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第78話 裏切り者への罰①
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ハイエルフのリリから罪人の受け入れの許可を得たエルフがやってきた。なんと、エルフの里の家具職人のリードだった。
「ロッシュ殿。お久しぶりです。リリ様より罪人受け入れについて許可する旨を伝えに参りました。リリ様は、大喜びでいらっしゃいましたよ。里に久しぶりに人間の男が、しかも50人も、と興奮していらっしゃいましたよ。里の皆も大騒ぎで、祭りのような騒ぎでしたよ。私も皆の喜んでいる姿を見れて楽しいです。こんなお話を頂けて、本当にありがとうございます。本日、私は説明をするために側にいれば良いと聞いていたのですが、それでよろしいですか?」
「久しぶりだな。リード。リリの伝言は承った。そんなに騒ぎになっていたか。実に楽しそうだな。ゴードンが聞いたら羨ましがっていただろうに。一応、罪人は一年間、エルフの里に滞在してもらうことにするつもりだ。その間の管理は一切エルフの里に任せる。罪人とは言え、命を奪われては困るからな。それだけは気を付けてくれよ。そうでなければ、基本的に何をしてもよいぞ。これから、罪人の前で説明をするから、横にいてくれるだけで大丈夫だ。リードなら特に大丈夫だろう。君が来てくれて、本当に助かった」
リードは首を傾げていたが、褒められたせいか、ちょっと頬が赤くなり喜んでいるようだった。エリスに、リードをもてなすように頼み、僕は、ルドと罪人について話をすることにした。罪人の管理は村に一任されているとは言え、元はルドの部下に当たる人達だ。ルドも気にしているだろう。
ルドが屋敷にやってきた。ルドは、魔牛牧場で働くようになっていた。最初は、魔族と共に仕事をするということで緊張していたルドだが、今では普段と変わらない様子だった。魔族と言っても、普通の女の子と変わらないからな、それが分かってしまうと意外と拍子抜けしちゃうもんだよ。僕だって、最初はミヤにかなり警戒していたしな……懐かしいな。
「ルド。魔牛牧場ではいい働きをしているそうではないか。魔族と言っても、普通の人間とそうは変わらないだろ? ルドにはそれを分かってもらい、村人に伝えてほしいんだよ」
「ロッシュ。私は、今となっては不思議に思っているよ。なぜ、あんなにも魔族に対してい忌避感を抱いていたのかと。サヤさんはすごく真面目で、私に仕事を丁寧に教えてくれる。料理も旨いし、魔牛乳というのも飲んだが、最高に美味かった。私も王都で最高級なものを食べてきたと思っていたが、それに匹敵するか、それ以上だった。それに何よりも彼女らは美しい。本当に最高だよ。私は、彼女らの良さを村人に是非伝えてやりたいと思っている」
ルドは、かなり吸血鬼達に入れ込んでしまったようだな。たしかに、サヤ達は美女ばかりだ。その中で仕事をしていたら、色々と大変だろう。ルドのことを考えると、冬が終わったら、魔牛牧場から離したほうが良さそうだな。そもそも魔牛牧場は、魔の森に作られているため人間が居ていい場所じゃない。サヤたちの負担も考えると、尚更だな。
「それはありがたいな。僕も魔族と関係は良好に保ちたいと思っている。ルドがサヤ達を恐れない様になったのは大きな収穫だった。冬が終わったら、村に戻ってきてもいいからな。ルドにはやってもらいたい仕事があるからな」
ルドは、この冬で魔牛牧場の仕事が終わってしまうことに絶望したような顔を一瞬したが、いつもの顔に戻っていた。自分にやってもらいたい仕事というのにかなり興味を示していたが、今回の用件から脱線しすぎていたので、戻すことにした。
「仕事については追々話すことにしよう。それよりも、今回呼んだのは罪人の件についてだ。説明は長くなるから、省かせてもらうが、エルフの里に送ることに決めた。そこで、一年間、里で働いてもらうことを罰とする。それについて、意見を聞きたいと思ってな」
