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シャンプー
しおりを挟む怖いな……。
あたしは頭を泡だらけにしたまま、つぎの動作をためらっていた。
シャンプーが苦手なのだ。
正確には、シャンプーで泡だらけになった頭を洗いながす時が怖いのである。
シャンプーが好きな女の子はたくさんいるけれども、怖がる女の子ってのは、あたしぐらいではないだろうか。
でも、せまい密室で、目を閉じて頭の泡を洗い流していると、怖くて、怖くてたまらなくなる。
目を閉じている間に、天井から大きなムカデが落ちてくるような気がする。
真後ろに長い髪の幽霊が、現れるような気がする。
小さな換気窓から、異様に長い鬼の手が、入り込んでくるような気がしてしまう。
いやいや、もっと恐ろしい、あたしの想像を超えてしまうような、とんでもないことが、いつか起こるような気がするのだ。
そして、あたしは毎回、短距離ランナーのようなスピードで、頭の泡を洗い流すことになるのだ。
今回も、あたしはシャワーを片手に、頭の中でクラウチングスタートの体勢をとった。
3、2、1、スタート!
かたく目を閉じて、シャワーから勢いよく飛びだす温水で頭を流す。
怖くない。怖くない。
ムカデなんかいない。
幽霊なんかいない。
鬼なんかいない。
ヘンなことなんか、絶対に起こらない!
あと少しでゴールだ。
髪を洗いながす手を早め、心の中で呪文のように繰り返していた。
怖くない。
怖くない。
怖くないぞ。
怖いわけがねえぞ。
ヘンなことなんか、起こるわけねえよ!
シャワーをとめると、髪についた滴をふり払い、オレは苦い顔になった。
まったく、シャワーが怖いなんて、オレも男のくせに情けねえな……。
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