47 / 60
side ガトートス②
しおりを挟む
くそっ!!
ロッシュを奴隷商に落としたのはいい。
これで俺の地位は揺るがない。
王もぼんくらだ。
だとすると、王宮だけが心残りだ。
オーレック家とデリンズ家。
この中の悪い両家の片方に俺が肩入れすれば、全てはうまく行く……
そのはずだった。
デリンズ家には俺の子飼いのアンドルがいる。
あいつは後継者だ。
そうすれば、意のままに操れる。
だからこそ、俺はオーレック家を糾弾した。
娘がロッシュを陥れようとしたと。
理由は何でもいい。
とにかく、これを主張し続けた。
おかげでオーレック家は王宮から姿を消した。
デリンズ家は俺の味方になるはずだ……
そのはずだったんだ。
それなのに……
「アンドルが奴隷落ちだと!? どうして、そうなった!」
くそバカアンドルが!
挙兵をした挙句、完膚なきまでに弟にやられただと?
早まりやがって!!
しかも、ロッシュに奴隷にされるなんて……本当に最悪だ。
くそっ!!
俺の計画が狂っちまうじゃねぇか。
どうすりゃあ、いいんだ……
こういう時は女を抱いて、気持ちをリフレッシュだ。
……。
最近、王宮の動きが可怪しい。
デリンズがオーレックを戻そうとしている。
犬猿の仲ではなかったのか?
分からない。
俺の知らない何かが動こうしている。
くそっ!
……。
王宮での工作は失敗だ。
デリンズは俺に対して、明らかに翻意した。
俺の息がかかった貴族共も少しずつ粛清されていっている。
これでは俺の立場が危ない。
だが、俺はやはり神に愛される男なんだ。
まさかの登場人物についニヤけてしまう。
「なにっ? ラエルビズ侯爵が?」
まさかのラエルビズだ!!
王国最強の兵団を抱える軍部最高の名門。
それが俺に用があると……。
「これはガトートス様。ご機嫌はいかがですかな?」
「ふん! まぁまぁだな」
心中は穏やかではない。
さっきも王宮内の会議で俺の子飼いが一人、糾弾されたのだ。
「それは良かったです」
「それで何用なのだ? ラエルビズ卿」
こいつの腹はどうも見えない。
軍人という気質というのか、表情が一切変わらない。
「実は……我が娘、ラターニャのことです」
娘?
ああ、確かにいたな。
だが、俺より十は上だったと思うが。
「それがどうした?」
「どうでしょう? 我が娘を嫁にもらってはいただけないでしょうか? 多少は歳が離れているとは思いますが」
嫁?
このおっさん、俺に年増を寄越そうとしているのか?
「ふざけるな!」
俺は若くて、張りのある女が好きなんだ。
そんなババァを……
「何か? 我が娘に問題でも?」
くそっ!!
こええな。
「いや。だが、俺とは歳が違いすぎる。無理だな」
「そうですか……しかし、それで本当によろしいのですかな?」
なんだ、こいつ。
俺にそんなに嫁にやりたいのか?
下らねぇ。
「問題ないね!」
「そうですか……ならば、この話、ロッシュ様にお持ちしましょう」
ロッシュ?
なんで、あいつの名前がでてくるんだ?
貧乏貴族になりさがった奴に……
「ちょっと待て、どう言う事だ?」
「我が国は今、変わろうとしています。王宮は機能せず、王家も酷い有様です」
何がいいたいんだ?
「私はこの国を救いたいのです。我が家に流れる王家の血が現状を許さないのです」
「それと娘を嫁にやる理由が分からねぇ」
侯爵がぐっと顔を近づけてきた。
「私は王族に戻りたいのですよ。そのためには王族の血が必要だ。それが在野に転がっていても、関係ありません」
こいつ……国を乗っ取るつもりか?
俺には分かる。
こいつには俺と似たような臭いを感じる。
優れた才覚と洞察力、そして大胆さを持つ男だと。
だが、俺も王になる男だ。
こいつの好き勝手にはさせない。
「分かった。お前の娘を嫁に貰おう。ただし……」
その嫁だけっていうのは勘弁だ。
他の女も抱かせてもらうぜ。
「分かっております。ガトートス様のお気持ちは」
分かっているじゃねぇか。
やはり、こいつも女好きだな。
「それでは、私は準備があるので。そうそう、ロッシュ様はオーレック領に滞在している様子」
あの野郎、そんなところまで行ってやがったか。
さっさと野垂れ死ねばいいものを。
しかし、イルス地方まで目と鼻の先だ。
入られるのと、ちょっと面倒だ。
こいつを使うか。
「ラエルビズ卿。ロッシュが消えてくれると助かると思わないか?」
「ほう……なるほど。王家の血筋は少ないほうがいいと……」
何、訳の分からないことを言っているんだ?
「まぁ、そういうことだ。婚礼の約束はしてやる。卿も自分の仕事をやれよ」
「承知しました。吉報をお届けしましょう」
これでロッシュは終わりだ。
飢えて死ぬのも最高だが、兵士に串刺しにされるのも悪くねぇ。
本当に俺は神に愛されているぜ!
