ゾンビ対ぬらりひょん対ヴァンパイア

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【ぬらりひょんの章】第4幕「奇妙なドライブだった」

【ぬらりひょんの章】第4幕 「奇妙なドライブだった」

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 【 同じく1月20日 三浦 】



 龍はいつもより早くカプセルホテルを出て、横須賀中央署でシティ・ターボに乗り込み、逗子の神成小学校へと向かった。
 ゴミ処理場で起きた事故の現場検証にかり出され、避難所での捜査が2日間できなかった。あんな事故で一人息子を失った夫婦は気の毒だとは思うが、まさに不幸な偶然が重なった事故としか言いようがない。「時間」しか喪失感と痛みを解決する手段はないのだ。

 だが、・・・・、と龍は思う。
 自分の場合は違う。いくら時間が経とうと、友香の事を忘れることはできないだろう。


 避難所に着いて早速、一家4人を惨殺し自殺した観堂友貴について、避難住民3人に聞き取りをした。
 しかし、はかばかしい収穫はなかった。沼来にも話を聞こうと、避難所の中をあちこち探してみたが、見つからなかった。
 そこで、一旦昼前に捜査を切りあげ、シティ・ターボのステアリングを握って、三浦市へと向かうことにした。

 三浦へ足を向けるのは、友香の四十九日以来初めてだった。
 134号線で三浦半島を下る。途中で道路沿いのスーパーに寄り、花屋で「シェイラ」を買い、洒落た花束にしてもらった。ユリの一種で、まっ白い花びらにうすいピンクの縁取りがある。
 友香が大好きだった花だ。
 駐車場に戻り、助手席にそっと花束を置いた。一緒にドライブしながら、龍のくだらない冗談に友香がころころと笑い声をあげていた場所だった。本当によく笑う女だった。そこが好きだった。だが、もういない。あの笑顔を見ることは二度とできない。
 胸が熱くなり、涙がこぼれそうになった。その時だ。
「もしかして、泣いておられるのですか?」
 後部座席から突然、声がかかった。
 びっくりして振り返る。沼来が後部座席から身を乗り出すようにして、龍の顔を覗き込んでいた。
「おまえ、いつから・・」
「いつからって、逗子の避難所を出た時からずっとです」
「なんで俺の車にいるんだよ」
 異様に長いおでこをさすりながら、沼来が悪びれる様子もなく答えた。
「昨夜はあまり眠れませんでしてねえ、朝ご飯を腹一杯食べたら眠くなってしまいました。駐車場を見たら、まあ珍しい車が駐まっているじゃないですか。鍵はかかっていないし、後ろの座席には毛布も積んである。もぐり込んで、毛布にくるまっていたら眠ってしまったようです。まさか、龍さんの車だったなんて、ねえ」
「ねえ、じゃねえよ。不法侵入で逮捕するぞ!それに、おれは泣いてなんかいない」
「眼が真っ赤ですが」
「寝てないからだ。ゴミ処理場の事故で報告書を書いてたんだ」
「このシェイラの花束は亡くなった奥様にですか」
「なんでおまえに答えなくちゃいけない。とにかく、降りろ」
「こんな年寄りに向かって、よくそんな非道なことが言えますな。歩いて帰れ、というのですか、ここから逗子まで」
「バスで帰れ」
「バス代を持っていません」
「もう俺は貸さんぞ。歩って帰れ」
「あなたには人としての心が無いのですか」
 今度は大げさに泣きそうな顔をする。
「けだものだ。妖怪以下だ。いいじゃないですか、乗せていってくれたって。奥様のお墓参りの邪魔はしませんから」
「墓参りじゃない」
「それにですよ、龍さん・・」
「気安く呼ぶな」
「龍さんは避難所の4人殺しの件で私に話を聞きたいのでしょう。ドライブの途中で話しましょうよ。ゆっくり、じっくりと」
「なにが、ゆっくり、じっくりだよ」
 腹が立った。が、しかし・・・、と思い直す。
 奴の言うことにも一理ある。避難所では思うように沼来に話が聞けなかった。口が軽い人間もいるから、情報の管理も容易ではない。だが、車の中は密室だ。他の人間に話を聞かれる心配もない。
「仕方ねえなあ。いいか、おれの邪魔だけはすんなよ」
 キーを回して、エンジンをかけた。カーコンポの中で止まっていたクイーンのCDが大音量で流れ始めた。
「感謝いたします。あまり使いたくない言葉ですが、あなたは神様のような方だ。ところで、タバコありますか?」
「ない!」
「またまた、そんなに老人をいじめたいんですか」
「本当に切らしてんだよ。だから俺もイライラするんだ」
 思い切りアクセルを踏んだ。弾みで沼来の身体が後方に吹っ飛び、シートに背中がバウンドする。沼来が悲鳴をあげながら言った。
「ど、どちらに行かれるので?」
「家だ!」
「地震で潰れたと伺いましたが」
 龍が黙りこむ。
 何をするつもりなのか、話すつもりはないらしい。沼来は話題を変えた。「素晴らしい声ですな。なんという歌い手さんですか」
スピーカーからはフレディ・マーキュリーが高音で歌いあげる「ボヘミアン・ラブソディ」がガンガン響いてくる。


『これは現実なのだろうか
 それとも ただの空想なのか
 まるで地すべりにまきこまれたように
 この現実から逃れることはできない』


「イギリスのロックバンドでな、クイーンっていうんだ」
「賛美歌のようなハーモニーは耳障りですが、このボーカルは素晴らしい」
「じじいのくせにボーカルなんて言葉、よく知ってるな」
「長く生きていると世界中の音楽が友であり喜びです。時には悲しみの友でもありますが」
「あんた、水喰淵で被災したんだって」
「ええ、そこの小さな集落です」
「あんたが避難所に最初に姿を現した時、あんたのことを知っている人間は一人もいなかったそうだな。役所の人間やボランティアの中には、地震にかこつけて食い物とヤサを確保しようとしてるホームレスと思った者もいたそうだ。だが、あんたの説明は違った」
 笑みをたたえながら沼来は話を聞いている。
「鰺沢公延さんっていうおじいちゃんの家にやっかいになってたんだって」
「ええ、ええ、そのとおりです。役所の方には、こう言ったはずですよ」
 沼来が芝居がかった口調で続けた。
「わたくし天涯孤独の身の上でございましてねえ、ず~っとテキ屋暮らしで、勝手気ままに日本中を放浪してまいりました。けれども、ここ10年ぐらいは身体もきかなくなっちまいましてね、軍隊仲間の居場所を転々として面倒を見てもらっていたのでございます。鰺沢さんも太平洋戦争の時の部隊仲間でした。地震のちょうど1か月前に転がり込んで、寝泊まりさせてもらっていたんでございます」
「確かに避難所の記録にも、そう書いてあった。だが」
 ちょっとためてから、龍が言った。
「水喰淵から避難してきた人達全員に話を聞いたが、鰺沢さんの家の周辺であんたの姿を見た者は一人もいなかった。しかもだ」
 また、少しためて言う。「鰺沢さんからあんたの話を聞いた人間も、誰もいない」
「妙な話ですなあ」
「だろ。妙な話なんだよ、これが。でも、肝心の鰺沢さんは、地震で潰れた家の下敷きになって亡くなってる。死人に口なし、ってわけだ」
「そんなことはありませんぞ。死人は実にたくさんのことを話してくれますよ。特にこのわたしにはね」
 脣の端っこを高く持ち上げて、沼来が笑った。
「相変わらず、わけがわかんねえことを」
 ニコチンが切れたせいもあって、イラっときた。
 「ボヘミアン・ラブソディ」が終わり、曲が「地獄へ道づれ」に変わった。カーコンポの選曲スイッチを押し、「セイヴ・ミー」にスキップさせた。


『手をさしのべて
 一人ではやっていけないんだ
 手をさしのべて
 僕はただ一人、
 不安におびえている』


 フレディのボーカルが胸の底に響いてくる。
 龍はさらに強く、アクセルを踏み込んだ。


 シティ・ターボを急停車させたのは、三浦市遠吠町にある雑貨店の前だった。
 かつて龍の自宅が建っていた場所のすぐ近くだ。古い木造の軒先に「船越商店」と書かれた看板が掛かっていて、食料品や日用雑貨、それに煙草も酒も置いてある。この辺りの建物は地震でかなりの被害が出たが、比較的古い建物の方が全半壊を免れていた。龍の家も1年前に建てたばかりの新築だった。
 龍がシートベルトを外した。
「どちらへ?」沼来が訊いた。
「煙草を買うんだよ。お前にはやんねえけどな」
「殺生な。じゃ、せめて、じゃがりこのじゃがバター味を一個だけ。最近、中毒でしてね」
「自分で買えよ」
「だから、さっき申し上げたでしょう。バスに乗るお金もないって」
「じゃあ、我慢するしかねえな。禁煙、禁じゃがりこだ」
 乱暴に車のドアを開けて出て行く。沼来はため息をついて、見送るしかなかった。
 しばらくして、缶入りと箱入りのピースを詰め込んだ紙袋を抱えて、龍が戻ってきた。沼来に毒づいていたさっきの勢いは消えて、心なしか元気がなくなったように見えた。
「どうかしましたか?」
「いや・・・」
 歯切れが悪い。沼来は察した。
「奥様との思い出の店なのですね」
 今度は龍が深くため息をついてから、つぶやくように言った。
「そういうわけじゃないが、あいつが寝たきりになってから、買い物はだいたいこの店ですませてたからなあ。がらにもなく、いろいろ思いだしちまった・・・」
「お察しします」
「あんたとしんみりした話をする気はねえよ。ところで、じいさん、さっきの話の続きだが、鰺沢さんとは二人暮らしだったんだろ」
「ええ、もちろんです」
「なんで、あんただけ助かった?」
「起こされたんですよ」
「誰に?」
「声に、です」
「声?」
「呼ばれたんです」
「呼ばれた?」
「たまにあるんですよ。ず~っと眠りについていると、強烈な声に起こされることが」
「誰の声にだよ」
 沼来は答えない。
「地震が起きて大騒ぎしてる近所の誰かの声か?」
「違います。地震が起きる何時間も前のことですから」
「じゃあ、誰の声だよ」
「今はまだ、言えません」
「なんで?」
「言っても信じてもらえませんから」
「なんか禅問答みてえだなあ」
「いずれ、わかります」
「ちぇっ。勝手にしろ」
 龍がキーを回した。エンジンが吹き上がる。タイヤが砂利を蹴散らして、シティ・ターボが加速した。



 龍の家は「船越商店」から5分ほど走った所にあった。
 急斜面を上った丘の中腹で、雑木林を伐採して数軒の一戸建てが建てられていた。この辺りは特に揺れがひどかったらしく、どの家も傾いて全半壊したままの状態だった。
 特に被害が大きかったのが龍の家だ。
 とてもここに新築の家があったとは思えなかった。2階建てだった家の屋根は完全に落ち、瓦が散乱し、ほとんどの柱が折れ曲がって裂けていた。瓦礫の下には、かつてタンスだったりソファだったりした家具の破片が雨ざらしになっていた。電気炊飯器や鍋、砕けた茶碗の欠片も転がっている。
 龍が車を降り、折り重なった瓦礫の山を登っていく。沼来も後を追った。歩きにくい。倒れた建材に足をとられ、何度も転びそうになった。
 龍は敷地の一番南側の一角に辿り着くと、ひざを折って、地面にシェイラの花束を静かに置いた。
 両目を閉じて、手を合わせる。しばらくの間、全く動かなかった。
 龍の背後に立ったまま、沼来は辺りを見回してみた。
 崩れ落ちた木材や壁の隙間から、折れ曲がった介護ベットの白い骨組みがのぞいていた。破れた点滴用のビニールパックもある。チューブもつながったままだ。南に面していて日当たりが一番良かったであろうこの部屋を、龍は妻の介護用に使っていたのだろう。
 そして、ここが妻の死に場所にもなってしまった。今、龍は妻になにを語りかけているのだろう・・・。
 5分程して、ようやく龍が立ち上がった。沼来は上着のポケットから百円ライターを取り出して火をつけ、龍の鼻先に差しだした。
「なんだよ?」
「いえ、こういう時は煙草が吸いたいのでは、と思いまして」
 龍はふっと笑って言った。
「俺は家では煙草を吸わないんだ」
「そりゃまた、なぜ?」
「友香が煙草の煙が苦手でな、寝たきりになった後も、ここじゃあ吸わなかった。たとえ意識が無くても嫌なものは嫌だろうと思ってさ」
「実に奥様思いな方だ」
「その分、仕事場じゃ本数が増えちまって困ったがな」
 龍は瓦礫の山を下り始めた。敷地の外れまで来た時、沼来がついて来ていないことに気がついた。振り返ってみると、沼来はまださっきの場所にいて、しゃがみこんでいる。
「じいさん」
 声を掛けてみた。反応がない。
「おい、じいさん」
 もう一度、大声で呼んだ。
「あ、はい、はい、はい」
 今度は応答があった。
「なにしてる」
「いえね、わたしも手を合わせておこうと思いまして」
「ありがたいが、もう行くぞ。置いていってもいいなら、かまわんけど」
「行きます、行きますよ」
 沼来は転がるように慌てて降りてきた。
 車に戻ってから、2人で缶ピースを思い切り吸った。「もう一本」「もう一本」と沼来が繰り返しても、龍は文句を言わなかった。
 車を飛ばして戻る途中、「船越商店」の前にさしかかった所で急に沼来が叫んだ。
「止めていただけませんか!」
 ひざを突っ張り、急ブレーキをかけた。あやうく追突しかけた後続の車が、激しくクラクションを鳴らして追い抜いてゆく。
「あぶねえじゃねえか。なんだよ?ションベンか」
「ちょっと、待っていていただけますか」
 助手席のドアを開け、店まで走っていった。
「仕方ねえなあ」
 煙草に火をつける。沼来が戻ってきたのは、3本目を吸い終わりかけた時だった。助手席に滑り込んでくると、手に持っていた菓子の容器を差しだした。
「じゃがりこ、買ってきちゃいました。我慢できなくて。じゃがバター味です」
「あんた、さっきバス代も持ってない、って言ってたろ」
「言いましたかな」
「言ったよ、確かに聞いた、この耳で」
「そう言えば、あなたがおごってくれるんじゃないかと思いまして」
「金、持ってんじゃねえか」
「だから避難所までのバス代には足りなかったんですって」
 もはや、笑うしかなかった。
「じいさん、あんた、本当にくえねえ奴だな」
「食ってもいいですかな、このじゃがりこ」
 沼来が顔をくしゃくしゃにして笑った。

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