいいなって…思って」
「えっ……」

「可愛いすぎて直視できなかった………気持ち悪くてごめん」
「気持ち悪くなんかない!!」
「っ、」
「……引かれてなくて良かった………それに…う…うれしい」

嬉しい?なんで嬉しいのかはわかんねぇけどひとまず良かったのか?

「へへっ、女の子みたいに可愛かった?」
「女の子より可愛かったよ…………あっ」

思わず本音が漏れてしまった、もうなるようになれ。

「っ、冗談だったのに」
「本当の事だから」
「そっ、か。」

そう言う翔の顔は耳まで真っ赤だった、本当に可愛い。

「………じゃあ……今の俺は?」
「え?」
「ごめん、なんでもない。俺先に戻ってるねっ」

今の翔………
なんでそんな事聞くんだ

「翔待って」

俺は翔の腕を掴んで引き留めた。

「えっ、な、なに?」
「いつもの翔が1番可愛いよ」
「っ!…………それ…どういう意味?」

この時の俺は変な期待を抱いてしまっていて調子に乗ってしまったんだろう。じゃなきゃ絶対こんな事にはならなかった。

「んっ」

俺と翔の唇が重なった。

「えっ………」
「っ!ごめん、俺着替え終わったから先戻ってる」

(最悪だ、俺今何した?翔の許可もなくキス、したよな?しかも謝らずその場から逃げ出すとか……終わったな。もう合わせる顔もない。)

俺は引き返す事もできないまま帰路に着いた。
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