ロッシュを奴隷商に落としたのはいい。
これで俺の地位は揺るがない。
王もぼんくらだ。
だとすると、王宮だけが心残りだ。
オーレック家とデリンズ家。
この中の悪い両家の片方に俺が肩入れすれば、全てはうまく行く……
そのはずだった。
デリンズ家には俺の子飼いのアンドルがいる。
あいつは後継者だ。
そうすれば、意のままに操れる。
だからこそ、俺はオーレック家を糾弾した。
娘がロッシュを陥れようとしたと。
理由は何でもいい。
とにかく、これを主張し続けた。
おかげでオーレック家は王宮から姿を消した。
デリンズ家は俺の味方になるはずだ……
そのはずだったんだ。
それなのに……
「アンドルが奴隷落ちだと!? どうして、そうなった!」
くそバカアンドルが!
挙兵をした挙句、完膚なきまでに弟にやられただと?
早まりやがって!!
しかも、ロッシュに奴隷にされるなんて……本当に最悪だ。
くそっ!!
俺の計画が狂っちまうじゃねぇか。
どうすりゃあ、いいんだ……
こういう時は女を抱いて、気持ちをリフレッシュだ。
……。
最近、王宮の動きが可怪しい。
デリンズがオーレックを戻そうとしている。
犬猿の仲ではなかったのか?
分からない。
俺の知らない何かが動こうしている。
くそっ!
……。
王宮での工作は失敗だ。
デリンズは俺に対して、明らかに翻意した。
俺の息がかかった貴族共も少しずつ粛清されていっている。
これでは俺の立場が危ない。
だが、俺はやはり神に愛される男なんだ。
まさかの登場人物についニヤけてしまう。
「なにっ? ラエルビズ侯爵が?」
まさかのラエルビズだ!!
王国最強の兵団を抱える軍部最高の名門。
それが俺に用があると……。
「これはガトートス様。ご機嫌はいかがですかな?」
「ふん! まぁまぁだな」
心中は穏やかではない。
さっきも王宮内の会議で俺の子飼いが一人、糾弾されたのだ。
「それは良かったです」
「それで何用なのだ? ラエルビズ卿」
こいつの腹はどうも見えない。
軍人という気質というのか、表情が一切変わらない。
「実は……我が娘、ラターニャのことです」
娘?
ああ、確かにいたな。
だが、俺より十は上だったと思うが。
「それがどうした?」
「どうでしょう? 我が娘を嫁にもらってはいただけないでしょうか? 多少は歳が離れているとは思いますが」
嫁?
このおっさん、俺に年増を寄越そうとしているのか?
「ふざけるな!」
俺は若くて、張りのある女が好きなんだ。
そんなババァを……
「何か? 我が娘に問題でも?」
くそっ!!
こええな。
「いや。だが、俺とは歳が違いすぎる。無理だな」
「そうですか……しかし、それで本当によろしいのですかな?」
なんだ、こいつ。
俺にそんなに嫁にやりたいのか?
下らねぇ。
「問題ないね!」
「そうですか……ならば、この話、ロッシュ様にお持ちしましょう」
ロッシュ?
なんで、あいつの名前がでてくるんだ?
貧乏貴族になりさがった奴に……
「ちょっと待て、どう言う事だ?」
「我が国は今、変わろうとしています。王宮は機能せず、王家も酷い有様です」
何がいいたいんだ?
「私はこの国を救いたいのです。我が家に流れる王家の血が現状を許さないのです」
「それと娘を嫁にやる理由が分からねぇ」
侯爵がぐっと顔を近づけてきた。
「私は王族に戻りたいのですよ。そのためには王族の血が必要だ。それが在野に転がっていても、関係ありません」
こいつ……国を乗っ取るつもりか?
俺には分かる。
こいつには俺と似たような臭いを感じる。
優れた才覚と洞察力、そして大胆さを持つ男だと。
だが、俺も王になる男だ。
こいつの好き勝手にはさせない。
「分かった。お前の娘を嫁に貰おう。ただし……」
その嫁だけっていうのは勘弁だ。
他の女も抱かせてもらうぜ。
「分かっております。ガトートス様のお気持ちは」
分かっているじゃねぇか。
やはり、こいつも女好きだな。
「それでは、私は準備があるので。そうそう、ロッシュ様はオーレック領に滞在している様子」
あの野郎、そんなところまで行ってやがったか。
さっさと野垂れ死ねばいいものを。
しかし、イルス地方まで目と鼻の先だ。
入られるのと、ちょっと面倒だ。
こいつを使うか。
「ラエルビズ卿。ロッシュが消えてくれると助かると思わないか?」
「ほう……なるほど。王家の血筋は少ないほうがいいと……」
何、訳の分からないことを言っているんだ?
「まぁ、そういうことだ。婚礼の約束はしてやる。卿も自分の仕事をやれよ」
「承知しました。吉報をお届けしましょう」
これでロッシュは終わりだ。
飢えて死ぬのも最高だが、兵士に串刺しにされるのも悪くねぇ。
本当に俺は神に愛されているぜ!
0
お気に入りに追加
716
あなたにおすすめの小説

裏切られ追放という名の処刑宣告を受けた俺が、人族を助けるために勇者になるはずないだろ
井藤 美樹
ファンタジー
初代勇者が建国したエルヴァン聖王国で双子の王子が生まれた。
一人には勇者の証が。
もう片方には証がなかった。
人々は勇者の誕生を心から喜ぶ。人と魔族との争いが漸く終結すると――。
しかし、勇者の証を持つ王子は魔力がなかった。それに比べ、持たない王子は莫大な魔力を有していた。
それが判明したのは五歳の誕生日。
証を奪って生まれてきた大罪人として、王子は右手を斬り落とされ魔獣が棲む森へと捨てられた。
これは、俺と仲間の復讐の物語だ――

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる