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第67話 エルフの呪い騒動④
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「それにしても、随分と迷惑な実験をしてくれたものだな。呪いにかかった者に何かあったら、お前、何されても文句言えなかったんだぞ。まぁ、僕としては原因がわかっただけでもよかったが」
一旦、沈黙が流れる。この状況は誰しものが想像していなかったものだけに、整理が出来ないようだ。僕もその一人だが。沈黙を破ったのは、少女だった。
「まずは、私の自己紹介をしよう。私はスタシャ。一応は錬金術師を名乗っている。錬金術師の究極の目的は不老不死にある。そのために、ここで研究をし続けていた。その過程で若返りの術式を見つけ、術を施したが、結果はこの通り。若返りすぎて子供になってしまい、呪いまで生み出してしまったようだ。それによって、迷惑を掛けてしまった。本当に申し訳なかった」
子供が淡々と大人みたいに喋る姿はすごく違和感があるな。僕も周りからは同じように見えていたんだろうか。
「スタシャ。僕は、ロッシュ。魔の森近くの村で村長をしている。エルフから協力を求められて、ここに来た。僕としては、問題は解決したと判断している。スタシャはこのまま、ここにいるつもりか? なんなら、村に来る気はないか? 聞いたところではスタシャは優秀な錬金術師のようだ。きっと、村でも役に立ってもらえると思うのだが。もちろん、対価が必要であれば、最大限努力するが」
「魔の森の近く。ロッシュ……おまえは、辺境伯領主の倅か? ふむ、面影もあるし、間違いないな。お前の父親には色々と世話をしてもらった。お前の助けにはなっても良いと思っているが、ここを離れるつもりはないな。ここは、貴重な材料が手に入りやすいからな。誘ってい貰って悪いが、村とやらには行けないな」
僕は、無理に連れていくつもりはなかったので、スタシャが断ったのですんなり引くことにした。すると、リリが話に参加してきた。
「スタシャと言ったの。そなたの言い分は理解した。しかし、こちらとて、はいそうですかと引き下がるわけにはいかぬ。そなたには、我が里に行き、呪いにかかった者に謝罪をしてもらいたい。そうでなければ、こちらとて満足はいかぬ」
スタシャは、リリの言葉に対して異議を言うことはなかった。そうして、僕達は、スタシャを連れて、エルフの里に戻ることになった。エルフの里に戻る道中、暇だったので、スタシャに錬金術師について聞いてみることにした。
「ふむ。そうだな。錬金術は触媒を使い、術式を展開し、物質を変化させたり、性質を変えたりするものだよ。分かりやすく言えば、この土塊には、いろいろな物質が含まれている。これは、物質毎に抽出し、分離することが出来る。実際やってみたいが、ここには道具がないから見せられぬのは残念だ。これが錬金術師の主な仕事になるだろう。だが、錬金術の究極の目的は不老不死だ。私はあと一歩まで迫っているのだ、研究を止めるわけにはいかない。それに、この姿を永遠としているのも嫌だからな」
なるほど。僕は土魔法でやっていることの代わりを錬金術で行うことが出来るのか。いや、土魔法より汎用性は高そうだな。やはり、村に来てもらいたいな。
「そういえば、触媒にアダマンタイトを使えたら……みたいなことを言っていたが、どういう意味だ? 」
「そんなこと言ったか? まぁいいか。人間界には魔力と相性のいい金属が存在する。錬金術の触媒には、この魔力と相性のいい金属が必要となってくる。相性が高ければ、触媒としての性能もあがるのだ。アダマンタイトは人間界で手に入る最高の触媒だ。これがあるか、ないかで術式の成功率は全く異なるのだ。前は、金を出せば何とか手に入ったが、今は誰も掘るものがいなからか、手に入らなくなってしまった。度重なる実験のせいで在庫もなくなってしまったしな。しかたなく、アダマンタイトより劣るミスリルを使ったが、結果はこの通りよ」
アダマンタイトにそんな一面があったとはな。伝説の武具になるという話は聞いていたが……
