360 / 408
第359話 嵐
しおりを挟む
レントークまでは船で一週間程度。王国の領土から離れるために、大きく迂回しながら西の方角に舵を切って進んでいく。これだけ離れていれば王国も僕達の船を察知することは難しいだろう。今回は停戦協定を明らかに違反した行為になる。レントークが降伏したことを知らないとシラを切り通すにも限界があるだろう。
レントーク降伏を知ったのは、公国の諜報によるものだ。おそらく今頃、王国から正式な使者がレントーク降伏を告げにやってきている頃だと思う。その辺りはルドが上手く対応してくれているだろうから安心だが、なんとか停戦協定を破らずに今回の問題を解決できればいいのだが……。やはり王国と全面戦争になることは避けられないだろうな。
外の静かな波音とは裏腹に僕の心の中には荒波が立っている。今回の戦の先にあるもの。それは公国の民の幸せな時間を奪い取ってしまうのではないだろうか。そんなことばかりを考えてしまう。するとシェラが珍しく甲板に出てきて、海風を感じながらこちらにやってきた。
「旦那様。こんなところにいたんですね。皆が心配していましたよ。出航してからお加減でも優れませんか? 私の膝だったらいつでも貸してあげますからね」
そんなに表情に出てしまっていたのか。ルドにいつも注意されていたな。どんなに辛くとも、決して表情に出してはならない、と。主としての器は僕にはやはりないのだろうな。
「ああ、すまなかったな。部屋にいるとこれからのことを悪い方に考えてしまってな。外の空気を吸いにやってきたんだ」
「そうでしたか。たしかにどこまでも一望できるほど、澄み切った綺麗な青空ですものね。これから戦地に赴くなんて信じられませんね。ところでまだ腕輪をつけていますか? 最近は魔力を大きく使うような事がなかったですから忘れてしまっているのではないかと」
「もちろんだとも」
袖をめくり、腕輪をシェラに見せる。これは僕の生命線だ。これが黒く光る時、僕の命の灯火が消えてしまうかも知れないのだ。
「それは良かったです。今回の戦いでも必ず気をつけてくださいね。じゃないと……」
死んでしまうといいたいんだろうな。シェラの手を握り、安心させるためにコクっと頷いた。それから僕とシェラは船室に戻った。船は順調に進んでいく。これほど順調に進むと怖いくらいだ。甲板に出て、他の船の様子を遠目に見ながら、確認する。僕達がいるのは八隻の艦隊の一番うしろに付いている。これは、隊列を組み直す訓練を取り入れており、偶々今は乗っている船が一番後ろに付いているのだ。
そろそろ一週間……到着する頃だろう。遠くにレントークの陸地が見えないかと、じっと凝視をするが、何も見えてくるものはなかった。すると、フェンリルをつれたエリスがこちらにやってきた。本当に気に入ったようだな。フェンリルもかなりなついている様子だ。
「エリス。ずいぶんとフェンリルと仲が良くなったな。時々、いなくなるって聞くけどフェンリルのところに行っているのか?」
「ロッシュ様こそ、時々消えているそうじゃありませんか。どこに行っているんですか?」
まさかその返しが来るとは。まぁ、今回の旅では妻が六人も乗っているのだ。しかも一週間も船に閉じ込められているとな……変な場所で求められたりすることがあるのだ。いなくなるのはそれが原因だろ。
「いやまぁ、ここかな? 外の空気を吸うのにここが一番いい場所だ」
「ふぅん。そうですか。確かにここの海風は気持ちいいですね。ただモモの毛が潮風でベタついて、早く洗ってあげたいです」
