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討伐隊
しおりを挟む「駆除? ああ、退治な。
もちろん、討伐隊を出したさ」
団長が語り始めた内容は、こうであった。
西の鉱山跡に怪物が棲みつき、近くを通る人々を襲っている。
その話が出てから十日後に、最初の討伐隊が結成された。
人数は、団長を含めた、町の男が十八人。
十八人は、剣や槍、弩などの武器を手にして町を出発した。
鉱山跡についたのは、午前中であった。
「誰かいないかー-!
助けに来たぞーー!」
生存者がいる可能性を考え、大声で呼び掛けながら移動したが、返事は無かった。
逆に、声にひかれて、怪物が現れるかとも思い警戒をしていたが、呼び掛けを止めると、鉱山は、不気味なほどに静まり返るだけであった。
坑口は複数個所あるため、討伐隊は六人一組となり三隊に分かれて行動した。
被害者の遺留品らしい衣類が発見されたのは、第三坑口から少し入った場所である。
坑口から陽光が届かなくなった辺りに、引き裂かれた衣類が落ちていたのだ。
衣類は三人分。
どれも大量の乾いた血で固まっていた。
第三坑道の内部を捜索する案も出たが、グリド団長が却下した。
「行方不明になった人間が、この奥に連れ去られていたとしてもだ、とても生きているとは思えない。
進めば、闇の中で、新たな犠牲者が出るだけだ。
予定通り、煙材を使うぞ」
煙材とは、毒のある数種の果実を煮詰め、その液を何層にも塗り込んだ薪らしい。
燃やせば、有毒ガスが発生するのだ。
鉱山で働いていた老人の指示で、第四、第七、第一、第五坑口の順に、火をつけた煙材が、放り込まれた。
「これで、坑道内は煙が充満するわ。
中に怪物がいて、煙に追われて出てくるとすれば、この第三坑口よな」
討伐隊は、周囲に警戒しつつ、第三坑口の風上に身を潜めた。
持ってきた三挺の弩が、坑口に狙いをつける。
しかし、坑口からは毒ガスが漂い出てくるだけで、怪物が出てくる気配は無かった。
煙が途絶えた後もしばらく待機したが、結局、何かが坑口から炙り出されてくるということは無い。
「坑道の奥で死んだか、別の穴から逃げたのかもな」
団長がそう結論付け、討伐隊は岐路についた。
ロキアの町が怪物の群れに襲われたのは、その夜であった。
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みんなの感想(2件)
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テンポよく話が展開して面白かったです!
文章も読みやすく、一気読みしました。
続きが気になります!
お体に気を付けて、これからも執筆頑張ってください(^-^)
応援しています!
感想に気付かず、返信が遅れてしまいました。申し訳ありません。
温かいお言葉ありがとうございます。
おもしろい!
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