ルドはエルフという単語が出たことに驚きを隠せないでおり、さらにエルフの里に罪人を送るということに更に驚いていた。
「ロッシュ。私は彼らの処分については君に一任しているから、何も言うことはない。しかし、聞かせてほしいが、エルフに送ることがどうして罰になると言うんだ?」
「それは私から説明します」
リードが、僕とルドの会話に割って入ってきた。口の周りにクッキーのカスが付いているところをみると、頬張って食べたんだろうな。ルドは、エルフの登場に、体をのけぞって、驚ききった表情をしていた。
「ロッシュ殿のご厚意で、50名の人間男性をエルフの里に送ってもらうことになりました。それが、罰として成立するのかが疑問だと思います。まず、エルフについて説明します。エルフは女性しかいないので、種を授かるためには男を外部から調達しなければなりません。男でも、人間でなければなりません。今までは、生贄や魔の森に彷徨った冒険者などで調達できていたのですが、最近ではそれが難しくなっていたのです。そこで、ロッシュ殿にお願いして、男を融通してもらう約束を取り交わしたのです」
「ここからですが、里に来た男がどのような扱いを受けるかというと、種を取り出すのが目的ですから、四六時中、行為を求められます。寝ていようが、何していようがです。不全になる男もいますが、エルフには秘薬があるので問題はありません。従来は、里に来た男は、そうやって使い潰していましたが、今回は一年という期限付きなので、精神異常が少し起こる程度です。男性からすれば、罰と言えるほど過酷なものとなると思いますが」
僕は、リードの話を聞いて、下半身が凍りつくような恐怖を感じた。ちょっと内股になってしまう。ルドも同じように内股になっていたところを見ると、僕と同じ感覚に襲われているのだろう。
「ロッシュ。君は恐ろしいことを考える男になったんだな。私でも、この罰は躊躇してしまうだろう。彼らは罰を受けなければならないことをしてしまったが、罰を知ってしまうと、裏切った者共に同情を禁じ得ないよ」
僕も頷き、同意見だと言った。
「ロッシュ殿。お久しぶりです。リリ様より罪人受け入れについて許可する旨を伝えに参りました。リリ様は、大喜びでいらっしゃいましたよ。里に久しぶりに人間の男が、しかも50人も、と興奮していらっしゃいましたよ。里の皆も大騒ぎで、祭りのような騒ぎでしたよ。私も皆の喜んでいる姿を見れて楽しいです。こんなお話を頂けて、本当にありがとうございます。本日、私は説明をするために側にいれば良いと聞いていたのですが、それでよろしいですか?」
「久しぶりだな。リード。リリの伝言は承った。そんなに騒ぎになっていたか。実に楽しそうだな。ゴードンが聞いたら羨ましがっていただろうに。一応、罪人は一年間、エルフの里に滞在してもらうことにするつもりだ。その間の管理は一切エルフの里に任せる。罪人とは言え、命を奪われては困るからな。それだけは気を付けてくれよ。そうでなければ、基本的に何をしてもよいぞ。これから、罪人の前で説明をするから、横にいてくれるだけで大丈夫だ。リードなら特に大丈夫だろう。君が来てくれて、本当に助かった」
リードは首を傾げていたが、褒められたせいか、ちょっと頬が赤くなり喜んでいるようだった。エリスに、リードをもてなすように頼み、僕は、ルドと罪人について話をすることにした。罪人の管理は村に一任されているとは言え、元はルドの部下に当たる人達だ。ルドも気にしているだろう。
ルドが屋敷にやってきた。ルドは、魔牛牧場で働くようになっていた。最初は、魔族と共に仕事をするということで緊張していたルドだが、今では普段と変わらない様子だった。魔族と言っても、普通の女の子と変わらないからな、それが分かってしまうと意外と拍子抜けしちゃうもんだよ。僕だって、最初はミヤにかなり警戒していたしな……懐かしいな。
