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電撃
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二度目の電流の波を喰らった五人は、甲高い絶叫をあげながら転げ回った。
電流が消え去り、動けるようになると、恐怖で引きつった顔で、ナッツから少しづつ距離を取ろうとする。
その中で、不意に高瀬が大きく動いた。
「うわわわわわ!」
声をあげ、壁に向かって駆けだしたのだ。
入ってきたドアから、逃げ出すつもりだったのだろう。
中島たち四人も、高瀬の動きの意味に気付き、同じく壁に向かって駆けだした。
「え、あ!」
「な、なんだ!」
高瀬たちはパニックになった。
入ってきたドアが見つからないのだ。
「どこだ!」
高瀬が壁沿いを走るが、ドアは見つからない。
「どうして、ドアが無いんだよ!」
壁をバンバンと叩き、かんしゃくを起こしたように叫んだ。
「お前ら、自分の意志で、ここまでやって来たと思ってんのか?」
ナッツが問うと、五人はドアを探すことを止め、立ち止った。
中島、安藤、サユリ、久美が、高瀬に視線を向ける。
「高瀬、あんたが案内したんでしょ!」
「どういうことなのよ!」
サユリと久美が、高瀬に食って掛かる。
「出せッ! ここから出せ!
お前のせいだろ!
早く出せよ、手前ェ!」
中島が高瀬の胸倉をつかんだ。
「知らねェよ!
なんとなく歩いていただけだろ!」
高瀬は中島の腕をつかむと、自分の胸倉から引きはがした。
シャツのボタンが飛び散る。
「大体、お前らが、勝手について来たんじゃねェか!」
仲間割れを見ながら、ナッツが声をかける。
「入ってきたドアは、お前らには見つけられないよ。
垣網を張って、せっかく、この箱網に誘い込んだんだからな。
簡単に出られないような作りになっているんだよ」
「何、訳の分かんねェことを……」
中島を突き放した高瀬が、ナッツに怒鳴る。
その言葉が、途中で途切れた。
顔が恐怖に強張る。
四人も目を見開き、蒼白になった。
ナッツは、三つ目の雷球を手の平に浮かせていたのだ。
「ほい、パス」
五人に向け、雷球を山なりに投げた。
床全体に電気が広がるため、どこにいても同じなのだが、高瀬たちは悲鳴をあげて雷球の落下地点から逃げ出した。
一ヶ所に集まっている人間モドキたちは、高い弧を描いて投げられた雷球を一斉に見上げた。
さらに表情が増え、五人とも嬉しそうな顔になっている。
口を半開きにして、花火を楽しんでいるような表情だ。
見上げた五人の顔が、雷球の落下に合わせて、スーーッと下がる。
雷球が床に落ちた。
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