学校の人気者は陰キャくんが大好き 

ラム_

文字の大きさ
上 下
21 / 26

21. もう戻れない

しおりを挟む
翔と話さないまま1日が終わってしまった。
付き合っているわけでもないのに嫉妬して、翔を傷つけて、後悔ばかりが募る。
本当、最近はこんな事の繰り返しだ。

「………蒼馬」
「……翔?」

クラスの片付けを優先していたら他のみんなは着替え終わっていた。
だからさっきまで俺だけが控室にいた。そこに、もう既に着替え終わった翔が入ってきた。

「どうした?」
「………………今は話しても大丈夫?」
「っ、うん、さっきはごめん」
「全然大丈夫……」

「…………俺の事………で」
「……ん?ごめん、聞こえなかったからもう1回言ってくれない?」
「……俺の事嫌いにならないでっ」

俺が翔の事嫌いになる?そんな事あるわけないだろ

「嫌いになんてならないよ」
「でもっ………さっき引いてただろ?」
「っ…………それはっ」

引いてなんかない。でもどうする?正直に言ったらそれこそ気持ち悪いだろ、友達だと思ってる奴に可愛いとか言われたら、しかも男に。

「え………っと」
「………蒼馬ってやっぱ優しいね、正直に言ってくれて良いんだよ?」


『正直に言ってくれたら諦められるかもしれない……』


このまま翔を傷つけた状態なのは嫌だったし、他に何か翔を傷つけない方法はないか考えたが、全く良い案が思い当たらなかったから、俺は正直に言ってしまう事にした。

「その……引いたとかじゃなくて………かわいいなって…思って」
「えっ……」

「可愛いすぎて直視できなかった………気持ち悪くてごめん」
「気持ち悪くなんかない!!」
「っ、」
「……引かれてなくて良かった………それに…う…うれしい」

嬉しい?なんで嬉しいのかはわかんねぇけどひとまず良かったのか?

「へへっ、女の子みたいに可愛かった?」
「女の子より可愛かったよ…………あっ」

思わず本音が漏れてしまった、もうなるようになれ。

「っ、冗談だったのに」
「本当の事だから」
「そっ、か。」

そう言う翔の顔は耳まで真っ赤だった、本当に可愛い。

「………じゃあ……今の俺は?」
「え?」
「ごめん、なんでもない。俺先に戻ってるねっ」

今の翔………
なんでそんな事聞くんだ

「翔待って」

俺は翔の腕を掴んで引き留めた。

「えっ、な、なに?」
「いつもの翔が1番可愛いよ」
「っ!…………それ…どういう意味?」

この時の俺は変な期待を抱いてしまっていて調子に乗ってしまったんだろう。じゃなきゃ絶対こんな事にはならなかった。

「んっ」

俺と翔の唇が重なった。

「えっ………」
「っ!ごめん、俺着替え終わったから先戻ってる」

(最悪だ、俺今何した?翔の許可もなくキス、したよな?しかも謝らずその場から逃げ出すとか……終わったな。もう合わせる顔もない。)

俺は引き返す事もできないまま帰路に着いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する

SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので) ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり… 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...