学校の人気者は陰キャくんが大好き

11. 不穏な再会

「久しぶり、元気してた？」
「ああ、そっちは？」
「元気だったよ。」

「……あの時は本当に悪かった、美咲の事傷つけて。」
「いいよ。私も蒼馬の優しさにつけ込んでたところあったから、こっちこそごめんね」

明らかに俺が悪いのに美咲は全く俺を責めようとしない。
変わってないな、こういう優しいところ…

「それよりさ、蒼馬好きな子できたっ？」
「……うん」
「そーだと思った……えっ、今うんって言った？」
「？好きな子ならできたよ、すぐ失恋したけどな」
「うそっ！蒼馬に好きな子っ？どんな子なのっ？」

(なんか楽しそうだな…)

「うーん、俺と違って明るくてクラスの中心にいるような人………それにめっちゃ可愛い」
「うわっ！今惚気たでしょ！」
「惚気てないよ、失恋したって言っただろ？」
「ふーん」
「興味ないなら聞くなよ」
「興味ならあるよ！ただ、その子は蒼馬の良さに気づいてなって事でしょ？もったいないなーって思って」


「…そんな事言ってくれるの美咲だけだよ。」
「蒼馬！！もっと自信を持ちなさい！この私が好きになった人だよ！」
「…ふふっ、ありがとな」


「あっ、あとクラスの人に蒼馬の事好きって言っちゃったけど忘れてねっ。蒼馬の事引きずってたけど、蒼馬に好きな子がいるの知って吹っ切れたし、何よりめちゃくちゃ応援したくなったから！」
「…美咲、本当にありがと。応援してくれるのは嬉しいけど、失恋したから切り替えようと思ってたんだ。それはなんかごめん」

「蒼馬…私にその好きな子教えてくれない？」
「え、なんで？」
「いーから！私からの最後のお願いだと思って！」
「？なんで最後なんだ？俺にできる事ならいつでも頼ってよ」
「……あんたほんとそういうとこよ」
「え？」


「で、好きな子って？」
「…聞いたら引くかもしれない」
「ん？なんで引くのよ？」
「…」

「…本当に私が引くと思うかちゃんと考えて？蒼馬とは素で付き合ってたつもりだよ？」
「っ！………俺の好きな人、男なんだ」
「そーなんだ！で？名前はっ？」
「八神翔って子」
「…そっか。教えてくれてありがと、あと、私の事信じてくれてありがと！」

「蒼馬今日お昼一緒に食べよ！」
「ん？クラスの女子と食べた方が良くない？」
「ねー蒼馬忘れてる？私今日転校してきたんだよ？それにさっき教室で嫌な態度とっちゃったし……また…友達できな…」
「っ、美咲！一緒に食べよ！」

美咲の過去は俺だけが知っている。…またあの頃の記憶を思い出させてしまったかも知れない…

「うん…ありがと。…また蒼馬に甘えちゃった」
「嫌な事思い出させたよな…ごめん」

「私の方こそ、気を遣わせちゃってごめんね………あともう一つだけお願い聞いてくれない？……また、あの頃みたいになっちゃった時、蒼馬だけは味方でいてほしい…。」

「ああ、俺はずっと美咲の味方だよ。だから最後とか言わず何かあったらすぐ俺に言って？」

「…わかった、ありがと。…蒼馬ってなんでモテないんだろうねっ？」
「嫌味か？」
「私だけが蒼馬のいいとこ知ってるっていう優越感！」
「なんだそれ」