モモ? ああ、フェンリルに名前をつけたのか。それにしても本当に仲がいい。エリスと二人で甲板で時間を潰していると、にわかに風が吹き始めてきた。先程まで晴天だったのに、真っ黒な雲が周囲に集まってきているような、そんな感覚がするほど状況が一変したのだ。弱い風が突風のような風に変わり、船が風に煽られるように左右に揺さぶられ始めた。
最後に他の船を見たのはこの時だった。どの船も突風でまっすぐに進むことが難しいのか蛇行しているように見えた。それとも僕が乗っている船が蛇行しているからそう見えるのか? 冷静に考えられないほど、風は強まり、強烈な雨が襲い掛かってきた。まずいな。このままでは船が沈んでしまうかも知れない。
その緊張感は船全体に広まっていて、方々で船員が忙しそうに動き回り帆をしまいこんだりしている。帆をたたみ終えても、荒波が船に容赦なくぶつかってくる。そのために船が上下に揺れ、船首が真上を向いているのでは錯覚するほど、波の荒れ方は酷いものだった。
側にいたエリスの手を引き寄せ、必死に体を抱きながら甲板を一歩ずつ船室に向け歩き続けていた。そのとき、大きな声が聞こえたような気がした。気がしたと言うほど、嵐の音は凄まじい。周りの音をことごとく吹き飛ばしていくようだ。側にエリスがいるにも拘わらず、エリスの声すら聞こないほどだ。それでも船室に着けばという思いで歩みを止めなかったが、何度も何度も風で船首の方に押し戻されてしまう。
それを何度も繰り返しているうちに疲労がたまり、ついに腰が立たなくなってしまった。するとエリスが近くにいたモモを呼び出した。
「ロッシュ様。私がモモと共に誰かを連れてきます。だからロッシュ様はここで休んでいてください」
「ダメだ!! ここにいろ」
「大丈夫です。モモならこの風でもなんとか動けるみたいですし。這ってでも進んでみせます」
必死にエリスの腕を掴んでいたが、ふいに力が緩んだところでエリスを放してしまった。何かを言うエリスの声が聞こえたが、嵐の音に打ち消されてしまった。エリスの後ろ姿を必死で見ようとしたが、その姿も一瞬のうちにいなくなってしまった。僕は一人、その場に取り残されてしまった。なんとか体が吹き飛ばされないような場所に移動して、柱にもたれかかる。風はまだまだ止みそうにないな。
力を温存するためにしばらく休むことにした。その間にエリスが戻ってきてくれるだろう。そんなことを思い目をつむった。
目を覚ますと、先程の嵐が嘘のように空はどこまでも透き通っており、波も穏やかだ。それに船が止まっている? おかしい。波に揺られているのなら少しくらい動いていてもいいのに、微動だにしない。まさか停泊しているのか? それとも……。体を起こそうとすると体中に痛みが走った。どうやら、船のあちこちに体をぶつけてしまっていたようだ。回復魔法を使い、歩くのに支障がないことを確認してから船内を確認した。
皆も憔悴しきった様子で、そのほとんどが寝ているか気絶しているものばかりだった。すると、船室の方からミヤとシラーがこちらにやってきた。
「ロッシュ。無事だったようね。本当に酷い嵐だったわ」
ミヤがそういうと周りを見渡すような仕草をする。
「エリスはどこ?」
……何を言っているんだ? 次の言葉をいうのが怖かった。
「エリスはミヤたちと一緒じゃないのか?」
「シラー!! すぐにエリスを探してきて。きっと船のどこかにいるはずよ」
どういうことだ?
