学校の人気者は陰キャくんが大好き 

ラム_

文字の大きさ
上 下
14 / 26

14. 美咲の過去

しおりを挟む
私は小学3年生の頃から親に虐待を受けていた。
「あんたなんか産まなきゃよかった!なんでそんな顔で生まれてきたんだよ!」
母親は父親に顔が似たわたしが要らないようだ。

私は自分の顔が大嫌いだ。

親は小学2年生の時に離婚した、父親の不倫が原因だ。
「子供は頼んだぞ、俺は新しい家族と生きていく」
「私1人で育てられる訳ないでしょ!」

それから母親には彼氏が出来た。私が3年生に上がった頃その彼氏を家に連れてきた。
「誰?こいつ」
「…私の子供」
「は?そんなん聞いてねぇんだけど、自分以外とヤッて出来た子供とか最悪だわ、冷めた、じゃあな」
「え!待ってよ!」

2人とも家から出て行った。
それから母親は家に1人で帰ってきた。

バチンッ!
「あんたのせいよ!あんたなんか居なけりゃ私は幸せになれたのに!」
この日からだ、私が暴力を振るわれるようになったのは。

中学に上がってもそれは続いた。
「えっ、何あの痣」
「ね、なんか不気味」

私の体中にある痣を見て、近づいてくる人は居なかった。
「今野ちゃん、大丈夫?」
でも何故かクラスの男の子だけは何かと話しかけてきた。
顔目当てだろとかこそこそ聞こえてくるけど、そんな訳ないだろと、私は思っていた。

「あんた男子にチヤホヤされて調子乗ってんじゃないの?」
「そんな傷だらけのお前なんか誰もきょーみねぇよ」

そしていつしか学校でもいじめられるようになった。
教師は助けてくれない、いじめをしていた主犯の親が大金持ちなんだって、だから教師はみんな、クビにされるのが怖くていじめを隠そうとした。

中学2年になった頃、いじめの主犯たちとはクラスが別になったため、いじめはなくなった。でもやっぱり、友達なんで出来なかった。…本当はほしいんだけどね

家はというと、近所の人が毎晩騒音がすると警察に通報してくれたため、母親は逮捕され、私は施設に預けられた。
そして私を引き取りたいと言ってくれた人達が今のお父さんとお母さんだ。
だが、虐待が無くなったからといって、噂が無くなる訳ではない。

「一緒に飯食わないか?」
そんな中1人だけ話しかけてくれる人がいた。

それが蒼馬だ。

蒼馬は1人の私をいつも気にかけてくれた。
「蒼馬、私なんかといたら蒼馬も除け者にされちゃうよ?」
「俺は元々除け者扱いだ」

そんな事言ってたけど実際蒼馬には友達もいた。
私のせいで離れて行っちゃったけど…

そんな蒼馬を好きになるな、なんて無理な話で、彼を好きになってしまった。もちろん、気持ちを伝えようとなんて思わなかった。

でも、蒼馬なら信用できると思い、私は全てを打ち明けた。
(…こんなの絶対引かれるよね)

「だから美咲は自分の顔が嫌いなの?」
「えっ、うん…」
私は蒼馬に両手で顔を包まれた。

「え!なに?」
「血は繋がってても美咲は美咲、それに俺は美咲の顔大好きだ。あっ、もちろん性格もなっ。」
「っ!」

大好きな蒼馬にそう言われ、私は少し自信を持つ事が出来た。それから、痣はすっかり無くなり蒼馬と遊びに行っていた時に、私はモデルのスカウトをされた。

「蒼馬!私モデルやってみようと思う!」
「そっか。美咲なら大丈夫、応援してるよ!」
「ありがと!」

そしてモデルをやっていくうちに、もっと自分に自信を持てるようになった。だから、3年生に上がった時私は蒼馬に告白しようと思った。

「蒼馬、初めて会った時私に話しかけてくれてありがと。あの時からずっと蒼馬の事好きだったんだ…だから良かったら私と付き合ってほしい!」
「…ありがと、嬉しいよ。俺、美咲の事好きかまだわかんないけどそれでもよかったら…」
「いいよ!」
「じゃあ、よろしく。」

私にも希望はあると思い、即答した。
けど蒼馬が私を好きになってくれる事はなかった…

* * * * *

そして、今日蒼馬と再会した。
離れてからもずっと蒼馬を忘れられなかったし、蒼馬を見たらもう一度頑張ってみようかなと思えた。

「?好きな子ならできたよ、すぐ失恋したけどな」

蒼馬好きな子できたんだ…。
正直まだ未練は残っている、でもそれより私は蒼馬を応援したいと思った。

「あっ、あとクラスの人に蒼馬の事好きって言っちゃったけど忘れてねっ。蒼馬の事引きずってたけど、蒼馬に好きな子がいるの知って吹っ切れたし、何よりめちゃくちゃ応援したくなったから!」

半分嘘で、半分本当、でも蒼馬には教えてあげない…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する

SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので) ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり… 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...