「アダマンタイトなら何とかなるかもしれないぞ」
「本当か⁉ いや、信じられないな。アダマンタイトは、そう簡単に手に入るものではない。ましてや、一領主に手に入れるのは相当難しいはず。持っていたとしても、王都に取り上げられるの落ちだ」
「信じてもらえなら仕方ないが、屋敷に帰えれば、アダマンタイトのインゴットがあるぞ」
「俄には信じがたいが、もしあるのであれば、手に入れたい。いくらなら手放してくれるのだ? 」
「そうだな。いくらと言われれば、ただでもいいと思っている。ただ、村で働いてもらうのが条件になるけど」
「村で働けば、アダマンタイトを分けてもらえるのだな? 本当にあるなら、なんでもやってもよい。アダマンタイトが手に入らなければ、私の研究は絶対に成就できない。そのためなら、なんだってする。でも、本当にあるんだな⁉ 」
スタシャは、疑り深いな。まぁ、それくらいでなければ、魔の森で居を構えてなんかいられないか。
「村の屋敷に戻れば、分かることだ」
話の流れで、スタシャは村に来ることになった。アダマンタイトがこんな形で使うことになるなんて想像もつかなかったな。
スタシャとの会話が一段落ついた頃、エルフの里に到着した。
「私は長い間、魔の森に住んでいたが、こんな場所にエルフの里があったなんて、気付かなかった。さすがは、エルフの術だな」
スタシャが一人感心していると、リリがこちらにやってきた。
「この者が、呪いを受けた者だ。我が君に助けてもらわねば、命を落としていたやもしれぬ。さぁ、この者に謝罪を」
リリに言われて、スタシャは素直に謝罪をした。子供姿なんだけど、中身は100歳を越す婆さんなんだよな。とても信じがたいな。これで、呪いの騒動はひとまず終わった。リリもこれ以上、大事にする気はないみたいだ。
僕とミヤとその眷属は村に急いで帰る準備を始めた。すでに、日は傾き始め、夜に魔の森を歩くのは危険と判断したからだ。スタシャもアダマンタイトを確認するために村に同行する。リリが僕の方に近づき、小声で、今度、礼をしたいから来てほしいと耳元で言われて、ゾクゾクっとした。なんて、艶めかしい声で囁くんだ。ミヤが目ざとくこちらを見ていたが、特に文句を言うようなことはしないようだ。
僕らは、村に戻った。長い一日だった。
一旦、沈黙が流れる。この状況は誰しものが想像していなかったものだけに、整理が出来ないようだ。僕もその一人だが。沈黙を破ったのは、少女だった。
「まずは、私の自己紹介をしよう。私はスタシャ。一応は錬金術師を名乗っている。錬金術師の究極の目的は不老不死にある。そのために、ここで研究をし続けていた。その過程で若返りの術式を見つけ、術を施したが、結果はこの通り。若返りすぎて子供になってしまい、呪いまで生み出してしまったようだ。それによって、迷惑を掛けてしまった。本当に申し訳なかった」
子供が淡々と大人みたいに喋る姿はすごく違和感があるな。僕も周りからは同じように見えていたんだろうか。
「スタシャ。僕は、ロッシュ。魔の森近くの村で村長をしている。エルフから協力を求められて、ここに来た。僕としては、問題は解決したと判断している。スタシャはこのまま、ここにいるつもりか? なんなら、村に来る気はないか? 聞いたところではスタシャは優秀な錬金術師のようだ。きっと、村でも役に立ってもらえると思うのだが。もちろん、対価が必要であれば、最大限努力するが」
「魔の森の近く。ロッシュ……おまえは、辺境伯領主の倅か? ふむ、面影もあるし、間違いないな。お前の父親には色々と世話をしてもらった。お前の助けにはなっても良いと思っているが、ここを離れるつもりはないな。ここは、貴重な材料が手に入りやすいからな。誘ってい貰って悪いが、村とやらには行けないな」
僕は、無理に連れていくつもりはなかったので、スタシャが断ったのですんなり引くことにした。すると、リリが話に参加してきた。
「スタシャと言ったの。そなたの言い分は理解した。しかし、こちらとて、はいそうですかと引き下がるわけにはいかぬ。そなたには、我が里に行き、呪いにかかった者に謝罪をしてもらいたい。そうでなければ、こちらとて満足はいかぬ」
