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第4話 ステータス

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 住民への決意表明から一日が経った。今日から、この村は始まるんだな。早速、ゴードンと打ち合わせをすることにした。まずは、移住用住居の選定を急がせることとした。村には亜人の女大工がいる。彼女に、住居の選定を依頼することが決まった。

 次に、堤防を設置する場所を選定すること。これについては、ゴードンがよく知っていたので、彼に案内を依頼した。あとは、今までの作業を続けてもらうことをお願いした。
 
 僕は、エリスに大工を屋敷に呼んでもらった。堤防設置場所の視察は午後になるだろう。

 指示を出し終わると、大工が来るまでの間、ちょっと時間が出来た。昨日見られなかったステータス画面をもう一度立ち上げてみた。
 そこには、体力と魔力の項目があり、『%』表示がされていた。今は、どちらも『100%』となっていた。『0%』がどういう意味を持っているのか、今の段階ではわからなかったので、とりあえずスルー。

 下の項目にスキルとあった。スキル、と意識してみると、『スキル一覧』という画面が出てきた。そこには、火魔法・水魔法・土魔法・風魔法・回復魔法という文字がでていた。ほぉ、ここにある魔法が使えるということか? 

 しかし、昨日は、使おうと思っても使えなかったが。火魔法、と意識すると、火魔法の横に『取得しますか?』 という文字が出てきた。なるほど、今は、使えないが、取得すると使えるということか? 全部取得できるかわからないから、火魔法の取得は保留と……。ん? 下の方に 『1/1』 という表示があるがどういう意味だろうか。

 分かったことは二点あった。火・水・土・風・回復魔法のいずれかを取得すれば使えること。 『1/1』 という表示があったということか……エリスに相談だな。

 エリスにステータスについて相談し、助言してくれるように頼んだ。

「私は、魔法が使えませんから、有益なアドバイスは期待しないでくださいね。魔法は、非常に優れたものです。魔力にもよりますけど、常人の力では出来ないようなことを、いとも簡単にすることが出来ます。ですから、村作りにもっとも必要そうな魔法を取得するをおすすめします。その選択は、私には責任が重過ぎるので、ロッシュ様がしてくださいね」

 なるほどねぇ。人の力でも出来ないようなことか。
 堤防を設置するために、たくさんの人手が必要なことが頭の痛かったところだが、土魔法を使えば、簡単に堤防ができるんだろうか? 

「エリス、ありがとう! 土魔法を取得してみるよ。堤防設置に役に立つといいんだけど……」

 早速、頭の中のステータス画面を立ち上げ、土魔法を取得してみた。すると、土魔法の使い方が頭の中に入り込んできた。おお! なんかすごい!! 今なら、土魔法を使うことができる事が分かるぞ。ちょっと、外に出て、やってみるか……

 外の菜園に立った。まずは、土を掘ってみよう。頭の中で、それをイメージしてみた。すると、目の前の土が吹き出し、深さ1メートルくらいの穴が出現した。すごい!! すごすぎる!! これが魔法か。もう一度、次は、山になった土を、もとに戻すイメージをすると……きれいに平らになった。これなら、井戸も掘ることも容易そうだな。

 ここで、もう一度ステータス画面を立ち上げてみた。すると、画面に変化があった。魔力が『90%』まで落ちていた。これだけの魔法で十分の一も魔力を消費してしまうのか。使い方を考えないとな。それとスキルの画面をひらくと、 『0/1』 と変わっており、横に 『10/100』 という表示が新たに増えていた。ん~これは、どういう意味なんだろうか……。

 とりあえず、魔法が使えるようになったことは、大収穫だ! これなら、堤防設置もかなり捗ることだろう。なにせ、小一時間かかるような作業を一瞬でやってしまうんだから! 

 意気揚々と屋敷に戻ると、エリスが朝食を用意していてくれた。僕達は、仲良く食事を楽しんだ。食後のコーヒーを飲んでいると、エリスが客の来訪を伝えに来た。どうやら、女大工が来てくれたみたいだ。

 「どうも、村長。ゴードンさんから呼ばれてきたんだけど、なんでも家の調査をするとか…その相談かい?」

 そこに立っていたのは、赤髪に赤い目、犬耳とふさふさの尻尾があるワイルドな女性だった。タンクトップと作業ズボンがすごく似合っていた。

 「レイヤだったよね。よく来てくれたね。まさに、その件で相談したくてね」

 僕は、レイヤに席に座るように促し、エリスにコーヒーを持ってくるように頼んだ。書庫から筒状に丸めた大きな紙を持ってきて、テーブルの上で広げた。その紙は、旧都の街路図だ。
 どこにどの道が通っているとか、高低差とかが記載されていた。これを参考に、これからの街作りを考えようとしていた。

 「これが、旧都の地図だ。僕達はここにいる。そして、この辺が旧都の住宅地が広がっていた場所だ。この辺り一帯は、さほど火災に見舞われなかったのか、現存している家屋が多い。ただ、野盗に襲われたりして、窓や扉は使い物にならない。それに長年放置されたせいで、風化がひどいのだ。それを修復してほしいんだ。さらに、場所はこの一帯の西端だ。ここは水量の多い井戸があって、畑に近い場所だ。生活するには、水は必須だから、ここを中心に村人を移住させたいと考えている。どうだろうか?」

 レイヤは、腕を組んで、考え込んでいた。

 「それでいいと思うけど、修復するにしても、材料や道具が必要さ。道具はこっちで何とかなると思うが、材料の調達はすぐに、ってわけには行かないさ」

 「それについては考えてあるよ。移住用建物以外の家から、取ってくればいい。1万人分の家があるんだ。いくらでも調達できるだろう。窓については、すぐというわけにはいかないけど、そのうちこちらでなんとかしよう。とにかく、雨風が凌げるような家にしてくれればいい。現場の裁量はレイヤにすべて委ねるから好きにやってくれ」

 レイヤは、にやりと笑い、頷いた。

 「最後に、こっちにも人手がほしいんだ。私の方から好きに引き抜いて構わないかい? 数人もいれば、いいと思うんだけど……」

 それについては、僕も考えていた。この案件は最優先課題だ。畑を犠牲にしてでも、達成しなければならない。それに畑作業に穴が出来ても、僕の土魔法で多少のフォローは可能だろう。

 「言っただろ? 現場の裁量は君に委ねるって。レイヤのやりやすいように、人を配置してくれて構わない。ただ、誰を引き抜いたかだけは、報告してくれ。ゴードンと相談して、うまく回るようにはしておくつもりだ」

 「へぇ~頼もしい限りだ! じゃあ、あたしは、現場に行って、何軒か見繕ったら、早速修繕を開始するさ!」

 「頼んだぞ!」

 これで、最優先課題は目処がついたな。一ヶ月という時間を有効に使わなければ。次は、堤防予定地の視察か。この堤防設置の完了時期によって、これからの予定に大きな影響を与えてしまう。僕の魔法がどこまで使えるだろうか……午後にいろいろ試してみるか……



ステータス

体力  100%
魔力    90%

スキル

火魔法
水魔法
風魔法
土魔法  →取得済み
回復魔法

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