「エリスはミヤ達のところに行ったのではないのか?」
「来たわよ。それでロッシュを連れてくるから手伝ってっていうの。私達はそれを止めたわ。外の嵐で助けに行けば吹き飛ばされてしまうから。でもエリスはずっとロッシュのもとに戻ろうとしていたわ。なんとか説得して、納得してくれたと思ったんだけど……私達が仮眠をしている隙にどこかに行ってしまったみたいなの。私はてっきりロッシュのところに行ったものだと思っていたんだけど」
「エリスは一人であの嵐の中を歩いていたというのか。なぜ……」
するとシラーがすぐに戻ってきた。どのような結果か、シラーの顔をみればすぐに分かった。悲壮感しかなかったのだ。
「エリスさんを見つけることは出来ませんでした。でも、もしかしたら船室の奥とかにいるかも知れませんよ。私も隅々まで確認したわけじゃありませんから」
「いや、ありがとう。シラー。エリスはきっと嵐の中で海に投げ出されてしまったのだろう。とにかく小舟を出してエリスの捜索をしてもらってくれ。フェンリルのモモが一緒であれば生きている可能性はまだある」
シラーはすぐに船長のもとに向かった。ミヤは心配そうな顔でこっちをみてくる。
「これからどうするの? 見たところ、他の船も見失ったみたいだし。それに見た? 陸地があるのよ」
陸地? そうか、この船は座礁してしまっていたのか。そうなるとこの船は使い物にならないかも知れないな。まずはその陸地に上陸して、調査をしなければ。二千人の兵に対して、二百人には上陸後の周辺の調査、百人にはエリスの捜索、千七百人には木材の切り出しなど修理に必要な物資調達をするように命じた。船員には兵と協力して船の修復を命じた。とにかく、早く見失った船と合流しなければならない。僕が皆に命令をしているとミヤが怒鳴ってきた。
「ねえ。エリスのことを見放すつもり? エリスが見つかるまではここを離れないわよ」
「ミヤ。気持ちは分かる。僕だってエリスが見つかるまでは……でも」
「いいわ。ロッシュは王としてやることをやりなさい。私と眷属はここに残ってエリスを探すわ。それでいいわよね?」
「分かった。しかし、三日だ。それ以上は待てないぞ」
そういうとミヤは眷属と共に探索隊と合流するために行動を開始した。僕の方も動き出さなければ。エリス……無事でいてくれよ。シラーだけは僕と同行してくれるようだ。吸血鬼同士は相手の居場所を感じる力があるとかで、シラーが僕の側を離れなければ、ミヤはすぐに僕の所に来ることが出来るようだ。
僕は妻達を集めた。皆、エリスが不在のため明るい顔をするものはいなかった。
「僕達はこれから上陸する。ここがどこなのか見当もつかないが、レントーク王国のすぐ近くであることは間違いない。周辺地理を理解し、公国軍と合流することを目的とする」
僕達も調査隊と共に小舟に乗り込み上陸することにした。しかし、膝くらいの水位しかなく歩いていくことにした。座礁した船は、土魔法と木材で船体を固定して、船の修理をすることにした。エリスのこと、他の船のこと、現在地は……。様々な不安を感じながら陸に向かって進んでいく。この先に何があるのか? エリスは無事なのだろうか? 胸中交々としながら、浅瀬を歩いていく。
レントーク降伏を知ったのは、公国の諜報によるものだ。おそらく今頃、王国から正式な使者がレントーク降伏を告げにやってきている頃だと思う。その辺りはルドが上手く対応してくれているだろうから安心だが、なんとか停戦協定を破らずに今回の問題を解決できればいいのだが……。やはり王国と全面戦争になることは避けられないだろうな。
外の静かな波音とは裏腹に僕の心の中には荒波が立っている。今回の戦の先にあるもの。それは公国の民の幸せな時間を奪い取ってしまうのではないだろうか。そんなことばかりを考えてしまう。するとシェラが珍しく甲板に出てきて、海風を感じながらこちらにやってきた。
「旦那様。こんなところにいたんですね。皆が心配していましたよ。出航してからお加減でも優れませんか? 私の膝だったらいつでも貸してあげますからね」
そんなに表情に出てしまっていたのか。ルドにいつも注意されていたな。どんなに辛くとも、決して表情に出してはならない、と。主としての器は僕にはやはりないのだろうな。
「ああ、すまなかったな。部屋にいるとこれからのことを悪い方に考えてしまってな。外の空気を吸いにやってきたんだ」
「そうでしたか。たしかにどこまでも一望できるほど、澄み切った綺麗な青空ですものね。これから戦地に赴くなんて信じられませんね。ところでまだ腕輪をつけていますか? 最近は魔力を大きく使うような事がなかったですから忘れてしまっているのではないかと」
「もちろんだとも」
袖をめくり、腕輪をシェラに見せる。これは僕の生命線だ。これが黒く光る時、僕の命の灯火が消えてしまうかも知れないのだ。