「ルド。魔牛牧場ではいい働きをしているそうではないか。魔族と言っても、普通の人間とそうは変わらないだろ? ルドにはそれを分かってもらい、村人に伝えてほしいんだよ」
「ロッシュ。私は、今となっては不思議に思っているよ。なぜ、あんなにも魔族に対してい忌避感を抱いていたのかと。サヤさんはすごく真面目で、私に仕事を丁寧に教えてくれる。料理も旨いし、魔牛乳というのも飲んだが、最高に美味かった。私も王都で最高級なものを食べてきたと思っていたが、それに匹敵するか、それ以上だった。それに何よりも彼女らは美しい。本当に最高だよ。私は、彼女らの良さを村人に是非伝えてやりたいと思っている」
ルドは、かなり吸血鬼達に入れ込んでしまったようだな。たしかに、サヤ達は美女ばかりだ。その中で仕事をしていたら、色々と大変だろう。ルドのことを考えると、冬が終わったら、魔牛牧場から離したほうが良さそうだな。そもそも魔牛牧場は、魔の森に作られているため人間が居ていい場所じゃない。サヤたちの負担も考えると、尚更だな。
「それはありがたいな。僕も魔族と関係は良好に保ちたいと思っている。ルドがサヤ達を恐れない様になったのは大きな収穫だった。冬が終わったら、村に戻ってきてもいいからな。ルドにはやってもらいたい仕事があるからな」
ルドは、この冬で魔牛牧場の仕事が終わってしまうことに絶望したような顔を一瞬したが、いつもの顔に戻っていた。自分にやってもらいたい仕事というのにかなり興味を示していたが、今回の用件から脱線しすぎていたので、戻すことにした。
「仕事については追々話すことにしよう。それよりも、今回呼んだのは罪人の件についてだ。説明は長くなるから、省かせてもらうが、エルフの里に送ることに決めた。そこで、一年間、里で働いてもらうことを罰とする。それについて、意見を聞きたいと思ってな」
ルドはエルフという単語が出たことに驚きを隠せないでおり、さらにエルフの里に罪人を送るということに更に驚いていた。
「ロッシュ。私は彼らの処分については君に一任しているから、何も言うことはない。しかし、聞かせてほしいが、エルフに送ることがどうして罰になると言うんだ?」
「それは私から説明します」
リードが、僕とルドの会話に割って入ってきた。口の周りにクッキーのカスが付いているところをみると、頬張って食べたんだろうな。ルドは、エルフの登場に、体をのけぞって、驚ききった表情をしていた。
「ロッシュ殿のご厚意で、50名の人間男性をエルフの里に送ってもらうことになりました。それが、罰として成立するのかが疑問だと思います。まず、エルフについて説明します。エルフは女性しかいないので、種を授かるためには男を外部から調達しなければなりません。男でも、人間でなければなりません。今までは、生贄や魔の森に彷徨った冒険者などで調達できていたのですが、最近ではそれが難しくなっていたのです。そこで、ロッシュ殿にお願いして、男を融通してもらう約束を取り交わしたのです」
「ここからですが、里に来た男がどのような扱いを受けるかというと、種を取り出すのが目的ですから、四六時中、行為を求められます。寝ていようが、何していようがです。不全になる男もいますが、エルフには秘薬があるので問題はありません。従来は、里に来た男は、そうやって使い潰していましたが、今回は一年という期限付きなので、精神異常が少し起こる程度です。男性からすれば、罰と言えるほど過酷なものとなると思いますが」
僕は、リードの話を聞いて、下半身が凍りつくような恐怖を感じた。ちょっと内股になってしまう。ルドも同じように内股になっていたところを見ると、僕と同じ感覚に襲われているのだろう。
「ロッシュ。君は恐ろしいことを考える男になったんだな。私でも、この罰は躊躇してしまうだろう。彼らは罰を受けなければならないことをしてしまったが、罰を知ってしまうと、裏切った者共に同情を禁じ得ないよ」
僕も頷き、同意見だと言った。
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