スタシャは、リリの言葉に対して異議を言うことはなかった。そうして、僕達は、スタシャを連れて、エルフの里に戻ることになった。エルフの里に戻る道中、暇だったので、スタシャに錬金術師について聞いてみることにした。
「ふむ。そうだな。錬金術は触媒を使い、術式を展開し、物質を変化させたり、性質を変えたりするものだよ。分かりやすく言えば、この土塊には、いろいろな物質が含まれている。これは、物質毎に抽出し、分離することが出来る。実際やってみたいが、ここには道具がないから見せられぬのは残念だ。これが錬金術師の主な仕事になるだろう。だが、錬金術の究極の目的は不老不死だ。私はあと一歩まで迫っているのだ、研究を止めるわけにはいかない。それに、この姿を永遠としているのも嫌だからな」
なるほど。僕は土魔法でやっていることの代わりを錬金術で行うことが出来るのか。いや、土魔法より汎用性は高そうだな。やはり、村に来てもらいたいな。
「そういえば、触媒にアダマンタイトを使えたら……みたいなことを言っていたが、どういう意味だ? 」
「そんなこと言ったか? まぁいいか。人間界には魔力と相性のいい金属が存在する。錬金術の触媒には、この魔力と相性のいい金属が必要となってくる。相性が高ければ、触媒としての性能もあがるのだ。アダマンタイトは人間界で手に入る最高の触媒だ。これがあるか、ないかで術式の成功率は全く異なるのだ。前は、金を出せば何とか手に入ったが、今は誰も掘るものがいなからか、手に入らなくなってしまった。度重なる実験のせいで在庫もなくなってしまったしな。しかたなく、アダマンタイトより劣るミスリルを使ったが、結果はこの通りよ」
アダマンタイトにそんな一面があったとはな。伝説の武具になるという話は聞いていたが……
「アダマンタイトなら何とかなるかもしれないぞ」
「本当か⁉ いや、信じられないな。アダマンタイトは、そう簡単に手に入るものではない。ましてや、一領主に手に入れるのは相当難しいはず。持っていたとしても、王都に取り上げられるの落ちだ」
「信じてもらえなら仕方ないが、屋敷に帰えれば、アダマンタイトのインゴットがあるぞ」
「俄には信じがたいが、もしあるのであれば、手に入れたい。いくらなら手放してくれるのだ? 」
「そうだな。いくらと言われれば、ただでもいいと思っている。ただ、村で働いてもらうのが条件になるけど」
「村で働けば、アダマンタイトを分けてもらえるのだな? 本当にあるなら、なんでもやってもよい。アダマンタイトが手に入らなければ、私の研究は絶対に成就できない。そのためなら、なんだってする。でも、本当にあるんだな⁉ 」
スタシャは、疑り深いな。まぁ、それくらいでなければ、魔の森で居を構えてなんかいられないか。
「村の屋敷に戻れば、分かることだ」
話の流れで、スタシャは村に来ることになった。アダマンタイトがこんな形で使うことになるなんて想像もつかなかったな。
スタシャとの会話が一段落ついた頃、エルフの里に到着した。
「私は長い間、魔の森に住んでいたが、こんな場所にエルフの里があったなんて、気付かなかった。さすがは、エルフの術だな」
スタシャが一人感心していると、リリがこちらにやってきた。
「この者が、呪いを受けた者だ。我が君に助けてもらわねば、命を落としていたやもしれぬ。さぁ、この者に謝罪を」
リリに言われて、スタシャは素直に謝罪をした。子供姿なんだけど、中身は100歳を越す婆さんなんだよな。とても信じがたいな。これで、呪いの騒動はひとまず終わった。リリもこれ以上、大事にする気はないみたいだ。
僕とミヤとその眷属は村に急いで帰る準備を始めた。すでに、日は傾き始め、夜に魔の森を歩くのは危険と判断したからだ。スタシャもアダマンタイトを確認するために村に同行する。リリが僕の方に近づき、小声で、今度、礼をしたいから来てほしいと耳元で言われて、ゾクゾクっとした。なんて、艶めかしい声で囁くんだ。ミヤが目ざとくこちらを見ていたが、特に文句を言うようなことはしないようだ。
僕らは、村に戻った。長い一日だった。
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