「それは良かったです。今回の戦いでも必ず気をつけてくださいね。じゃないと……」
死んでしまうといいたいんだろうな。シェラの手を握り、安心させるためにコクっと頷いた。それから僕とシェラは船室に戻った。船は順調に進んでいく。これほど順調に進むと怖いくらいだ。甲板に出て、他の船の様子を遠目に見ながら、確認する。僕達がいるのは八隻の艦隊の一番うしろに付いている。これは、隊列を組み直す訓練を取り入れており、偶々今は乗っている船が一番後ろに付いているのだ。
そろそろ一週間……到着する頃だろう。遠くにレントークの陸地が見えないかと、じっと凝視をするが、何も見えてくるものはなかった。すると、フェンリルをつれたエリスがこちらにやってきた。本当に気に入ったようだな。フェンリルもかなりなついている様子だ。
「エリス。ずいぶんとフェンリルと仲が良くなったな。時々、いなくなるって聞くけどフェンリルのところに行っているのか?」
「ロッシュ様こそ、時々消えているそうじゃありませんか。どこに行っているんですか?」
まさかその返しが来るとは。まぁ、今回の旅では妻が六人も乗っているのだ。しかも一週間も船に閉じ込められているとな……変な場所で求められたりすることがあるのだ。いなくなるのはそれが原因だろ。
「いやまぁ、ここかな? 外の空気を吸うのにここが一番いい場所だ」
「ふぅん。そうですか。確かにここの海風は気持ちいいですね。ただモモの毛が潮風でベタついて、早く洗ってあげたいです」
モモ? ああ、フェンリルに名前をつけたのか。それにしても本当に仲がいい。エリスと二人で甲板で時間を潰していると、にわかに風が吹き始めてきた。先程まで晴天だったのに、真っ黒な雲が周囲に集まってきているような、そんな感覚がするほど状況が一変したのだ。弱い風が突風のような風に変わり、船が風に煽られるように左右に揺さぶられ始めた。
最後に他の船を見たのはこの時だった。どの船も突風でまっすぐに進むことが難しいのか蛇行しているように見えた。それとも僕が乗っている船が蛇行しているからそう見えるのか? 冷静に考えられないほど、風は強まり、強烈な雨が襲い掛かってきた。まずいな。このままでは船が沈んでしまうかも知れない。
その緊張感は船全体に広まっていて、方々で船員が忙しそうに動き回り帆をしまいこんだりしている。帆をたたみ終えても、荒波が船に容赦なくぶつかってくる。そのために船が上下に揺れ、船首が真上を向いているのでは錯覚するほど、波の荒れ方は酷いものだった。
側にいたエリスの手を引き寄せ、必死に体を抱きながら甲板を一歩ずつ船室に向け歩き続けていた。そのとき、大きな声が聞こえたような気がした。気がしたと言うほど、嵐の音は凄まじい。周りの音をことごとく吹き飛ばしていくようだ。側にエリスがいるにも拘わらず、エリスの声すら聞こないほどだ。それでも船室に着けばという思いで歩みを止めなかったが、何度も何度も風で船首の方に押し戻されてしまう。
それを何度も繰り返しているうちに疲労がたまり、ついに腰が立たなくなってしまった。するとエリスが近くにいたモモを呼び出した。
「ロッシュ様。私がモモと共に誰かを連れてきます。だからロッシュ様はここで休んでいてください」
「ダメだ!! ここにいろ」
「大丈夫です。モモならこの風でもなんとか動けるみたいですし。這ってでも進んでみせます」
必死にエリスの腕を掴んでいたが、ふいに力が緩んだところでエリスを放してしまった。何かを言うエリスの声が聞こえたが、嵐の音に打ち消されてしまった。エリスの後ろ姿を必死で見ようとしたが、その姿も一瞬のうちにいなくなってしまった。僕は一人、その場に取り残されてしまった。なんとか体が吹き飛ばされないような場所に移動して、柱にもたれかかる。風はまだまだ止みそうにないな。
力を温存するためにしばらく休むことにした。その間にエリスが戻ってきてくれるだろう。そんなことを思い目をつむった。
目を覚ますと、先程の嵐が嘘のように空はどこまでも透き通っており、波も穏やかだ。それに船が止まっている? おかしい。波に揺られているのなら少しくらい動いていてもいいのに、微動だにしない。まさか停泊しているのか? それとも……。体を起こそうとすると体中に痛みが走った。どうやら、船のあちこちに体をぶつけてしまっていたようだ。回復魔法を使い、歩くのに支障がないことを確認してから船内を確認した。
皆も憔悴しきった様子で、そのほとんどが寝ているか気絶しているものばかりだった。すると、船室の方からミヤとシラーがこちらにやってきた。
「ロッシュ。無事だったようね。本当に酷い嵐だったわ」
ミヤがそういうと周りを見渡すような仕草をする。
「エリスはどこ?」
……何を言っているんだ? 次の言葉をいうのが怖かった。
「エリスはミヤたちと一緒じゃないのか?」
「シラー!! すぐにエリスを探してきて。きっと船のどこかにいるはずよ」
どういうことだ?
