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竹ぼうき
しおりを挟む日曜日。
公園を散歩する友美の耳に、女の子たちの言い争う声が聞こえた。
「これは、あたしのよ!」
「いや。あたしも使うの」
見ると、二人の女の子が、竹ボウキを取り合っている。
どちらも小学校の一、二年生といった子供である。
公園に散っている落ち葉を、どちらが竹ボウキを使って掃き集めるかで、もめているようであった。
公園の掃除でも、子供にとっては、楽しい遊びなのだ。ホウキが一本しかなければ、ケンカにもなる。
「だめよ。ケンカしちゃだめよ」
近寄った友美は、二人の間にはいると、じゃんけんをし、二人が交互にホウキを使うように提案した。
「じゃんけん、ぽん」
赤いジャンバーの女の子がグー。
黒いハーフコートの女の子はチョキである。
「早く、返してよね」
ハーフコートの女の子は、渋々ホウキを渡した。
よろこんだ赤いジャンバーの女の子は、さっそく竹ボウキで、落ち葉を掃き集める。
しかし、竹ボウキの方が、女の子の身長よりもまだ長いのだ。
よろよろと危なっかしく、まるで竹ボウキに女の子が引き回されているように見える。 「いらない!」
自由にならないホウキに腹を立てたのか、赤いジャンバーの女の子は、すぐに竹ボウキを、ハーフコートの女の子に返した。
竹ボウキを手にした黒いハーフコートの女の子は、ベンチに置いていた大きなとんがり帽子をかぶると、サッと竹ボウキにまたがった。
「もう、貸してあげない!」
そう言った女の子は、友美の目の前で、フワリと宙に浮かんだ。
「えッ?」
友美は驚いた表情になる。
とんがり帽子の広いつばと、黒いハーフコートの裾が風になびく。
竹ホウキにまたがった女の子は、そのまま一気に空高く飛びあがった。
ま、魔女……。
ア然とする友美の後ろで、今度は男の子たちの言い争う声が聞こえた。
「ボクのだよ」
「貸してくれよ」
見ると、二人の男の子が、古い絨毯を取り合っている。
一人は野球帽をかぶり、もう一人は……。
頭にターバンを巻いていた。
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