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怪物退治
しおりを挟む「うわッ!」
「おれたちなのか!?」
「きゃあ!」
高瀬たちは、慌てて、その人間モドキから距離を取った。
五体の人間モドキは、逃げた高瀬たちに顔を向けた。
その場から動きはしないが、手足をふらふらと軽く動かし、不服そうな、非難するような表情を浮かべる。
口をパクパクと開くが、声は出ない。
知性の無い何かが、どうにかして人間の真似をしようとしているように見えた。
外見は人間にそっくりなだけに、とてつもなく不気味であった。
「お……、おお、凄ェや。
これ、魔法なのかい?」
高瀬が驚いた顔で、ナッツを見上げる。
媚びるような笑いを口に浮かべていた。
「……」
ナッツは答えない。
「なあなあ、こんなところで、何してたんだよ」
卑屈な笑いを浮かべてさらに問う。
この機会に、帰還者と繋がりを持とうとしているようであった。
「……怪物退治だよ」
ナッツが答える。
「怪物……。
こ、ここに魔物がいるのか!」
ギョッとした顔になって、五人は周囲を見回した。
据え付け型の巨大なプレス機。
短いベルトコンベアー。
倒れる棚。
死角はあるが、何かの気配や物音はしない。
動いているのは、人間モドキだけである。
「ウ、ウソなんだろ……」
「何もいないじゃないか」
「あたしたちを驚かせようとしたんでしょ」
「やめてよね」
五人は、作り笑いを浮かべながらナッツを見る。
が、ナッツは小さく首を振った。
「魔物じゃない。
おれは怪物と言ったんだ。
人間の姿をした怪物を退治するんだよ」
「人間の?」
高瀬が怪訝な顔になる。
ナッツは高ぶる感情を押さえつけて続けた。
「転生界での俺の師匠は、サキ・リベック。
こっちの世界での名前は、羽森サキだ。
お前ら、覚悟はできているんだろうな」
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