「エリスはミヤ達のところに行ったのではないのか?」
「来たわよ。それでロッシュを連れてくるから手伝ってっていうの。私達はそれを止めたわ。外の嵐で助けに行けば吹き飛ばされてしまうから。でもエリスはずっとロッシュのもとに戻ろうとしていたわ。なんとか説得して、納得してくれたと思ったんだけど……私達が仮眠をしている隙にどこかに行ってしまったみたいなの。私はてっきりロッシュのところに行ったものだと思っていたんだけど」
「エリスは一人であの嵐の中を歩いていたというのか。なぜ……」
するとシラーがすぐに戻ってきた。どのような結果か、シラーの顔をみればすぐに分かった。悲壮感しかなかったのだ。
「エリスさんを見つけることは出来ませんでした。でも、もしかしたら船室の奥とかにいるかも知れませんよ。私も隅々まで確認したわけじゃありませんから」
「いや、ありがとう。シラー。エリスはきっと嵐の中で海に投げ出されてしまったのだろう。とにかく小舟を出してエリスの捜索をしてもらってくれ。フェンリルのモモが一緒であれば生きている可能性はまだある」
シラーはすぐに船長のもとに向かった。ミヤは心配そうな顔でこっちをみてくる。
「これからどうするの? 見たところ、他の船も見失ったみたいだし。それに見た? 陸地があるのよ」
陸地? そうか、この船は座礁してしまっていたのか。そうなるとこの船は使い物にならないかも知れないな。まずはその陸地に上陸して、調査をしなければ。二千人の兵に対して、二百人には上陸後の周辺の調査、百人にはエリスの捜索、千七百人には木材の切り出しなど修理に必要な物資調達をするように命じた。船員には兵と協力して船の修復を命じた。とにかく、早く見失った船と合流しなければならない。僕が皆に命令をしているとミヤが怒鳴ってきた。
「ねえ。エリスのことを見放すつもり? エリスが見つかるまではここを離れないわよ」
「ミヤ。気持ちは分かる。僕だってエリスが見つかるまでは……でも」
「いいわ。ロッシュは王としてやることをやりなさい。私と眷属はここに残ってエリスを探すわ。それでいいわよね?」
「分かった。しかし、三日だ。それ以上は待てないぞ」
そういうとミヤは眷属と共に探索隊と合流するために行動を開始した。僕の方も動き出さなければ。エリス……無事でいてくれよ。シラーだけは僕と同行してくれるようだ。吸血鬼同士は相手の居場所を感じる力があるとかで、シラーが僕の側を離れなければ、ミヤはすぐに僕の所に来ることが出来るようだ。
僕は妻達を集めた。皆、エリスが不在のため明るい顔をするものはいなかった。
「僕達はこれから上陸する。ここがどこなのか見当もつかないが、レントーク王国のすぐ近くであることは間違いない。周辺地理を理解し、公国軍と合流することを目的とする」
僕達も調査隊と共に小舟に乗り込み上陸することにした。しかし、膝くらいの水位しかなく歩いていくことにした。座礁した船は、土魔法と木材で船体を固定して、船の修理をすることにした。エリスのこと、他の船のこと、現在地は……。様々な不安を感じながら陸に向かって進んでいく。この先に何があるのか? エリスは無事なのだろうか? 胸中交々としながら、浅瀬を歩いていく。
5
お気に入りに追加
2,658
あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる